センター試験解説
地学I
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●第1問
問1
 プレートは、中央海嶺で作られて海溝で沈み込む。同じ事を「中央海嶺はプレートの発散境界、海溝はプレートの収束境界」などということもある。
→正解は3

問2
 このようなメカニズムで発生する地震を「海溝巨大地震」と呼ぶ。繰り返しの周期は数十年程度で、世界中の海溝(付近)で同じことがおきている。震源は多くの場合海底なので、津波が発生することが多く、これに対する注意も必要である。
→正解は2

問3
 問2の「海溝巨大地震」はプレート境界で発生する地震である。プレートの厚さは100km程度なので、海溝巨大地震が発生する深さは約100kmまでである。
 それより深いところに震源を持つ地震が「深発地震」で、沈み込んだ海洋プレートが自分自身の重さでたわみ、壊れることによって発生する。海洋プレートは深さ650km付近まで沈み込んで行くので、その深さまでは深発地震が発生する。
 「3」は直下型地震の説明で、これは大陸プレート内部の破壊によって発生する地震のことである。震源が近くて浅いため、しばしば大きな被害をもたらす。1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)などがこれの例である。
→正解は4

問4
 P波とS波では、P波のほうが伝播が速く、観測地では先にP波が観測される。P波は振動方向と進行方向が同じなので(つまり、押し引きが伝わる)、震源の直上では上下方向の振動として観測されるはずである。
 一方、S波が伝える振動の方が振幅が大きい。S波は振動方向と進行方向が直交しているので、震源直上の観測地では水平方向の振動として観測されるはずである。
 PS時間を7〜8倍すると、震源から観測地点までの距離(km)が求められる。この問題では17kmなので、PS時間は2秒程度である。
→正解は1

問5
 海洋プレートが深さ100kmあたりまで沈み込むと水が絞り出され、周囲のマントルが部分溶融を起こす。これがマグマとなり、上昇して噴出する。この境界を火山前線と呼ぶ。
→正解は2

問6
 「地殻」は地球の岩石層上部の花崗岩質や玄武岩質の岩石でできた部分である。一方、「プレート」とは、地球の岩石層上部の固い部分のことで、地殻のほか上部マントルの一部をふくむ。「1」のモホ面は地殻とマントルの境界、「2」の2900kmはマントルと核の境界の深さである。アセノスフェアはマントルの一部なので、カンラン岩質の岩石でできている。
→正解は3


●第2問

問1
 方解石は炭酸カルシウムの結晶で、化学式はCaCO3。Siは含まない。
→正解は4

問2
 隣の四面体とつながっている部分の酸素原子は、両方に2分の1ずつ存在しているものとみなすことができる。したがってSiとOの割合は1:3。
→正解は2


問3
 SiO2が50%は玄武岩質、60%は安産岩質、70%は花崗岩質。
→正解は3

問4
 地殻の構成元素、多い方から順にO,Si,Al,Fe,Ca,Na.K,Mg(おっしゃられて貸そう釜)なんて覚えている人はそれでもよし。
 珪素は原子量28なのでSiO2の質量の半分弱が珪素の質量である。酸素はSiO2の残りの質量のほか、いろいろな酸化物をつくって大量に岩石に含まれている。これがわかれば順位はわかるであろう。
→正解は2


問5
 岩脈Aは断層より新しく、Bは断層より古い。また、火砕岩、花崗岩ともに岩脈Bより古い。
→正解は2

問6
 14C法は半減期が数千年と短く、また炭素の崩壊を利用するので、新生代の化石や人類の遺跡の調査に使われる。U-Pb法、K-Ar法、Rb-Sr法などは半減期が数億年と長く、また炭素を含まない物質にも使うことができる。
→正解は3

●第3問
問1
 図上で、同じ地層境界線が同じ等高線と交わる点を探してマークしてみるとそれらは一直線に並ぶ。またその境界線が次の等高線と交わる点をマークし、それらをつなぐというようなことをすると、同じ間隔の平行線があらわれる。すなわち、この地層境界面の走向・傾斜は一定であり、曲がっていないことがわかる。
 今回は平面の地層が地形のせいで曲がって現れているのだが、本当に曲がっている場合もあるので油断してはならない。上で説明したようにしたとき、等間隔の平行線が現れなければその地層は曲がっていると判断できる。
→正解は3

問2
 「斜交層理(斜交葉理)」は水の流れがあるところに堆積してできた地層に見られる構造で、堆積時の上下を判定するほかに流れの方向の判定にも使われる。「片理」は変成岩の組織、モレーンは氷河が作る地形の用語である。
→正解は2

問3
 すりつぶしたら鉱物の形がわからなくなり、判定できなくなってしまう。「4」は磁鉄鉱など、磁性を持つ鉱物を探し出すのに使う方法である。
→正解は2

問4
 柱状節理は、火山岩が冷え固まったあと、さらに温度が下がるにしたがって収縮してできた構造である。火山岩であるから斑状組織が観察されるはず。
 また「黒色の火成岩」とあるので、この岩石は玄武岩と考えられる。
→正解は2

問5
 「1」で説明したようにして走向・傾斜を求めると東側の火山灰層は西に傾斜している事がわかる。また、A地点で出る化石がB地点より古く、さらにE地点で火山灰層より古い時代の化石が出ていることから、上下関係が判定できる。
→正解は1

問6
 地質図を完成するには地層の様子を詳しく調べることが重要である。河原のれきの大きさも興味深いテーマだが、ここで目的としていることとは関係が薄い。
→正解は4

●第4問
 A
問1
 台風は「地球規模の異常気象」は引き起こさない。エル・ニーニョ現象は数年に一度発生するもので、いわば「定番の異常気象(なんだそりゃ)」である。

→正解は2

問2
 温められた空気は上昇するので、そのあとを埋めるように周囲から風が吹き込む。その風に引きずられて海水の流れが生じる。
 なお、転向力(コリオリの力)は緯度のコサインに比例する。この問題は低緯度地方のことなので、転向力を無視するようになっているのはあながち現実離れしたことではない。
→正解は4


問3
 前線は温度の違う空気の境界であり、大まかに言えば南北から吹き付けた空気が出会うところである。それぞれの空気は転向力で曲げられているので、北半球では前線をはさんで右側通行ですれ違う形の風になっていることが多い。
→正解は3

問4
 春一番は低気圧が日本海を通過するときに吹く南風。梅雨末期の集中豪雨は、湿った空気によって前線沿いに雲が発達して降る。日本海側の豪雪は季節風によるもので前線とはあまり関係ない。
→正解は3


問5
 地球が吸収する放射量は、おもに地表が太陽放射を受ける角度の違いで異なり、低緯度地方で大きく高緯度地方で小さい。一方、地球が放射する放射量はおもに表面温度できまり、低緯度地方で大きく高緯度地方で小さいがその差はあまり大きくない。したがって、正味の入射エネルギー量は低緯度地方では入超、高緯度地方では出超となる。
→正解は3

問6
 「1」「3」「4」は世界地図スケールの現象だが、「2」だけはスケールが小さい。
→正解は2

●第5問

問1
 楕円軌道を運動する物体(惑星など)が太陽に最も近づく位置を「近日点」、最も太陽から離れる位置を「遠日点」とよぶ。
→正解は4

問2
 ケプラーの第3法則(調和の法則)「惑星の公転周期の2乗は、太陽からの平均距離の3乗に比例する」。
→正解は4


問3
 スペクトル型は、表面温度が高い方から順に「O,B,A,F,G,K,M」。また、高温の星は放射する光が青っぽく、低温の星は赤っぽい。「さそりの心臓」アンタレスは赤い星の代表格として有名。
→正解は2

問4
 太陽の中心部の温度は推定で1600万K。外へ向かって次第に温度が低くなり、光球面で6000K。ところがその外のコロナでは再び温度があがって200万Kとなっている。
 コロナがそのような高温になる仕組みはまだ十分に解明されていないが、磁気が関係していると考えられており、黒点やフレアなどの太陽活動と関連づけて解明する研究が進められている。
→正解は2


問5
 温度が高い星間雲は自分で光を出し、温度が低くても近くの明るい天体に照らされている星間雲は散光星雲として輝いて見える、一方、温度が低く、照らす天体もない星間雲は暗黒星雲として背後の天体を隠してしまう。
 図2の左半分や馬の頭状の部分は、暗黒星雲が背後の散光星雲を隠している部分である。
→正解は2

問6
 星間雲は新しい星が生まれる場所として重要で、天文学者が特に注目する天体のひとつである。いて座の「わし星雲」やオリオン座の「オリオン大星雲」などでは、生まれかけの星や生まれたての星がたくさん見つかっていて、それらの研究から我々の太陽系の形成過程も明らかになってきた。
→正解は2