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これを見た元の男はその刀が欲しくてたまりません。
持ち主の男はその気配を見てとると
「この刀が気に入られたのなら、あなたの弓と交換してあげてもいいですよ」と言います。
元の男は『自分のはありふれた弓だし、あの刀は相当の値打ち物だ。これは儲け話だ』と、刀の欲しさにすぐに交換してしまいました。
そしてまた先を行くほどに、後の男が
「弓だけ持って歩いているのを人に見られるのも恥ずかしいので、山道の間だけでも矢を二本ばかり貸してくれませんか。一緒に行くのだから、あなたの守りにもなるでしょう」
元の男も、もっともだと思い、良い刀を手に入れた嬉しさもあって、二本の矢を渡しますと、後の男はそれを持って後にたって行きます。
元の男も残りの矢を負い、手に入れた刀を下げて歩きました。
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