「性」論メニューページへ戻る
トップページへ戻る
性別とレンアイ&ケッコン
ほえー、響谷ですぅ。
体調はそこはかとなく上昇傾向にあるよーなのですが、思い煩わされることは増える一方で、いつ下降局面に引き戻されるか、まったく予断できません。最近は家に帰るとどっと疲れが出てメールチェックすらメンドーになるしまつ。(ごめんねー、さおりん、たっきー) せめて靴を脱ぐ前に玄関に座り込んじゃうような状態からは早く脱したいです。
で、増えつづける悩みの中でも現在人気急上昇中(?)なのが「縁談」だったりします。そう、ナニをトチ狂ったか響谷に縁談話が舞い込んできたのです。まったく無駄だっつーのに、まわりだけ乗り気なのでうっとーしくて困ってます。なので、せめてネタに使わせていただこーという訳で今回テーマに取り上げてみました。つっても、具体的な話じゃないので間違った期待はしないでね☆
さて、レンアイ(そしてそれに続くケッコン)とゆーのは、どうしても性別って奴に縛られてる。(今回いきなり結論っぽいなぁ) 世の中が異性愛中心で回っているので同性愛や両性愛が割り食っている、というような意味じゃないよ。異性愛にしろ、同性愛にしろ、互いに自分と相手の性別が確定してはじめてレンアイが始まるってゆーことを言っているのだ。たとえば男性同性愛者同士のレンアイって奴は、自分が男であるという確固とした認識と、相手が男であるという確固とした認識の両方が在って、初めて成立する。
両性愛だって実際に一対一のカンケーになったときには異性愛だったり同性愛だったりするわけで、とあるレンアイ関係が両性愛であるという訳じゃない(ハズだ。響谷は自分以外に両性愛者を自称している人を知らないから確かなことは言えないけど)。たとえば、とある両性愛者がとある女性とレンアイ関係になったとすると、少なくともその二人の関係は「レズビアン」であって「両性愛」ではないのである。
なぜこんなことが起こるのかというと、(少なくとも現在の社会では)とある人物のことをそのとある人物として正当に扱おうとするとき、それが恋愛がらみでなくても、そのとある人物がどちらの性に属するのかということが、最重要項目の一つとなっているからだ。例をあげてみよう。
スズキ・シノブという名前を持つ人物がいるとする。漢字で書けば「鈴木忍」だ。シノブは会社員だ。役職は係長。年齢は30歳台位。
もしあなたが仕事がらみでシノブと関係するのなら知り得る情報はこのくらいだろう。同じ会社の人間ではなければ、年齢も知らないかもしれない。電話でしか話さないとすれば、外見も知らないだろうし、メールのやり取りしかなければ声質だって知らないだろう。だけれども声質ないし文体で、あなたはシノブは多分男性なんじゃないかな、と思う。しかし、いつもは仕事に関係したやりとりしかしないので、性別とは関係なく事務的なことのみ話題になっていた。
そんなある日、新規プロジェクトの立ち上げで、シノブと会うことになった。打合せの場所にあらわれたシノブは、シャネルのスーツ・スカート(って言うの?よく知らないんだけど)をびしっと着こなした、そこそこの美人だった。
あなたが
「スズキさんって女性だっんですねぇ」
と言うと、シノブは、
「よく言われるんですよ。私って声が低いし、文体も少し硬いみたいで」
と言って少し笑った。
打合せが終わるとあなたは近所の「ケーキのおいしいお店」にシノブを誘ったが、シノブは、
「ごめんなさい。私、甘いものが苦手で」
と言って、コーヒーしか飲まなかった。
もしも、打合せにあらわれたシノブが普通の背広を着ていたらあなたは、やっぱり男性だったと思い、そのまま仕事の話に入っただろう。そして、誘う場所も「ケーキのお店」ではなかったはずだ。
だが、スーツ・スカートを着ていたとしても、もしかしたらシノブの同僚達は、「うちの会社には男のくせにスカートをはいている気持ち悪い奴がいる」と思っているかもしれない。背広を着ていても「女のくせに色気のまったくない奴がいる」と思っているかもしれない。なぜならば、シノブの「本当の性別」を知っているからだ。そして、単に同僚(あるいは上司・部下)としてでなく、男性の/女性の同僚として接しようとするからだ。それは、性別を念頭に接さずにはいられないという欲求があるというだけでなく、正しい性別を前提に接しなければ時には大変失礼になると一般に考えられているからでもある。(女性に向かって「男だと思ってた」と言うことを考えてみてほしい)
で、話をレンアイに戻すと、なぜ「正しく性別を取り扱う」ということがレンアイに絡むかというと、レンアイが行為(好意の誤変換ではナイ)の一種だからである。(あるいは「コミュニケーションの一種」といったほうが正確かもしれない)
レンアイ状態に陥ると、ひとはその対象にさまざまな欲望をおぼえる。別に性的なものでなくても、○○してあげたい、○○してほしい、といった程度のことは考える。そして、その対象が身近な人物なら、その欲望をかなえようとするか、そうでなくても好意のあらわれとしてその人物を「正当に」扱おうとするだろう。とすると、どうしても相手を「男性(女性)」として扱うことになる。
で、それのナニが問題かと言うと。(実はここからが本題だったりする)
響谷は自分の性別がよく判らない、ということにもろにぶち当たるのである。戸籍も、(少なくとも自分で確認した範囲では)肉体的にも男性である響谷がなぜに「自分の性別がよく判らない」などとホザくのかといえば、それはひとえに「男である自分」に違和感を感じまくっているからにほかならない。「自分は男ではないと思っている」と言いきってしまってもいいかと思う。
しかし、である。
ここで「私、身体は男だけれどホントは女の子なの☆」と言ってしまえば話は単純、私は「性同一性障害(トランスセクシャル)」として病院に行き、「再判定手術(いわゆる性転換手術)」を受ければすむ。(言うほど簡単じゃないけどね)
だけれど、私は「ホントは女の子なの」と言ってしまえるほどの確信もまた、持てないでいるので、はたして、女の子になってしまえばそれで解決、といえるかどうかもはなはだアヤしい。
とすると、私は他者とのコミュニケーションにおいて、ひとつ、困った問題を抱えることになる。相手の人は、私を「正しく」扱おうと思った結果、私のことを「男性」として接する。しかし、私は自分を「男性」だとは思っていないので、違和感を感じる。それでも、それほど性別を意識していない人ならば単なる「違和感」ですむのだけれど、それを強く意識する人だと「違和感」が「ストレス」にまで発展してしまう。(かくして、私の対人関係はストレスまみれとなる) ましてレンアイだとかケッコンだとかいうものは「性別」が中心要素となる。すると、相手が私に「その種の好意」を抱けば抱くほど私はストレスを感じるという困った状態に陥るわけだ。
う、書いてて今はじめて気づいたんだけど、これはかなり致命的なことだぞ。というのも、「性別に属する存在」として取り扱われることにストレスを感じる以上、残されるのは限りなく性的な要素を排した「オトモダチ恋人(夫婦)」しかないわけだけど、一方で私自身、レンアイという現場では相手を「男性」ないし「女性」として扱わねばいられない「縛られた」人間だったりするのだ。とすると、私は「構造的に両想いができない人間」ということになる。だって、私が恋愛感情を抱く相手は、私のことを「恋愛の相手としては」なんとも思っていない人に限られ、私に恋愛感情を抱く人(そんな人がいれば、だが)に対しては、私は「男性として扱われるストレス」から苦手意識を覚えるということになるからだ。
この「片想い構造」から脱却する可能性は2つあるが、どちらも可能性としては、多分、とてつもなく薄いものだと思われる。
ひとつは、自分自身は男性/女性として扱われることに抵抗を感じないか、あるいは好ましく感じるが、恋愛の相手の性別は意識しないという、はたして存在するんだろーかというような珍しいタイプの人と相思相愛になるというパターン。
もうひとつは、響谷が男性/女性としてのアイデンティティを確立するというパターン。しかし、これもやっぱり可能性は低い。これまでの人生において、男性であるべしという圧力を受けつづけ、かつ、戸籍も肉体も男性であるという条件下で、今に至るまで自分が男性であるという確信を抱けていないということを考えれば、今後男性としてのアイデンティティを確立することはまずないだろう。かといって、あまりに女らしくない響谷のパーソナリティを考えれば、女性であるという確信を得ることも望み薄である。だいいち、女性として扱われた経験がない以上、女性として扱われることにストレスを感じない保証はない。ネット上では、性別(戸籍/肉体)を明かす前に女性だと思われるという経験はしばしばしたし、その状態でストレスを感じることはなかった。しかしそれは、性別を比較的意識しないネット上の特殊な環境下でのことである。私がストレスを感じなかったのは、はたして女性として扱われたからなのか、それとも性別を比較的意識しないネット環境のおかげなのか、判断は下せないのである。(ただし、現実社会で女性として取り扱われるようになれば、当然のように「女らしくあれ」という圧力にさらされ、その圧力に対してストレスを感じるということは確実だと思われる。それは私自身が女らしくない上、女性が女らしくあらねばならないという価値観に同意していないからである)
とりあえず、今回の結論。
響谷は、少なくとも現時点では、男であることも女であることもできない。しかし、それを打開しない限りは相思相愛のレンアイをすることはできない。したがってケッコンなどもってのほかである。
・・・なのに、何で一次面接に通っちゃったんだろう。きっとゴルゴムの陰謀に違いない。
ううう。なんか、また文章がカタくなっちゃったよぉ。しかも長い上にグチばっかだし。ま、グチばっかというのは、当初からの予定でもあるんだけどね。
NEXT
「性」論メニューページへ戻る
トップページへ戻る