191/1〜191/3 第二幕「龍獅、義兄として豪傑達を同輩に迎える事」

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191年1月 董卓がじわじわと勢力を伸ばしています。王匡と張楊を滅ぼしました。 (でも、ペースとしては遅いかも知れません。) 劉焉が雲南に伸張しました。 COMの動きとしては全体的に遅いです。
春の訪れを待って、私は愛憐様に許可を頂き人材探訪の旅に出た。 北平の小さな街を訪れたときの事である。 山賊退治を街の人から頼まれた私は、山賊の根城まで赴いた。 山賊の頭を追いつめたところ、意外なことに別方面からも山賊共を追い立てている人物がいた。 神業的な腕前で槍を扱う好男子である。私は彼の腕前に一目置きながら自己紹介した。   趙雲と名乗った青年と山賊共を二人で退治した後、我々は街にて歓待の宴を催してもらった。 酒の席にて我々は意気投合し、色々武芸の話などで盛り上がったが、 街の娘達が趙雲殿の事を「神槍」と呼んでいるのを聞いて、つい私の武芸者としての血が騒ぎだした。 私も槍を取っては右に出る者無しと呼ばれた女。彼の槍の腕前には大変に興味を持った。 彼の方も同じ思いを抱いていたらしく、自然と話は一度手合わせをする方向へと流れていった。 街の娘達が心配そうに見守る中、両者とも酔いが醒めるのを待って、槍を持って向かい合った。 黄金の龍と蒼き稲妻が丁々発止と渡り合う。 互いに鉄槍を持って十合二十合と渡り合うが、互いに一歩も譲らない。 「これは難敵だ・・・」私がそう思い始めた所、古老より(ありがたくも)「停め」の合図がかかった。 古老 「あたらこれほどの豪傑両者が互いに意味の無い戦いで怪我をすることはない」 そう言う古老の申し出に、私も趙雲殿も「もっともだ」と頷き合う。 かくて互いの槍の腕前に改めて敬意を表し、再度酒を酌み交わす。 私  「子竜殿程の腕前の豪傑をあたらこの北平の地に留めておくのは、まったく天命に背くことである。」 私はそう嘆息すると、趙雲殿は「では龍獅殿は我が天命にふさわしき道をご存じなのか?」と畳みかけてきた。 「それは勿論、義によって悪逆非道を正すことである!」私は間髪入れずに答える。 子竜殿「悪逆非道とは? 義によって正すとはいかに?」趙雲殿の問いかけに更に私は答える。 私  「それは今私が臨んでいること。帝を傀儡にしている悪相国董卓を愛憐様と共に倒すことよ。     愛憐様は決して私利私欲のためには剣を抜かない、仁徳に長けたお方よ。」 子竜殿「それほどまでに龍獅殿が入れ込んでいる人物とはな・・・興味が湧いてくる。     それがしも漂泊の流れ暮らしにはそろそろ決着をつける頃かも知れん。     良ければ、それがしも愛憐殿にお目通り願えないだろうか?」 願ってもない申し出だ。私は二つ返事で了承したいところだが、私は勿体つけた。 私  「・・・一つだけ条件があるわ。それを承知してくれたら愛憐様にご紹介致しましょう。」 子竜殿「・・・条件とは何か。気になるではないか。遠慮無く申し出てくれ。」趙雲殿は笑って問いかける。 私  「私と義兄妹の契りを結んで頂きたい。子竜殿の槍の腕前は国士無双。同じ槍の使い手として尊敬致します。」 私の申し出に趙雲殿は少し驚いたようだったが、そこは意気投合したもの同士。二つ返事で了承してくれた。 子竜殿「・・・義兄妹とは照れるではないか。いや、腕前は龍獅殿のほうが上だろう。     龍獅殿を姉として契りを結ぼうではないか。」 私  「いえ、年は子竜殿のほうが上。子竜殿を尊兄として立てたく思います。     そうしてまたいつの日か決着をつけようではありませんか。」 私は笑って答え、互いに義兄妹の杯を交わしたのであった。 こうして趙子竜という、愛憐軍きっての勇将が仲間に加わったのである。
191年2月〜3月 私  「子竜殿、子竜殿がこの中国を広く渡り歩いているならば、お目に叶う豪傑勇将もご存じでありましょうや?」 そういう私の問いかけに、子竜殿は少し腕を組んで考えてみる。 子竜殿「目下、天下に潜んでいる豪傑勇将に二、三人心当たりがある。     愛憐様にお暇が頂けるなら、共に会いに行ってみようではないか。」
そういう趙雲殿の言葉を元に、快く愛憐様の了解を得た我々は、二人で弘農の片田舎にやって来た。 この辺りはすっかり董卓軍の勢力下ではあるが、治安も悪く、我々を見とがめる兵士なども皆無である。 ここで出会ったのが、董卓兵どもの狼藉を素手で殴り倒す知勇兼備の猛者、徐晃殿であった。 趙雲殿と私とで徐晃殿を酒店に誘い、愛憐殿に仕えて頂けないかかき口説いてみる。 功名心の高い徐晃殿は勢力の強い群雄に惹かれており、辺境の愛憐様には興味を持っていないようであったが、 熱心に董卓の非道、愛憐様の志を二人で話すことにより、彼の義心が動かされたようだ。 共に打倒董卓に立ち上がってくれることを約束してくれた。
徐晃殿を加えて、我々3人は西域近くまで旅を続けた。 ここ武威の地に住む獅子狩りを生業にする猛者がホウ徳殿である。 我々はホウ徳殿にも、同じように愛憐様に力を貸してくれるように説得を試みる。 意外にもホウ徳殿は二つ返事で約束してくれた。 西域出身の董卓でも、ホウ徳殿には良い印象を持たれていないらしい。 西域の地に留まっているのを良しとしないホウ徳殿を仲間に加え、我々は永安に向かった。
永安の地にいる猛者は、趙雲殿の話によると錦帆賊という水賊の頭目らしい。 双戟と弓の達人という彼こそが、甘寧であった。 我々が根城に近づくと当然ながら水賊に囲まれるが、そこは我々4人一騎当千の強者達、 趙雲殿と私の鉄槍、徐晃殿の大斧、ホウ徳殿の戟が留まるところを知らずに荒れ狂う。 遂に出てきた紅顔の豪傑が甘寧である。 甘寧 「貴様ら、この俺を錦帆頭領甘寧と知っての狼藉か!」 轟く大音声に眉を顰めながらも、鉄槍に白銀の胸甲を聳やかせて私が進み出る。 私  「知れたこと! 永安は巴郡臨江の甘寧、字は興覇とは貴様のことか!?」 甘寧 「水賊退治で名を上げようという、少しばかり槍の使える女風情か。     その意気込みだけは買うが、相手がこの甘興覇だったことを不運に思うがいい!」 そう言い放つが速いか、双戟を振り回して襲い来る甘寧。 丁々発止、四十合五十合と渡り合うが勝負がつかない。 趙雲殿が加勢に入りかかるが、私はそれを押しとどめ鉄槍を構え直す。 私  「甘興覇! ここまで渡り合った私だ。私が勝てば一つ言うことを聞いてもらうぞ!」 甘寧 「洒落臭いことを! もし貴様が勝てたなら、一つどころか十でも言うことを聞いてやるわ!」   「その言葉確かに貰った!」 言うが速いか、渾身の力で七十斤の鉄槍を投げつける私。 相違わず胸元を貫くはずの鉄の槍を、戟で払ってみせるのは流石甘寧だが、 黄龍の娘と異名を取った私の金剛力に大きくよろめいてしまう。 なんとか踏鞴を踏んで体制を立て直したその時には、私の剣が甘寧の胸元に突きつけられていた。 甘寧 「ええいおのれ! 俺の首が望みなら残念だな。生憎俺の首は一つしかないぞ。」 悪びれる甘寧に、私は言いたいことをやっと言える機会を得た。 私  「我が名は楽狼のケ知美。錦帆賊の首を目当てにやって来たのではない。     一騎当千の強者を、我が主君に推挙する為にやって来たのだ。」 私はここぞとばかり甘寧をかき口説いた。愛憐様の志、董卓を倒す為の義戦のこと。 私利私欲ではなく、これを機会に天下の為我々の力を使おうでは無いかと、趙雲殿達も口添えしてくれる。 甘興覇は噂通り侠気溢れる人物だった。 つたない説得に感じ入ってくれたか「それが楽狼の小顛吉の望みなら」と 共に戦ってくれることを承知してくれる。 愛憐軍には水軍大将は数少ないため、貴重な人材が仲間入りしてくれた。 私  「もう一つ頼みがあるわ。     いや、これは興覇殿だけではなく、公明殿(徐晃)や令明殿(ホウ徳)にも。     私と子竜殿は先に義兄妹の杯を交わしたけど、     これを機に五人で改めて義兄妹の契りを結ぼうではありませんか。」 公明殿が二つ返事で手を打ち、令明殿が返事を待たずに杯を五つ錦帆賊の手下に持ってこさせる。 「十言うことを聞くと約束したからな」照れながらも嬉しそうに私の杯を受けてくれる甘興覇。      年齢順に、興覇殿を長兄に、子竜、公明、令明。末妹が私となった。 永安の水塞にて、愛憐様をお助けし、天子様の元に漢朝を取り戻すための五兄妹の契りが結ばれたのであった。
楽狼に新たな猛者が3人加わり、戻ってきた私を暖かく愛憐様が向かえて下さった。   新たな義兄達の誕生を祝ってくれる愛憐様、3勇将の参陣の歓迎も兼ねてねぎらいの宴を催して下さった。 ありがたくも愛憐様は、将軍陣の厚みを増した功績を高く買って下さり、 この席で三品官への昇進をして下さった。 だが我々の後方支援にも関わらず、反董卓同盟軍として袁紹も曹操も一向に組織だった動きを見せない。 いらだつ私の心の中では非常の際の第二案が回り始めていた。
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