エルス

 魂の緒は 分かれ離れて 消えぬれど
 元は一つの 御霊なり
 心で響く清き声 いかなるものも妨げず


<神話に見られるエルス>

 神ですら引き離す事の出来ない関係をもち、二つの体で一つの魂を共有する使徒。 それがエルスである。エルスがなぜ二つの体をもつのかは不明である。 が、仮説が無いわけではない。

 彼女が聖なる声の子である事。彼女が愛しげに触れる存在が、竜と酷似している事。 そして、竜のルーツが不明である事。この三つから幾つかの仮説を導き出せる。 ここでは、最もそれらしい物だけを紹介する事にする。

 使徒エルスはアーの愛から産まれた。それと同時にエルスは、無から己の愛する存在を作り上げたのである。 自分自身とは大きく異なる姿で。自分自身の持つ全ての力を与えて。 これが、「原始の竜」と呼ばれる存在ではないか?  と推測する。エルスが、使徒としての力を全て与えた。だからこそ、竜は強力な存在なのである。

<職業としてのエルス>

 エルス、と言う職業は存在しない。また、エフェクトス等とも異なり、 これは血筋や種族などを表す物ではない。己の生涯の伴侶として、自分とは異なる者を愛する物を指す。

 往々にして、これは異種族や動物、あるいは魔獣であり、同種族のものを生涯の伴侶とする者は少ない。 種族や姿形を超え愛を語ることなく実践する者。それが、エルスである。

<逆位置>

 ファミリア、すなわち己の伴侶に対する愛情に囚われる。 そのため、自己の愛を全てと思い込み、それを一貫するために他者の愛を奪う。

 なぜ、生き物は死ぬのだろうか? ファミリアであるはずの命が、何故私を置いて先立ってしまうのか?

 長い時を共に過ごし、私は君に幾度となく心を救われた。その君が何故死ななければならない…  君は私の魂の伴侶じゃないか。それを奪う者は、例え誰であっても許さない。 アーであっても…