第二部米国に正義はあるか

目 次(アメリカ同時多発テロ事件を基調とした記事)
@米国の「テロ」とは何か B米国に振り回される日本 C際限無く膨らむ米国の傘
照れ隠しに「空爆」 米国の戦争・軍事介入 米兵、捕虜の首切った
個人の戦争犯罪 バレスチナの課題 パレスチナ改革要求
「パレスチナ国家」宣言 孤独な保安官を作るな お得意の「忘れるな!」
騙されるな! テロ事前情報 米国はテロを憎む?
北鮮に譲る理由ない 米・核の力に執着
照れ隠しに「イラク空爆」
SKJ 1999/01/25 No.424

◎米宗教指導者がイラク空爆に疑問=大統領の信頼性低下がもたらす影響懸念=

 【ワシントン=EP・CJC】米国が行った今回のイラク空爆は、表向きはサ
ダム・フセイン政権の軍事能力を減らすよう意図されてはいるが、上院の弾劾討
論を目前に行われたことからも、その意図が米国の宗教指導者の間に疑念を呼ぶ
ことになった。リチャード・ランド南部バプテスト会議倫理と宗教的自由委員会
委員長は攻撃のタイミングについて疑念を表わした。しかし空爆自体は支持する
と言う。

 攻撃は「長い間の課題」であり「もっと早く行うべきだった」としている。
空爆のタイミングは、たとえ進行中の弾劾が影響しないとしても問題だ、とラン
ド氏は語った。「問題なのは大統領が道義的な権威と統治に必要な信頼を失った
という事実だ」と言う。

 「(クリントン大統領は)実質的に執務可能な条件以下に落ち込んでいる。も
し人が大統領と同様に何度も、そして誠実さと熱心さを見せて嘘を言ったとした
ら、他人に信じられなくなる」『キリスト者連合』のランディ・テイト代表は
『ワシントン・タイムズ』紙に「我々が爆撃の真実性を問題にしているという事
実は、いかにクリントン大統領の信頼性の度合いが低いかを示した。遅延
させたことで、皆が大統領の動機を問題にしている。誰も大統領の言うべきこと
を信じていない」と語った。

 「イラクの爆撃は狭い党派的な利益を超えて、国際的な不名誉の問題にまでな
っている」と、合同メソジスト教会『教会と社会』委員会のスタッフ、トム・ホ
ワイトウルフ・ファセット牧師は声明で指摘している。爆撃の間にファセット氏
はクリントン大統領に「戦争行為」を止めるよう促した。「外交的な手段が、同
じく大量破壊兵器を開発中と思われる北朝鮮とイスラエルに、同様の関心を示す
ために米国など国際社会によって講じられて来た。なぜ同じように危険な武器を
持っている他の国には慎重に対処している時、一つの国に米国や国際的な意志を
選択的に実行出来るのか」と言う。

 宣教師たちは、福音伝道の活動が継続出来るように、紛争の速やかな終息を望
んでいる。イラクで活動していた南部バプテスト会議国際宣教部のゲリー・ヴォ
ルカート副部長は「私たちは、宣教師がそこでなすべき仕事を続けられるように、
事態の速やかな収束を祈るよう頼んでいる」と語った。 なお、イラクで使用す
るための爆弾に心無い落書きがあったことに国防省当局は遺憾の意を表明した。
AP通信が配信した写真に、航空母艦エンタープライズ上の爆撃機に搭載された
レーザー誘導弾に「チャド・リッケンバーグからのラマダンの贈り物」と書かれ
ていた。 国防総省ケネス・ベーコン主任報道官は「宗教的な不寛容」を非難す
る声明を発表、「米国はイスラム教を深く尊重する。我々はアラブと、イスラム
の人々との良好な関係にあることを感謝している。そして
我々は全体として軍と米国にイスラム系米人が重要な貢献
をしていることを正しく評価している」と語った。

アメリカの戦争・軍事介入

 98年10月に発表された自由法曹団の「新ガイドライン関連法案の問題点を解
明!」では、アメリカの戦争・軍事介入に付いて次の様に指摘している。

1.
 周辺事態というのは、日本に対する武力攻撃の場合(日本有事)以外であり、日
本の防衛と直接関係のないアメリカの戦争や軍事介入・干渉に他ならない。

2.
 個別的自衛権及び集団的自衛権による武力行使が国連憲章において認められるの
は、他国の武力攻撃に対して安保理が措置をとる間の暫定的なものに限定されてい
るのであるが、米国は、国際法を無視する侵略戦争や軍事介入を繰り返してきた。

3.
 ベトナム戦争をはじめ、グレナダ侵略(83年)、パナマ侵攻(89年)などは
国連も非難決議をあげている。98年2月にも、国連大量破壊兵器廃棄特別委員会
(UNSCOM)による査察拒否という理由だけで、国連の決議もないままイラク
に対する武力行使に踏み切ろうとしたが、国際的非難が集中した。

4.
 98年8月には国際法を無視して、アメリカに対して攻撃をしていないアフガニ
スタン及びスーダンに対する「報復」ミサイル攻撃を強行した。このように国連憲
章や国際法をも無視する米国の武力攻撃についても、日本が参戦する現実の可能性
が存在する。


 これだけでは無く、米国は「皆が決めた事でも(国連決議)、米国の国益になら
なければ従わない。」等と、余りにも一国主義的な我が侭を通している。それなの
に「今遣らねば世界から取り残される」とばかりに、権謀を蔑ろにした米国盲従に
突き進む政府や、ネットにも垣間見られる御調子者には呆れるばかりだ。
米兵、捕虜の首切った

 報道によるとアフガニスタン北部で昨年11月、北部同盟と米軍が、投降した
タリバーン兵士らを虐待、多数を死亡させた目撃者の証言を集めたとする映像が
13日、ベルリンで報道機関に公開された。ドイツの野党、民主社会主義党と、
欧州議会の左派グループは、赤十字など国際機関による現地調査を求めている。

 アフガニスタン北部クンドウズで昨年11月、タリバーンとテロ組織アルカイ
ダの約88人の兵土が捕虜になった。目撃者した部同盟の兵土によると、捕虜た
ちはコンテナに積まれ、米軍がいる約300キロ西のシバルガンに運ばれた。
一つのコンテナに約3300人が押し込まれたという。

 この兵土は途中、上官の命令でコンテナに向かって発砲したこともある。到着
特には、コンテナ内の捕虜の半数が死んでいたという。アフガン人運転手による
と、死亡した捕虜は「砂漠に運んで、埋められた」という。
個人の戦争犯罪
「平和維持活動訴追対象外に」

ポスニアきょう期限
撤退する可能性も


 国際刑事裁判所(ICC)設立条約の7月1日発効を前に、国連安全保障理事会
が暗礁に乗り上げている。米国が安保理に提出した決議案が、平和維持活動の兵士
らをICCの訴追対象から外すことを求め、決議案が採択されなければー切の平和
維持活動から手を引くと「脅し」をかけているからだ。ボスニアの平和維持派遣団
が期限切れとなり、米政府が派遣団を撤退させる可能性もある。

 ブッシュ米政権が決議案を安保理に示したのは19日。米国連代表部のウイリア
ムソン代表は「自国の兵が政治的ではかけた訴追を受けるのを放置できない」と記
者団に説明した。27日には訴追の免責対象を、すべての兵士から「締約国以外の
参加兵ら」と少し狭める修正をした。決議案についての安保理協議は滋日から本格
的に始まったが、進展がないままいったん閉会。知日にぎりぎりの協議を続ける。
安保理の15理事国のうち、米国を除くすべての国が決議案に反対の立場をとって
いる。

 事態を複雑にしているのが「国連ボスニア・ヘルツェゴビナ派遣団(UNMIB
H)」。安保理は21日、23日で期限の切れる派遣の期限を30日まで延長した。
通常は半年、1年単位で延長されるが、米側の圧力で期間が短くなった。
決議業が採択されない場合、米国がボスニア派遣団から要員を撤退させる可能性も
ある。こうした米国のー国主義に批判が集まっている。国際的な市民団体で構成す
る「国際刑事裁判所連盟」は28日に記者会見し「画期的な裁判所が、米政府によ
って生まれる前から手足をもがれようとしている」と厳しく非難した。

大量虐殺やレイプなど個人の戦争犯罪を問うTCCは、この分野では初の常設法廷。
米政府は前政権が条約に署名したが、ブッシュ政権が5月、著名を撤回した。

パレスチナ自治政府改革に難題
なるか脱アラファト流
議長のサイン万能

 パレスチナ自治政府に改革を求める声が内外から上がっている。しかし、40
年余り、パレスチナ解放闘争を続いてきたアラファト議長のワンマン体制は変わ
るのか。議長のサインした手紙が人事でも財政でも幅を利かし、あらゆる自治機
能を牛耳る「アラファト流」〃は自治政府に染みついている。


 東エルサレムに住むパレスチナ人ジャーナリストのA氏(47)は、93年ご
ろ、自分の服役補償について自治政府社会問題省に間い合わせた。反占領闘争で
イスラエルの刑務所に服役した同氏は、かつてパレスチナ解放機構(PLO)か
ら年金を受けていた。担当者はA氏の年金は既に無効と説明した後、「必要なら
ばアラファト議長に手紙を書いて、承認を得なさい」と付け加えた。「手紙?」
と不審に思ったが、状況は理解した。「制度がどうあれ、議長の手紙は自治政府
では万能です」と解説する。A氏はそんな議長のやり方への反発もあって手紙を
書かなかった。

慈悲求め手紙

 人々は困った事があると、アラファト議長に「慈悲を求める」手紙を書く。
議長の側近や議長に面会できる有力者に手紙を託す。または議長が役所や病院な
どを訪問した時に直接手渡す。議長がひと度、視察に出ると、ポケットは手紙で
いっばいになる。自治政府での求職や、役所での昇進、子供の教育の助成、病気
の家族の治療費の援助など、内容は様々だ。

 議長は手紙を細かく読んでいるという。ただし、直訴が採用されるかどうかは
議長の胸三寸。署名すれば、議長府の文書係から呼び出しがきて、議長に渡した
手紙のコピーを渡される。経済的援助を求めるものなら、手紙を財務省に持って
行くと小切手を渡され、銀行で現金を得る。手紙が最も幅を利かせているのは、
自治政府の幹部人事と各省庁の予算執行だ。自治政府の議会にあたる自治評議会
のハーテム・アブドルカデル議員はいう。
 「自治評議会が各省の予算を承認しても、議長が財務責任者に予算執行を求め
る手紙を書かなければ執行されない。執行額はその場で議長が決定する。役所が
机一つ購入するにも議長のサインがいる状態だ」


腐敗呼ぶ「密室政治」

 同議員は特に議員でも官僚でもない議長の顧問たちが、自治政府の決定に大き
な影響力を持っていることを批判する。議長の署名入り手紙が権威を持つように、
議長の一存で物事が決まる構造が、側近政治にもつながっている。議長は民主的
な選挙で自治政府議長に選ばれたことを強調するが、閉鎖的で不透明な密室政治
になっているという批判は、パレスチナ人の間にも強い。

 93年から93年まで農業相を務めたアブドルジャワーズ・サーレフ氏71は、
「議長の手紙と任命がいつも省の仕事を妨げた」と語る。農業次官がサーレフ氏
に相談もなく、幹部を異動させる命令を出したり、勝手に省の出先を新設する承
認を議長から受けたりした。その度に議長の手紙が登場した。


行政ちぐはぐ

 また農業省がヨルダン川西岸でオリーブの木の品種を集めた実験農場を開設す
る構想が出た。ところが地元の市長が予定地を勝手に市の用途に転用し、オリー
ブの木を伐採し始めた。市長はアラファト議長が転用を認める手紙を取っていた。
サーレフ氏は幹部の腐敗も語った。ある部長が外国から援助を得た漁業プロジェ
クトの資金を着服して車を購入した疑惑では、調査委員会を置いて、事実を突き
止め、部長を刑事告発した。その時、アラファト議長から「(部長は)私の任命
だということを忘れているのではないか」という手紙が届いた。
 「議長の信頼は間違った人物に置かれています」と返事を書いた。サーレフ氏
は部長の職を解いたが、裁判は中断され、免職にはならなかった。
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パレスチナ自治政府改革
い世代の政治参加必要

バレスチナ政策研究センター
ハリル・シカキ所長


 イスラエル軍によるパレスチナ自治区への大侵攻の後、若い世代の間に「この
ままではパレスチナは崩壊する」という危機感が高まっている。彼らは81年に
始まった第1次インティフアーダを闘った世代で、53年のオスロ合意の後、チュ
ニスから戻って自治政府を牛耳ったパレスチナ解放機構PLOの旧世代の幹部た
ちに強い不満を感じてきた。旧世代は管理はでたらめで専制的で非民主的で人権
を抑圧し、腐敗している。

 和平交渉推進を求める旧世代に対して、若い世代は武装闘争で主導権を握ろう
とする。アラファト議長は新世代と旧世代の間で、バランスをとっているだけだ。
様々な努力や圧力の間で足場を移しつつ、生き残りをはかるのが、議長の手法に
なっている。議員自身は改革が必要だとは考えていないだろう。
側近たちは「アラブ諸国で最も民主的な指導者」と吹き込み、議員もそう信じこ
んでいるようだ。

 議員は47年間、パレスチナ解放闘争を率いて、その象徴的存在だ。議長が生
き残ることがパレスチナが生き残る道だ。しかし、今回、イスラエル軍による議
長の監禁が解除された直後に、強い改革要求が出てきた。若い世代は、現在の体
制にうんざりしている。改革が行われなければ、暴力が再燃するのは時間の間題
だ。改革が実施されて若い世代が政治に参加できるようになれば、暴力に訴える
必要はなくなり、和平交渉に責任を持つようになるだろう。

パレスチナ
新世代が改革要求 ワンマン批判「首相職を


 パレスチナ自治政府のアラファト議長が改革に動いている。12月に総選挙実
施の方針を打ち出し、棚上げしていた憲法にあたる基本法にも署名。近く新閣僚
の任命も行われる予定だ。米国やイスラエルが改革を求めてきたが、議長のワン
マン支配が自治政府の腐敗や無責任体制につながっているこの批判が、自ら率い
る政治組織や民衆の間でも高まっている。

 議長に改革を求める声は、5月初めに議長がイスラエル軍による監禁を解除さ
れた直後に開かれたファタハ幹部会で上がった。議長に基本法の承認や省庁再編、
選挙実施などの改革を求めた。その場にいた幹部は「要求の第一は自治政府の行
政に責任を持つ首相職の創設だった」と語った。イスラエル軍の西岸大侵攻で自
治区は軒並み制圧された。ラマラの中心部のある店主は「市民を守るはずの自治
政府の警察や治安部隊はほとんど抵抗しなかった。民衆に対する責任はどうした
のか」と怒りをぶつけた。

 ファタハで強く改革を迫ったのは、87年に始まった第1次インティフアーダ
(民衆蜂起)を率いた30代、40代の指導者たちだ。一方、閣僚など自治政府
幹部の多くは、自治合意後にチュニスから戻ってきて、議長個人への忠誠心で任
命された旧ゲリラ世代だ。新世代は、各自治区に支部を持つファタハの民衆組織
を握り、自治政府の無責任体制に対する民衆の批判を共有している。首相職を設
けるという発想は、「議長がすべてを自分で仕切る現在の状態から、組織的な責
任体制への転換を狙ったものだ」と、新世代の指導者の一人ハーテム・アブデル
カデル氏(47)は語った。

 ファタハ内部での話し合いが行き詰まった後、改革論議は自治評議会に移り、
議長に勧告が出た。45日以内の新内閣発足▽警察・治安組織の統合整理と内務
相の新設▽財政省による財政統制と予算運営の健全化・・・などの要求が続く。
自治区のシンクタンクのパレスチナ政策研究センターが5月中句に西岸とガザで
実施した世論調査で「自治政府の根本的改革」への「支持」表明が91%に達し
た。議長がワンマン体制からの脱皮を図らない場合、民衆の議長離れが広がる可
能性も否定できない。
「パレスチナ国家」来年宣言
エジプトが新和平案

 エジプトでの報道によると、7、8両日に米国でブッシュ大統領と会談するム
バラク・エジプト大統領は、03年の早い段階でのパレスチナ国家宣言を柱とす
る提案を用意している模様だ。現在の自治領域を暫定的な領土とし、自治政府の
機構改革を実施するなどイスラエル側が掲げる条件も反映されており、検討の対
象にしやすい内容といえる。提案は1日のアルハヤト紙などがアラブ高官の話と
して伝えた。また、政府系のアルアハラム紙が米国での首脳会談を予測する31
日の社説で、同様の内容が協議されるであろうと報じていた。

 それによると@パレスチナ自治政府の政治部門および治安機関の再建・改革
A02年中に総選挙。以上が実施されたうえでBパレスチナ国家樹立を03年の
早い段階で宣言するC領土は暫定的に現在のヨルダン川西岸、ガザの約42%に
相当する自治領域をあてるDイスラエルとパレスチナは共に国連加盟国として、
恒久平和をめざす交渉に入るE話し合いはイスラエルが67年に占領した地域
からの全面撤退を目標にする、などが主なものだ。

 エジプトのエルバズ大統領補佐官は31日、イスラエルを訪れシャロン首相
と会談した。同提案についてイスラエル側の感触を探ったとみられる。
「孤独な保安官」を作るな

 今年のG8サミット(主要8カ国首脳会議)は、米国が主導する「テロとの戦
い方」も大きな議題になるという。

 アルカイダのー員が最近、米施設への攻撃を予告した。ビンラデイン・グルー
プが再びテロに走る危険は消えておらず、首脳たちが情報交換と、より有効なテ
ロ防止策を話し合うだろう。しかし、米国の考え方には不安も大きい。ブッシュ
は、テロリストや独裁国家に対抗するには、「抑止」や軍事的、経済的な「封じ
込め」では不十分として、先制攻撃の必要性を強調しているそうだ。

 念願のイラク攻撃を念頭にしたものとみられるが、自衛権の行使を大幅に拡大
する解釈が通るなら、全世界で「事前攻撃」という戦争が勃発し、国連のもとで
平和と安全を維持していこうという戦後の努力は水泡に帰す。

 米国は核不拡散条約、生物兵器や化学兵器の禁止条約などの国際的取り組みが
効果をあげていないと言うが、査察の強化など今の枠組みを改善する余地はなお
ある。一国主義の米国は、テロから自国や自国民を守るという見地からしか世界
を見られなくなってはいるのか。

 中東紛争などを対テロ戦だけで考えるのは間違いで、背景にも目を向けるべき
だ。それでなくとも米国は、京都議定書からの離脱や国際刑事裁判所への不参加、
更には鉄鋼のセーフガード発動や保護主義的な新農業法の施行などでも、独善的
な政策を打ち出している。

 中間選挙に向けた内向き姿勢の表れにのだが、サミットは米国に苦言を呈す絶
好の機会だ。米国内には、自国の横暴に自重を促すどころか、新しい「帝国」と
評価する見方さえ出ている。しかし、米国が単独で世界を「支配」することなど
出来はしない。各国の、特にG8の協力と協調がなければ世界の平和と繁栄はな
い。そのことを各国の首脳は、それぞれの言葉で語るべきだ。G8の論議がすれ
違えば、米国は単独行動主義をさらに強めるだろう。米国を孤独な保安官にして
はならない。
増田俊男の「忘れるなシリーズ」

 増田俊男によると米国にはFOIA(情報開示法)があって、30年を経過した外交
秘密文書が公開されるので、2031年9月11日には2001年に米国でで起
きた同時多発テロの真相が判明するとの事。そこで、増田氏は次の予想をする。

合衆国の歴史上REMEMBER SOMETHING(何々を忘れるな)と言って煽り立てる
が、それが真実であったためしがないそうだ。過去重大な出来事は殆ど計画と立
案者を事前に察知し、更に加害者を誘導して成功させる事により、歴史に残る重大
な「国益」を手にしてきた。そして今度は「ワールド・トレードセンターとペンタゴ
ンを忘れるな」と言うそうだ。過去にはメイン号事件、アラモ砦の全滅、真珠湾奇
襲があったが増田に言わせると、全てが米国の陰謀と断じる。

 スペイン領キューバで起こった1895年のメイン号事件では、当時の
独立運動騒ぎに乘じて米国は米人保護を理由に戦艦メイン号をバハマに送り込ん
だ。これが何者かに爆破されて米人260人が死んだのだが、米国は大統領と
大手紙ワールド、ジャーナルが戦艦爆破をスペインの陰謀だと断定した。そして
スペイン政府は米人を弾圧していると、誇大な報道を連発したと言う。

 「メイン号を忘れるな」と国内を煽り立てた上で米国は、対スペイン軍事制裁
を行い、1898年4月にはスペインに宣戦布告した。たちまちの内に勝利した
米国はキューバだけではなく、フィリッピン、グアム、プエルトリコの各領土を
奪い取った。しかし、それから70年後の1969年になってから、米戦艦を爆
破したのはスペイン側ではな、くアメリカ側であった事を米国自ら発表した。
真相が「判った」からと言っても、これら不法に奪った領土を「正当な持ち主」
に返還した訳では無い。

 1935年に当時メキシコ領で現テキサス州での、移住米人達が合衆国指導下
でテキサス独立運動を起こしてキシコ軍と戦闘状態に成り、合衆国は独立義勇軍
に対して資金援助で支援したが、彼我の差が大きく苦戦した。義勇軍は幾度も窮
状を訴えて合衆国軍にの援軍を待ったが、合衆国はそれを無視して義勇軍の全滅
を待っていたと言う。
義勇軍が全滅してメキシコ軍が立ち去った後に漸くアラモに入った米軍は、惨殺
された義勇兵の惨状を誇大に宣伝した。「アラモを忘れるな」と、ここでもで世
論を煽ってメキシコに宣戦布告した。「戦利品」としてテキサス、ニューメキシ
コ、カリフォルニアを奪った結果、合衆国はメキシコの52%に当たる領土を奪
ったのだ。

 次は近頃のネットでも何回か話題に成った事だが、有名な「リメンバー パー
ルハーバー」である。ハワイの太平洋艦隊司令官は1941年11月27日に、
ルーズベルト大統領から「日本軍に先制攻撃をさせろ」との密命を受け、空母2
隻と新鋭艦19隻を避難させて、その代わりに16隻の老朽艦ばかりを真珠湾に残
た。海門を開き艦船も攻撃され易い樣に直線状に配置、12月7日の「奇襲?」
を待ち受けた。

 今回のブッシュも不自然に冷静だったそうだが、真珠湾奇襲を知って居たルー
ズベルトもまた冷静だったとの事。そして奇襲を知った司令官を更迭したばかり
ではなく、レーダーまで機能不全にしてしまった。無防備な米兵を2400名ほ
ど殺させ、「騙まし撃ち」のニュースを全米に流して大騒ぎさせた。当時の米国
内世論は戦争反対だったが、この作戦が成功して日本憎し一色に染め上げた。
これを機に米国は日、独、伊の三国同盟に宣戦布告をする事に成り、「本当に騙
された」のは日本であった。
参考文献=「パール・ハーバーの真実」(文芸春秋社)


 そして増田は次の樣に締め括った。今度のリメンバーは「ワールド・トレード
センターとペンタゴンを忘れるな」と、国を挙げ報道も全稼動で全米キャンペー
ンである。夜を日に繼いで繰り飽く事無く報道されるテロ発生の瞬間と惨状映像
を以って、米国は類い稀な可愛そうなテロの犠牲国に成れたのだ。米国は一国主
義的な今回の報復を「米国のテロに対する戦争」と位置付け、この報復に協力せ
ぬ国は無関心とは言えず、米国の敵であるとまで言い切った。

 端から犯人をビン・ラディンと決め付け、潜伏先と観られるアフガニスタンへ
正義の軍隊を送り込む。その展開の早さは恰も予定していたかの樣である。そし
て世界はアメリカの正戰に撒き込まれ、多数の民間人も故無き犠牲を強いられる
のだ。そう言えば少し前の報道では、今回のテロ兆候を察知して居たとの事。


MASUDAページ:http://masuda.luvnet.com
e-mailアドレス: sunra@luvnet.com
FAX:03-3955-2122
増田俊男の「米国に騙されるな!」

 増田は更にテロの前後で、それまでの不可能が可能へと変わった幾つもの米国
内外の状況を以下に説く



1.
 ブッシュ支持率が過去最高の91%になり、国内世論の83%が報復賛成と変
化した。

2.
 ブッシュの軍事予算増強を罵倒していた民主党は、ブッシュの要求する倍額の
緊急軍事予算(400億ドル)を可決し、それまで戦争反対だった議会が、議会
の承認無しで軍事行動が執れる権限をブッシュに与えてしまった。

3.
 NATO諸国が米国の軍事行動を支援するのは戦後始めての事だと言い、冷戦
相手のロシアや米国を仮想敵国としている支那までもが、軍事行動に協力する旨
を表明した。冷淡な面もあったサウジ・アラビアのみで無く、反米的なイスラム
諸国、パキスタン、イランさえも協力を申し出た。

4.
 米国がテロリズム支援国を敵国としたことで、アフガンやイラク等のイスラム
原理主義者を支援する国を米国と世界の良心の共通の敵国にする事が出来た。
反して米国の軍事行動を支援するイスラエルは、アラブの戦争代理人と米国が指
摘する「イラクの敵」と位置付けられた。

5.
 米国益に反する反米思想と、これの支持国家が米国の軍事的敵国となった結果、
米国に従う国と対抗する国とに世界を二分した。米国の国益が自国の国益に成ら
ない国まで容赦せず、中立すら認めずに「テロを憎むか愛するか」絵踏みを突き
付けた。米国は第三次世界大戦に至り兼ねない、危険な基盤を一日で作り上げ
たのだ。


 増田は米国による真珠湾奇襲と同時多発テロの欺瞞を解説している

 「真珠湾攻撃の真実」(文芸春秋社版)は米国自らの情報公開の通り、ルーズ
ベルトは奇襲を成功させる為に、事情を知った太平洋艦隊提督を更迭して沈黙さ
せた。そうでもなければ日本軍は真珠湾に掠り傷も負わせられなかった筈だ。
米国内の日本外務省公館と内地との電信はおろか、海軍艦船と軍部との暗号電信
までも無線も悉く傍受・解読され、帝国海軍の進路は日本に在る大本営よりも正
確に察知されていたからである。真珠湾で「殺された」2,400名の米軍人は
米国益の代償だった。


 「誰かの意志」無しに「同時多発テロ」は起こる筈も無かったと言う。米国の
軍事技術は群を拔いて優秀で、軍事監視衛星等でペンタゴン上空一体を終日監視
している。そんな所に民間機が突入するなど考えられず、衝突の一時間前に米当
局に確認されて居た筈だと増田は言って居る。一応はスクランブルを掛けたが当
然、間に合う訳が無いし、その積もりも無かった。
 30年後の「情報公開」によって米国の裏事情は判明するだろう。もう一つ、
ラディンにはあれだけの事をする能力はないとする向きもあるが、大日本帝国海
軍だって真珠湾攻撃は端から不可能だったのに、米国の誘導宜しく成功したのだ。

 既述した通りにメイン号事件やアラモ砦、真珠湾攻撃そして今回の同時多発テ
ロは、歴史的センスで見ればすべて同じ線上にあると指摘している。増田は最後
に「賢者は常に真実を見極め、付和雷同する哀れな者を諌め指導すべき。」と纏
めたが、此処まで断ずる意気をどの樣に観るか。興味ある言説であった事は間違
い無く、言われてみればそうかと思える処に米国の歴史がある。
テロ事前情報
歴史的失敗にメス
米議会 秘密聴聞会で調査へ


 米上下両院の情報特別委員会は4日午後、合同秘密聴聞会を開き、昨年9月の
同時多発テロ事件以前に、中央情報局(CTA)や連邦捜査局FBTがどんな情
報を入手し、どう対応していたかについて調査を始める。現場の捜査官が予兆を
つかみながら、組織の縄張り意識や分析能力の欠如から十分な防止策が取れなか
ったことが明るみに出た。情報機関の歴史的失収にメスが入ることになりそうだ。

 これまで表面化した両機関の主な失敗は図の通り。秘密聴聞会では「テロ計画
の探知につながったかもしれない捜査を本部が許可せず妨害した」とマラーFB
I長官に告発の手紙を出した同捜査官のコリーン・ロウリーさんらが証言すると
みられる。委員会の調査は夏中続く見通しで、失敗を裏付ける文書をすべて提出
させ、責任の所在を迫及する構えだ。

 野党民主党は有識者を含めた独立機関による調査を要求してきたが、ブッシュ
政権は「安全保障上の秘密が漏れる恐れがある」との理由でCTAの監視を業務
とする上下院の情報特別委員会に限って協力を約束。まず議会が原因迫及に着手
することになった。しかし、与党共和党からも「情報を持っていたのに何もしな
かったのだから言い訳は許されない」上院情報特別委員会のシェルビー議員)
と批判が出ており、厳しい展開になりそうだ。


テロー週間前にエジプトが警告

大統領、米紙に語る

 エジプトのムバラク大統領は、4日付のニューヨーク・タイムズ紙(インター
ネット版)に掲載されたインタビューの中で、昨年9月11日の同時多発テロ事
件の約1週間前、エジプト政府の情報担当者が米側に「オサマ・ビンラディン氏
の組織が米国に対して大がかりなテロを計画している」と警告していたことを明
らかにした。同紙によると、米政府の情報担当者は、この話を否定。ホワイトハ
ウスはコメントを拒否した。
米国は「テロ」を憎む?
米国がやれば「テロではない」のか

 過去、秘密裏に外国政府要人の暗殺を図った事が明るみに出た米国だが、ワシ
ントン・ポストの報道でそれが裏付けられた。ブッシュ大統領が本年の初期に、
イラクのフセイン大統領を降ろす為に暗殺を含め、あらゆる手段をとる様にCI
Aに命じたとの報道。万一の場合は自衛の為に「殺す」と云う条件だそうだが、
外国政府首脳に対する「テロ」として米国の正義が問われる事になる。

 これまで米国は外国政府要人に対するテロを、「表向きは」禁じて来たとされ
る。2001年の同時多発テロでは、「テロに対する正当な防衛」との大義名分
でアルカイダに対する報復を敢行した。アフガン攻撃に際しては、直接関係無い
と思われるイラクに対しても攻撃を画策して、英国など各国の不評を買った。

 今までに米国が行ったテロや謀略は多いと言われ、クーデター支援も当該国か
ら見れば「テロ支援」だ。米国の基準で正戰かテロかに別れる。アフガンで発生
した副大統領暗殺は、まさか米国の陰謀では無かろうが、米国がこれによって何
等かの「利益」を目論んではいないだろうか?
米国は「北鮮に譲る理由はない」と言う

 米国の特使と北鮮の朴吉淵国連大使は、ニューヨークで対話再開へ詰めの協議
を開始。5月に実現する予定だった特使の訪朝は、ブッシュ政権が放った「悪の
枢軸」演説に象徴される強硬派が更に強硬さを増し、対話が再開されても一切の
妥協をしない決意とされる。

 パウェルは北鮮に大量破壊兵器の拡散防止と長距離ミサイル破棄、通常戦力削
減の他に核査察受け入れ、援助食料の国民への配布を突き付けた。北鮮との対話
は徒労との意見も多いが、パウエル他の国務省は北鮮との対話に前向と言う。

 米政府当局者は「米国が譲る理由は一つもない」と断言し、米国の真の狙いは
北鮮の自国の状況をどの程度まで把握して居るのかと、米国にどれ程歩み寄るの
かを様子見する為とされる。
米・核の力に執着
プルトニウム
製造再開表明

 米ブッシュ政権が製造再開方針を表明したプルトニウム塊は、原爆の材料にな
り、現在の核戦力の中心である水爆でも起爆に使われる。製造再開の背景には核
兵器生産能力の維持への執着がある。他の核大国に先んじて生産を停止していた
米国の「核回帰」には、「かえって核拡散を招きかねず、国益に反する」との懸
念が米国内でも高まっている。

 核兵器の研究で知られるローレンス・リバモア国立研究所のフオスター前所長
は、5月に開かれた上院公聴会で「核兵器は老朽化している」と証言。大陸間弾
道ミサイル(TCBM)の弾頭がすでに更新中なのに加え、潜水艦から発射する
トライデント核ミサイルや戦略核爆弾も更新が始まることを明らかにした。

 そのうえで「米国は核保有国で唯一、兵器用核物質(プルトニウムやトリチウ
ム)をつくれない国だ。我々は適切な兵器生産体系を復活させなければならない」
と主張。新しい核技術者を育成するとともに、核実験再開まで2、3年はかかる
とされる現状を3カ月〜1年に短縮すべきだとも述べた。

 これに対し、ノーベル物理学賞を受けたワインバーグ・テキサス大教授は「米
ソが早く核実験をやめていれば、インドの核開発は止められたかも知れない。
米国が新型核兵器を開発したり核実験を再開したりすれば、エジプトやイラン、
日本がインドと同じような(核保有という)政策を採るのではないか」と反論し
た。


 カーネギー国際平和財団のシリンシオーニ不拡散部長も
「唯一の超大国が核戦力を重視すれば、世界中に極めて危
険なメツセージを発信することになる」と警告した。
各国が核不拡散条約(NPT)体制に背を向け、核保有や
核増強へ走りかねないと懸念する。

B米国の野望に振り回されるニッポンへ続く