そこで、後の男は女のそばに寄って見ると、歳は二十あまり、身分は低いものの魅力的な美人ですから、何もかも忘れて女の着物を脱がせ、自分も脱いで女を抱き臥したのでした。 女はどうすることもできず、男の意のままになったのですが、縛られてそれを見ていた夫の気持ちはどんなだったことでしょう。
事が済むと、男は起きあがって衣服を着、元の男の矢筒を掛け、刀を付けて弓を持ち、その馬にまたがって女に向かい、 「可愛そうだが、どうしようもないので行くぞ。そなたに免じて夫の命は助けてやる。馬は逃げるのに必要だから乗っていくぞ」と言って、どことも知れず走り去ってしまったのです。