ウェントス

 流れ行く 無常の時に 逆らわず
 過去の歴史を ただ伝え
 気の向くままに 我も流れん


<神話に見られるウェントス>

 神話において、使徒ウェントスの役割は、アーから他の使徒への「伝令」であった。 そのため、ウェントスの足は極めて速かったのである。その足の速さが、 奇跡∵神移∵である。ウェントスが世界を一呼吸で7週も回れた理由、 すなわち、足の速さの秘訣は、彼の使徒がエーテルの精霊であることにある。

 世界の原料たる「光」を「エーテル」と呼ぶのであれば、∵神移∵とは、 出発地点と、到着地点を無理やり繋げる事で、瞬間移動をさせているのであろう。

<職業としてのウェントス>

 ウェントス、と言えば旅芸人や、吟遊詩人を指す。彼らは人を喜ばせるために、 様々な伝承知識、或いは虚偽情報を集め、それらを元にして新たなる芸や歌、舞いなどを創作しているのである。 では、何故彼らはウェントスと呼ばれるのであろうか?

 使徒ウェントスは、アーから他の使徒への伝令であった。 その情報、使命は「大皆触」の折に、使徒、闇の鎖と共に砕け散り地上へと降りた。ウェントスが、様々な情報を集める事は、 すなわち、使徒ウェントスが使命を果たさんとする事と同じである。それゆえ、彼らはウェントスと呼ばれる。

 ウェントスが運を頼りに生きていくのは、使徒ウェントスがそれだけ不安定である事の証明でもある。 「エーテルの精霊」であるが故に、どこかが闇に侵されれば、ウェントス自身も闇に染まるのである。 周りの影響を受けやすいと考えても良いだろう。

<逆位置>

 自由である。

 つまり、確固たる意見は無いと言う事である。その場その場での意見はあっても、 全体を通しての主義主張は無い。自分自身に絡みつく闇の鎖ですら、そのときの気分次第では、 断ち切ったり、取り込もうとしたりするだろう。最もたちの悪い存在である。

 脈絡は無く、日銭のためにですら人を殺す事もあるだろう。それによって、自身が危険になったとしても全く問題は無い。 他の場所に移ればいいのだから。何をしようが俺の勝手だ。邪魔する奴は死ね。