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POETRY MAGAZINE

by Fujiko Seki


おまけ
BotanicalGarden

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12月に見つけた花や実 その4・3・2 奄美大島特集
リュウキュウアカガエル。2年前の画像をようやくアップします。奄美は美しい島でした。



ミヤマウズラ
8月に見つけた花その8

ミヤマウズラ深山鶉(ラン科シュスラン属)

2002.8.17 福島県土湯温泉女沼から仁田沼に向かう森の中で発見。10pほどの茎が1本腐植土の中にぼうっと白く輝いていた。くたびれて下を向いて歩いていたので見つけた。あたりは熊が出るという山の中。思いの滝への道ではカウベルを鳴らしながら歩く人もいた。ここまで来るとだれもいない。怖いので歌いながら歩く。「あるう日、森の中、熊さんに、出ああった。花咲く森の道、熊さんに出ああった。」
ネジバナに似ているが、花はねじれていず一方に縦に並んで咲いている。深山鶉の名は、葉の斑点を鶉の卵の模様に見たてたというが、葉が出ていなかった。下に見えるのは別の植物の葉。



植物の名前  関富士子 (「COLOUR」6掲載 2000.6.19)



 一年ほど前からデジタルカメラで花を撮っている。もう千枚ぐらいになるだろうか。初めのころに撮った写真を見ると、あまりにピンぼけで恥ずかしい。花のおしべやめしべ、小さい柔らかい刺や繊毛がくっきり撮れるとうれしくなる。

 画像をトリミングして名前と撮影した日を付けて、インターネットに開設しているHPにアップする。花の好きな人が訪ねてくれて、いっしょに楽しんでくれればいいな。名前を間違えてはたいへん。植物図鑑はもちろん、インターネットでも検索して調べていると、楽しくて時のたつのを忘れる。
 こんなことを始めてようやく、今まであまりに花の種類も名前もろくに知らないですごしてきたのに気づいた。

 春の田んぼを歩くと、小さく可憐な花が咲き乱れている。その日畔のあちこちに目立ったのは、輝くような黄色の五弁花である。緑がかったしべが内側に反っている。花びらが落ちたあとの金平糖のような緑の実。太い茎に、三つの裂け目が大きく入った葉。調べてみるとキンポウゲ科の「キツネノボタン」だった。とたんに宮沢賢治の童話を思い出す。「どんぐりと山猫」、あるいは「土神と狐」に登場する狐は、チョッキを着込んで胸を張っている。そのチョッキに縦一列光り輝く金色のボタンはこんなふうであるか。よく図鑑を読むと、「キツネノボタン」は「狐の牡丹」と書くらしい。切れこみの深い葉が牡丹の葉に似ているからという。

 「キツネノボタン」によく似た花に、同じキンポウゲ科の「ウマノアシガタ」がある。葉が馬の脚の形に似ているからというが、やはり三つに切れこんでいて馬の脚形とも思えない。これは「鳥の脚形」と間違えて名付けられたといわれる。間違えていてもわざわざ訂正しないから、ちょっと変な名前は他にもたくさんある。植物の名前は、こんないいかげんなところもなんとなく面白いのである。

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関富士子raintree@sun.interq.or.jp