星明かりにその影を見送ると、池の水際あたりで、灯りを消すように消えてしまいました。 掃除をする事もない池は、水草や菖蒲が茂って不気味な感じで、あれはこの池に住むものかも知れないと恐ろしく思われます。 その後も夜ごとに現れては顔をなで回しますから、これを聞いた人はみな震え上がってしまいました。 すると、中に武者ぶった度胸自慢の男がいて、 「よし! その顔をさぐるという者を、おれが必ず捕まえて見せよう」というので、ひとりで麻縄を持って縁側に横になって待ち受けました。