フィニス

 悠久の 時の流れは絶えずして
 人の因果も また巡らん
 巡らぬ生に意味は無く 諸行無常に過ぎ行かん


<神話に見られるフィニス>

 フィニスとは、全ての使徒の内で最も特殊な使命を授かった者である。 多くの使徒が、地上に生きる者の手本であったり、彼らの罪を断罪するものであるのに対し、 フィニスはただ眺める事だけを使命として授かったのである。

 時として、フィニスはその使命を口をきくものに対して、罰として与える事があった。 ただ待つ事だけを与えられた種族は、定命の者達に対し悪影響を及ぼすと考え、 自ら異界を作りその内で暮らしていると言う。

<職業としてのフィニス>

 知っての通り、フィニスは職業ではない。むしろ、エフェクトスに近い存在と言えるだろう。 フィニスの運命が宿る者は、使徒フィニスに与えられた使命により、暴力以外で死を迎える事は無い。 運命はおろか、聖痕を宿す者は、一定期間に一度だけ暴力による死より生還する事が出来る。 しかし、その代償として転生をする事は無くなってしまう。これは、使徒フィニスが時の因果の果てに配置されたためである。

 不死である事は決して幸せであるとは限らない。むしろ、不幸な事であろう。 事実、古代のエルフであるアステエルは、自分たちの記憶の重さに疲れ、異界の内に閉じこもってしまっている。

<逆位置>

 定命の者たちに対する関心が無くなる。或いは、命に限りがあることに対して恨みを持ち、 定命の者たちを排除しようとする。

 永い、永い年月を生き、愛するものと共に老いる事もかなわず、 それどころか、先立たれてしまう。自分の姿はフィニスとして目覚めた時より、一年足りとも老いていないのに。 人は何故寿命があるのだろうか?

 一つの所に定住する事も叶わない。自分よりも老い、そして死んでゆく我が子。 一体、これの何処がうらやましいのだ!? 貴様らは羨むか、化け物扱いしかしないではないか!  定命の者など信じられるものか! 私を迫害した者たちなど!!