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そのうちに昼になり、弁当を食べようというので林の中に入りますと、後の男が
「ここでは通行人にのぞかれて、うるさいから、も少し奥にはいりましょう」と言います。
それで、さらに奥にはいり、妻を馬から下ろしていると、後の男はいきなり弓に矢をつがえ、元の男に向けて強く引き絞り、
「おのれ! 動けば射殺すぞ!」と言います。
元の男は突然の事にあっけにとられて、ただ向かい合っているばかりです。
すると、「山の奥へはいれ! はいるのだ!」と脅しますから、命が惜しいので妻を抱えて1キロほども奥にはいりました。
さらに「刀と脇差しを投げろ!」と命じますから、それらを投げ出すと、後の男はそばにより、元の男を組み伏せ、馬の口取りのひもで木に縛り付けてしまいました。
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