WindowsライクなGUIを採用するなどして話題の「LindowsOS 4.0 日本語版」が2003年8月29日に発売された。
早速、LindowsOS 4.0 日本語版Plusパックで、Tcl/Tkの動作確認と簡単な性能評価を行った。
Lindows OS 4.0とは?
LindowsOSは、RedHat Linux、 Vine Linux、 Turbo Linuxなどと同じLinuxディストリビューションである。
同OSはDebian GNU/Linuxをベースとしており、Linuxカーネル 2.4.20、XFree86 4.2.1を採用し、
デスクトップ環境にはKDE 3.0.1ベースという構成になっている。ファイルシステムはReiserFSを採用している。
日本語入力環境には「ATOK 12 SE」が搭載され、タイプバンクの日本語フォントセットが用意されている。
Plusパックには「Click-N-Run」サービスが付加されている。
同サービスは、さまざまなLinuxアプリケーションを、マウスのクリックのみでダウンロードから
インストールまで自動で行うサービスである。MS社のWindows Updateのようなものである。
インストールは5分くらいで終了した。インストール時に聞かれたのはコンピュータ名くらいである。
インストールするパーティションは事前に確保しておく必要がある。スワップ領域は確保しておく必要がない。
デスクトップの概観はWindowsに似せてある。メールとWeb閲覧などは初心者でも使えそうだ。
ただし、タイプバンクの日本語フォントセットはいまいち美しくない。
動作確認
LindowsOSには、ちょっと古いTcl8.4.2がインストールされていた。(最新版はTcl8.4.4だ)
しかし、tclsh8.4だけでwish8.4はインストールされていないので、Click-N-Runでインストールした。
まずは、自作のTkEngine V1.2で性能測定をした。
性能は、Windows XPの2倍以上だが、Red Hat Linuxより若干落ちる程度だ。
性能差は、ディスプレイ・ドライバの最大リフレッシュレートの差かもしれない。
環境 | TkEngine値 |
Red Hat Linux 7.2
| 69 |
LindowsOS 4.0 | 63 |
Windows XP | 31 |
※ Pentium3 800MHzで測定。
次に、Tcl/Tk Benchmark Ver.1.3を使って性能測定をした。
性能は、Windows XP以上だが、Red Hat Linuxより若干落ちる程度だ。
環境 | 項目 | 実行時間 |
Red Hat Linux 7.2 | LINE | 0.29秒 |
PAINT | 0.56秒 |
MOVE | 0.73秒 |
TOTAL | 1.58秒 |
LindowsOS 4.0 | LINE | 0.51秒 |
PAINT | 0.68秒 |
MOVE | 1.24秒 |
TOTAL | 2.43秒 |
Windows XP | LINE | 0.98秒 |
PAINT | 0.89秒 |
MOVE | 1.77秒 |
TOTAL | 3.64秒 |
※ Pentium3 800MHzで測定。
最後に、ATOK 12 SEのテストをした。インライン変換はできないものの日本語変換ができた。
ただし、調子がいまひとつで、ATOKが落ちてLinuxがハングすることがたまに起こる。
TclとATOKの相性問題なのか、ATOK単独のバグなのか、今のところわからない。
※.tkconrc に tkcon font gothic 8 を設定した。
OSがハングしても、ファイルシステムがReiserFSのせいか、ファイルが壊れることはなかった。
Click-N-Runはいるか?
今のところ、Click-N-Runには日本語のアプリケーションがなかったり、
Linuxカーネルのアップデータやセキュリティパッチなどをダウンロードして自動でインストールできない。
Tclの最新版を使いたかったら、ActiveTclをダウンロードしてきてインストールすれば解決する。
とりあえず、今のままでは、いらないサービスである。買うならPlusパックでない方をおすすめする。
LindowsOSはどうか?
総合評価では、VineLinux > LindowsOS > Red Hat Linux という順序になるかもしれない。
LindowsOSは、インストールが非常に簡単なのだが、その後、設定をいじくろうとすると大変である。
すでに他のLinuxディストリビューションを使っている人にはおすすめできないかもしれない。
Vine Linuxあたりを使っている方が日本語環境は充実しているように感じた。
LindowsOSが流行るかどうかは、ユーザが期待するサポートができるかどうかにかかっている。
MS社が独占しているOS市場に、どのくらいLindowsOSが食い込めるか今後が楽しみである。
参考