1556/1〜1558/1 第4章「そして上洛へ・・・」                


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武家の統領に御館様が成るにあたって重要なことは、
威信・大義名分も勿論だが、やはり国力の大きさが最重要点である。
だが、その意味では日の本の約1/3を手中にしている我が愛田軍は申し分ない。
逆に今度は、武家の統領としての威光を示すため、
首都である京都を手中に収めなければならない。
上杉・北条と盟約を交わした愛田軍は、一気に上洛すべく軍を発した。


1556/ 1 東海道沿いに進撃を開始する。
     美濃国大垣城を沙律殿が、尾張国犬山城を私がそれぞれ陥落させる。

  / 3 常陸国土浦城が帰順を申し出てくる。
     尾張国清洲城を武田信繁殿が帰順させる。

    / 4 伊賀国(西三重県)上野城を北信愛殿が帰順させる。
     
  / 5 伊勢国(三重県)亀山城が帰順を申し出てくる。順風満帆である。
     北近江国の小谷城を攻める。守将は浅井久政。
     堅城として名高い小谷城だが、
     息子の長政が大将でなければどうということはない。
     帰順した中で特筆すべき人物は、猛将遠藤直経である。

  / 6 葛西晴信殿が、武田滅亡後浪人していた
     軍師山本勘助殿を発見し、推挙する。
     初めは躊躇していた勘助殿だが、御館様に大義を説かれ、帰順する。

  / 9 ちょっとした異変が発生する。
     羽後国の安東愛季がなんと、羽後国大館城を攻め始めたのだ。
     これは全く寝耳に水であった。全くもって不覚である。
     友好度が高いと思って油断していたのは事実であるが、
     麒麟児の愛季が後を継いだ時点で、警戒すべきだったであろう。
     最低限の凡将しか駐屯していない大館城、簡単に落城する。
     
     御館様の御威光のため、放って置くわけにはいかない。
     至急、総大将を沙律殿とした北方制圧軍を組織する事を企画、
     御館様に認可を頂く。

     
     「都に向かえば、戦で血が流れることは無くなる・・・
      そう、単純に考えることは出来ないと言う事ですね・・・」
    
     御館様の辛そうなお言葉に力になれない自分がもどかしかった・・・。 
     
  /11 中野宗時殿、北近江国佐和山城を帰順させる。

  /12 沙律殿を主将、蛇島殿を副将とした北方制圧軍、
     津軽国石川城に出発する。

1557/ 1 安東家の蠢動ごときで上洛軍を止めるわけにはいかない。
     南近江観音寺城を攻撃する。

     ここはちょっとした激戦となった。
     立て籠もるのは武田に美濃を追われていたとは言え、
      司馬遼太郎の「国盗り物語」の前半主人公、乱世の梟雄斎藤道三、
     強敵として蜂須賀正勝前田慶次、佐々成政らが
     部下として就いていたのだ。

     しかし序盤の愛田軍ならいざ知らず、関東・甲信の優秀な武将が
     犇めいている上洛軍、「壁越え」なども併用して観音寺城を落城させる。
     斎藤家ここに滅亡。蜂須賀、前田両名が帰順する。
     前田慶次の戦闘力は頼りになる。

  / 3 山城国室町御所へ・・・いや、もう足利将軍家は滅びているのだ。
     平安を悪戯に乱す不届き共の治める、京の都攻撃に入る。
     
     守将は六角家の村上義清、剛の者だが、
     私とて手を打っていないわけではない。
     内応の密約を結んでいる、九戸政実、九戸実親、
     伊達種宗の3人に開門させる。
     旧室町御所は防御に適した場所ではない。義清は這々の体で逃亡する。


     ・・・ついに理奈様を上洛させることに成功した!

     我々は早速、人々の心を慰撫すべく兵達に治安の維持を厳命し、
     威儀を正してこの国の王である正親町天皇に拝謁する。
    
     「朕は、戦で民草が苦しむのを心苦しく感じておる・・・
      其方が民草を救い、日の本に平安を導くと言うのであれば、
      朕も心安らかである・・・」

     本来であれば、国王である天皇が反乱軍を討伐するべきであろうが、
     平安時代より武力を失っている国王では如何ともしがたいであろう・・・
     
     
     「・・・陛下のお心苦しさ、この理奈十分に理解してございます。
      この理奈、粉骨邁進致しまして、日の本に戦無くしてみせまする。
      今しばらく、お騒がせしますことをお許し下さい・・・」
    
     そう言って平伏する御館様。
     理奈様、この国を本当に平安に導けるのはあなただけなのです。
     形骸と化した旧勢力に平伏することなど無意味ではありませんか?
     そう言上したい衝動に駆られもする。
    
     いずれにしても天皇家の錦の御旗は大きな武器となる。
     少なくとも我々は義軍として軍を動かすことが出来るわけだ。
     御館様を中心に軍議を開き、
     山陰の制圧と畿内の平定に取りかかることに決定する。

  / 5 北陸道より、若狭武田軍が今浜城に進撃との報を受ける。
     なんの弱小の若狭武田ずれが。時代の見えぬ不届き者め。
     迎撃軍として、黒田殿に急行して頂く。
     黒田殿を中心にして、鉄砲の釣瓶撃ちで若狭武田軍は四散する。
     捕虜の、剛将真柄直隆殿が帰順する。

  / 6 畿内平定軍として、麻理殿を中心に恵美殿武田信繁殿、
     蜂須賀正勝殿高坂昌信殿の隊が結成される。

  / 7 畿内平定軍、北畠軍の立て籠もる山城国勝龍寺城を攻撃する。
     守将は三好長逸、程なく陥落する。

     同時に沙律殿の北方制圧軍、一気に羽後国本城の立峰湊城を攻撃する。
     御館様の上洛が気に入らないのならば、
     弓矢を持って己の正当性を証明して見せろ、安東愛季!

     沙律、蛇島らの猛攻に耐えられるはずもなく、愛季帰順する。

  / 8 私率いる山陰制圧軍、波多野家の丹波国八上城を攻撃する。
     メンバーはが総大将に、美香聡美殿長野業正殿前田慶次だ。
     名のある武将はおらず、あっさりと陥落。

     沙律殿が羽後国横手城、瑠美殿が南近江国宇佐山城、
     北信愛殿が丹波国横手城をそれぞれ帰順させる。
  
  / 9 畿内平定軍、山城国槙島城の六角義賢を攻撃する。
     いずれにしても将軍家を滅ぼした六角家は討伐せねばならない。
     陥落後、義賢が許しを請うので、御館様これを受け入れる。
     真の仁将というのは、こういうお方の事を言うのだ・・・

     数日後、役目で都に一時戻っていた私に、御館様が
     一人の利発そうな少年を紹介してくれた。
     聞けば御館様、この少年を養子にしたという。
     なるほど。目の輝きと言い、振る舞いと言い、隙が無く、
     大器となる器だろう。
     少年の名は蒲生氏郷と言った。降将蒲生賢秀の息子だと言う。


     八上城に戻った私に、とんでもない知らせが待っていた。
     なんと、梨田聡美殿が出奔したというのだ!

     私は我が耳を疑った。
     聡美殿は私達と同じく旗揚げ時からの股肱の臣である。
     しかも、御館様の分け隔てない仁政のどこに不満があろうというのか!

     怒りさえ覚える私に、長野業正殿が事情を説明してくれた。
     聡美殿は剣の道を究めたかったのだという。
     無事旗揚げの面子で、御館様を上洛させることに成功し、
     日の本の統一も目に見えてきたところで、
     聡美殿は自分の役目は終わったと感じられたらしい・・・
     高坂昌信殿に剣の奥義を伝え、自らは愛田軍の陣を去られたと言う。

     無論、業正殿や昌信殿も懸命に引き留めてはくれた。
     しかし、彼女の強い思いは引き留めることが出来ず、
     最終的にはその背を見送ることしか出来なかったらしい・・・
    
     廊下を歩きながら彼女の気持ちを考えてみる。
     分からない訳ではなかった。
     同じ女としての生き方を捨て、武門に生きる道を選んだ者同士だ。
     分からない訳がない。
     部屋に戻ってみると、美香がいた。
     美香は怒っていた。私以上だった。
     やり場の無い怒りを、一人寂しく壁にぶつけていた。
     
     彼女にしてみれば、実姉であるが故に、
     その怒りは私より強いのだろう。
     彼女は涙を流していた。よほど悔しかったのだろう。
     
     「ここまで一緒に御館様に仕えてきて、今更なんで・・・」
     そんな彼女の姿を見て、私は一人考えてみた。
    
     御館様なら許しただろう。
     にっこり笑って「これまでよく力を貸して下さいました」と。
     その御館様がお許しになられるのに、
     我々下の者が騒いだとて、どうにもならないではないか。
     その夜は美香ととことんまで酒を酌み交わした。
     恐らく一番辛いのは聡美殿なのだ。


     安東愛季殿が、津軽国福山城を帰順させる。

  /10 近隣諸国の蠢動が五月蠅い。
     
     織田家から独立した、林通勝の軍が尾張国犬山城に向かっているという。
     麻理殿、加藤殿、明智光秀殿に防戦に向かってもらう。
     迎撃に成功し、斎藤義龍らを配下とする。

  /11 麻理殿達に林軍を追撃させる。
     愛田軍と事を構えるとした以上、
     とことんまで付き合ってやろうではないか。
     追撃軍は、麻理殿、恵美殿、武田信繁殿、蜂須賀正勝殿、高坂昌信殿、
     斎藤義龍殿である。

  /12 麻理殿らが尾張国那古屋城の林家を攻める。  
     陥落。ここに林家は滅亡する。

1558/ 1 丹後国建部山城の若狭武田家を攻撃する。
     さしたる名将もおらず、簡単に陥落。
     武田信豊、後瀬山城に逃走する。


     年賀に正親町天皇の御使者が御館様の元に現れる。
     早速、御館様と共に皇居に出向く私達。
    
     その席で正親町天皇は、
     御館様を征夷大将軍に任命する旨を仰せられた!

     我々はついに悲願を達成した思いだった!
     御館様が、日の本の支配者と公式に認められたのだ。
     御館様は恐縮して固辞していらっしゃったが、
     正親町天皇に「その方でなければ、不逞の輩は治められぬ」との
     お言葉を頂き、ついに決心する。
    
     幕府を開く許可を頂いた以上、無用な戦いをする必要はない。
     御館様は外交に堪能な諸将を集め、
     全ての大名に同盟を持ちかける使者を送ることにする。
     流血ではなく、同盟による日の本統一こそが御館様の願いである。


 
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