田坂佳千先生について

尊敬する田坂先生と直接お話しすることはもうかないません。
行き詰まったときに、やさしく導いてくれることも、直接はかないません。
でも今でも、それぞれの現場で奮闘している私たちを
やさしく見守ってくれているに違いありません。

あのときに私たちが共有していたものを
決して過去のものにしないためにこのページを作成しました。

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  1. 田坂佳千(よしかず)先生の経歴
  2. 田坂先生のご講演
  3. 田坂先生によるTFC_MLの紹介
  4. 田坂先生の目指されたこと
  5. TFC_ML成立への思い

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田坂佳千(よしかず)先生の経歴

1981年 川崎医大の総合診療部設立の年に川崎医大を卒業。
人体病理部で2年研修の後、主に総合診療部に籍をおき色々と研修。
1994年 川崎医大の総合診療部の研修施設としての
奈義ファミリークリニック所長として設立に関与。
1997年 この年の夏より、広島市に帰り、
お父様の医院(田坂内科小児科医院)の診療を手伝い始める。
1998年 この年の冬頃より、TFC_MLをスタート。
2000年 11月より、家庭医療学会世話人、運営委員、
さらに2006年2月から6月まで理事を歴任。
2007年 2月11日死去

--- Photo by Asako Tsukasaki


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田坂先生によるTFC_MLの紹介

「家庭医マインド」を持つ医師達(開業、勤務医かかわらず)と
「家庭医マインド」を理解している(しようとしている)医師達が
「家庭医」「プライマリ・ケア」「開業医」をキーワードに集まり、
日々あらゆる医学医療に関する話題を議論しあうメーリングリストです。

実際には自動配信される通常のMLではなく、
投稿されたメールはTFC事務局にて
件名の統一、配信順の調整、「コメント付け」の後に配信されます。

システムとしては、回転の速いメールマガジンといった方がよいかもしれません。
運営のポリシーは、肩書きに関係なく対等に意見を交換し、
”なごやかに”しかし“本音”で議論を深めることを目指しています。
“本音で”、しかも“ML上(会員の前)で”議論を深めるために
発信者のメールアドレスは削除され、
内容によっては事務局で一部伏字や発言者の匿名化などの後配信されます。

現在の会員数は海外在住の25名を含め1,653名。
正会員は医師と医学生ですが、医療行政に関わられている方、
医学出版会の方にも参加頂いています(4割が診療所医師)

本ML立ち上げの動機はいくつかありますが次の2つが大きいです。
@プライマリ・ケアの現実問題を共有し、みんなで考えみんなで解決したい。
Aプライマリ・ケア医と専門医(開業医と病院医)との間にあるギャップ
(開業するまで開業医の気持ちが解らない)、を何らかの方法で埋めたい。

大上段に捕えた目標でありましたが、
2002年3月に実施された武田裕子氏(琉球大学)らによる
「TFC利用者に対するアンケート調査」では、

「家庭医/プライマリ・ケア医/開業医のニーズがわかった」
非常にあてはまる(40%)
ややあてはまる(44%)

「家庭医/プライマリ・ケア医/開業医のイメージが変わった」
非常にあてはまる(37%)
ややあてはまる(35%)

(以上はn=469)

であった。
また、診療を行っている431名の医師からは、

「臨床医としての不安を分かち合える」
非常にあてはまる(21%)
ややあてはまる(42%)

「一人で診療していても同僚が身近にいるように感じられる」
非常にあてはまる(24%)
ややあてはまる(38%)

「以前に比べ他科の知識が増加した」
非常にあてはまる(26%)
ややあてはまる(50%)

「実際の診療行動が変化した」
非常にあてはまる(22%)
ややあてはまる(42%)

との回答を得、

「家庭医/プライマリ・ケア医/開業医としての自信を回復できた」
非常にあてはまる(17%)
ややあてはまる(35%)

(n=283)

という過分な評価を頂きました。

(治療:田坂佳千)


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田坂先生の目指されたこと

専門医とプライマリケア医の、日常的な建設的な意見交換の場としてのTFC_MLの管理。

  • できるだけ毎日メールが届き、メール初心者の先生に、
    この素晴らしいツールを体験していただくこと。
    (10日メールが来ないと、開く気がなくなりますから…。)
  • 勉強会の少ない診療所などとコンスタントにメールを交換し、お互いに勉強したい。
  • 研修地と開業地が別な先生などは孤立感が出ることがあるようなので、何とか絆を保ちたかった。
  • 開業医と勤務医のいろいろなギャップ!(開業後には、分かるのに…。)
    これを埋めないと、真の病診連携は難しい!
  • 大学の先生にも、開業医の機能を理解していただきたい。
    そうでないと、連携もPC教育も何にもできない。
  • 質の良い情報をみんなで分ければ、
    比較的楽に各自の知識のQC(品質管理)ができるかな?
  • 学生や研修医と経験の積まれた先生とがコンタクトを取れることは、双方にメリットがある。
  • メールであればかなり大胆に話せる人も多く、地理的な問題もまったくない。
  • 開業後5年で、燃え尽きて定常〜飽和〜惰性状態となることが多い(らしい…。)

引用 広島県医師会速報(第1974号)「田坂佳千先生を偲んで」 野村真哉


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TFC_ML成立への思い

  • 毎日1通でも医学のメールが来るMLが欲しい。
  • 医局から卒業?して、各地で活動するようになると、
    何となく言うに言われぬ孤独感が出るこの解消の方策として。
  • プライマリケアに役立つ勉強会をしたい。
  • 診療所の医師〜開業医の仕事を、実際には十分わかっていないのが病院の先生方。
    両者の相互理解無しには、病診連携も困難…。
    ひょっとしたら、MLで、それを解消できるかもしれない…。
  • いつも「まっいっかー」と流してしまいそうなテーマも
    みんなで考えたら、なんだか楽しい。
  • 大きな声では言えないけれど「そう!そう!そう!」と共感できる。
    大きな井戸端会議があっても良いのではないか?
    …できれば、建設的なプロダクトを!
  • 今ひとつ「まとまりの悪い」医療業界、メールやHPで、もっと徹底討論したら?

初期のTFCより抜粋


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