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男は国で女を思い暮らしたことを話し、
「これからは、以前のように一緒に暮らそう。国から持ち帰った物は明日にも取り寄せようし、従者なども呼び寄せよう。今夜はとりあえずこのことを伝えようと思って急いで来たのだ」
そう言えば妻は嬉しそうな様子です。
積もる話などするうちに夜もふけたので「今夜はもう寝よう」と南向きの室に行き、ふたり抱き合って臥したのでした。
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「ここには使用人はいないのか」と男が問えば、女は
「こんな暮らし向きですから、使われる者などおりません」
と答え、秋の夜長、夜もすがら語り明かすに、以前よりは一層身に染みて女を愛らしく哀れに思ったのでした。
そうするうちに夜明けも近くなって、ふたりともに寝たのです。
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