キャンペーン「XANADU」粗筋紹介

  
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第0話(プレ:3/20TGC登別合宿)「迫る者ども」      ルナー帝国内の自治都市ダックポイントにて、 自警団「魂の剣」のメンバーであった、サーレナイトとマーガレットに、 指導役のガストンから依頼(命令)が来る。 ガストンの旧友で、「フマクトの剣」である 老剣士ヴァルターという男の住む村が、山賊に狙われているというのだ。 本来であれば歴戦の剣士であるヴァルターのこと、 山賊ごときに後れをとる事はないのだが、 彼にはそろそろフマクトの招き(死)が 近づいているらしいとのことなのだ。   ヴァルド、レガル、アコロトゥーロ3名のPCの加勢を得て、 ヴァルターの村、ブロンズバレーに向かうPC達。 これまたヴァルターの依頼を受けた、警戒心の強くなっている バビースター・ゴアの女戦士、パメラを何とかやり過ごし、 ヴァルターと、その世話をしているチャラーナ・アローイの 「大いなる癒し手」リディアにPC達は会う。 話をした結果、ヴァルターの弟子のシャンドールが村に戻るまでの 10日間、村の警備をする事となった。 それほど裕福ではない村のこと、襲われることに心当たりは無いか、と 尋ねるPC達に、ヴァルター・リディア・村長の3人は、 この村には禁断の知識を治めた「神知者の書」が封印されている、と 教えてくれる。     神知者とは数百年前に、神々の領域まで知識を高め、 グローランサの法則までも自分たちでねじ曲げようとして、 「真のドラゴン」達に滅ぼされた、魔術師集団のことである。 ある雨の夜、隣村が何者かの襲撃を受けたらしく、ただ一人の生き残り、 少女ミナがブロンズバレーに逃げてくる。 返り血と火傷を負ったミナを匿い、警戒態勢を整えるPC達に、 ダークトロウルのガーラーク率いるトロウルキン共が襲撃を 掛けてくる。     何とかガーラーク達を撤退させたものの、 パメラとの連携はうまくいかない。 このままではいけないと、マーガレット達の懸命の説得もあり、 パメラもまた、心を開いて力を貸してくれることとなる。 数日後、秘密兵器のグレートトロウルと戦闘カブトムシを引き連れ、 再攻撃してくるガーラーク達。 しかしPCらも必死に食い下がり、パメラとの連係攻撃もあって ガーラークを仕留めることに成功する。     安堵するPC達だったが、ヴァルターは一人、ミナの火傷を 訝しがっていた。 トロウルは火を嫌うはずなので、ミナが火傷を負ったのはおかしいはず なのだ。     果たして10日目の夜、ヴァルターを拉致しようと襲撃を掛けてくる 謎の者達。 PCらが向かったときそこで見たものは、 パメラをあっさりと殺し、彼女の脊髄を引き抜いていたミナの姿だった。 驚くPC達にミナ(の姿をした者)の配下で「三猛鬼」の二人、 狼頭ブルーのゾルダークとオーガのカインが白兵戦を挑んでくる。     ミナの正体は、混沌の魔女エキドゥナ。 彼女は混沌の諸相として、殺害した相手の体組織を取り込むことにより、 その姿・肉体的魔術的能力を自分のものとする力を持っている。 つまり、本物のミナは自分の村ですでに殺されており、 この村にやってきていたのはミナに化けたエキドゥナだったのだ。      ガーラークが襲撃してきたのは偶然であり、 (ガーラークは単に物資が欲しいため襲撃してきただけであり、 「神知者の書」のことは知らなかった。) エキドゥナこそが「神知者の書」を奪おうとチャンスを狙っていたのだ。     奇襲を受け苦戦するPC達だったが、リディアの呪文の加勢もあり、 なんとか撃退することに成功する。   エキドゥナは転移の魔道呪文で撤退する。    翌日、ヴァルターの弟子である「フマクトの剣」シャンドールが カルトミッション(教団の指令)より帰還する。 安堵したことによるものだろうか、ヴァルターはその夜 息を引き取ることとなる。    PC達は村を守り抜いたが、エキドゥナは一時的に撤退したに過ぎない。 「どうすればこの警戒厳重な村から「神知者の書」を引きずり出せるか」 これこそが彼女の次の命題であった・・・。  
     第1話(4/18)「きっかけ」     エキドゥナは策を練った。   あのブロンズバレーの封印から「神知者の書」さえ引きずり出せば、 奪い取ることは造作もない。 問題はどうやって「神知者の書」を村から出す理由を作るかだ・・・。         ダックポイントのタルツェン、レガル、アコロトゥーロの元に 新米「大いなる癒し手」のマフィンがあわてて駆け込んでくる。 街の外に遊びに行った子供達3人を、ブルーが襲っているというのだ。 ブルーは確かに多種族の雌も襲うが、人喰いでもある。 義侠心溢れるPC達は直ちに、街の外に向かった。     PC達はすぐに2人の子供、ジャン、アレフを保護することが出来た。 遭遇した3体のブルーも駆逐し、程なくジャン、アレフと別れてしまって 泣いていた女の子ノエルも救い出すことが出来た。   しかし数日後、ダックポイントにおいて謎の疫病が蔓延し始める。 感染者の全身に人面疸が発生するという、前代未聞の症例だ。 ひょっとすると、ブルー達より病原菌を持ってきたのかもしれないが、 原因よりも今は手を打つことが肝要である。   通常の人面疸というのは、体の1カ所にしか出来ないのが症例なのだ。 従来の治療法で果たして効果があるのだろうか? 広がり続ける感染者の数に、駆け出しの「大いなる癒し手」マフィンは とにかく従来の人面疸の治療法を試みることにする。    人面疸の治療には「キコの実」という特殊な果実が必要だ。 マフィンは自分が応急手当をしている間に、 PC達に、数十km離れたところに自生している「キコの実」を 一定量取ってきて欲しいと依頼する。   PC達は街の南東にある丘陵地帯に向かって進むことになる。 途中、岩場にてクリフトードの襲撃を受けるが、 これを見事撃退し、その腹に収まったばかりのトリックスター、 ブラフォードと面識を持つこととなる。      幸運にもブラフォードは、「キコの実」が自生している場所を 知っているらしい。 ブラフォードの案内でPC達はその木の場所に向かうが、 なんとその木の根元には、ケーブトロウルのつがいが 巣を作って住み着いていた。   混沌の生物でもあるし、背に腹は変えられぬとばかり、 ケーブトロウルに戦いを挑むPC達。 トロウルの怪力と再生力に苦戦するが、何とかこれを撃退する。     「キコの実」を収穫して、ブラフォードとも別れたPC達、 ダックポイントに無事帰還する。   早速マフィンは「キコの実」を使って治療薬を作り、 寝ずの看病で、感染者達に薬を投与する。 しかし、アラクニー・ソラーラの気まぐれか、チャラーナの加護を 得られなかったのか、マフィンの治療法は効果が無く、 とうとう感染者の一人で、保護した子供のジャンが亡くなってしまう。     疲労とショックの為に、その場に倒れ込んでしまうマフィン。     「私は何も出来なかった・・・。「大いなる癒し手」の資格までもらって おきながら、いざというときに何も出来ないなんて・・・。 私なんて癒し手の資格なんてありません・・・。」 弱々しげにそうつぶやくマフィンの目には涙が浮かんでいた・・・。    
  第2話(5/23)「手段」    泣いていても感染者が自然回復するわけではない。 翌朝、疲労を少し回復したマフィンは、再度気を強く持って PC達に再度のお願いをする。     自分の経験では、この病には太刀打ちできないが、 彼女の師であれば、この事態にも対応できるはず、と語るマフィン。 マフィン自身も16の若さでルーンクラスの資格を得た 天才と言うべき人材だが、彼女曰く、 自分の師こそ天才の名にふさわしい偉大な癒し手だというのだ。     彼女の師こそは、第0話でPC達に手助けした、 「大いなる癒し手」のリディアだった。 マフィン曰く、彼女に助勢を願えば、 あるいは治療も可能かもしれない、ということだ。 PC達に依頼とは、彼女に事情を説明して、 連れてきてくれないか、ということだ。     リディアの本拠地は、元サーター王国の首都で、今はルナーの 総督府がおかれているボールドホームだ。 オーランス信者のタルツェンなどが、 何の策もなく入り込める場所ではない。 身分を隠す準備などを整え、PC達はボールドホームへの旅程についた。    旅の途中PC達は、ルナーの警備隊に通行税を払わないからと、 虐殺されている商隊から一人の女性を助け出す。 旅装束のその女性は、名前をサンガールと名乗り、    フェイムグレイブの街で丁寧に礼を言って、別れることとなる。    フェイムグレイブでの夜、PC達は宿屋で 何者かの襲撃を受けることとなる。 6体のオーランス信者のゾンビーを引き連れた、板金鎧の男、 彼こそが第0話にも登場した、エキドゥナの配下で 「三猛鬼」の一人、オーガのカインだった。 彼の任務は、PC達に 「何者かが、リディアをダックポイントに来てもらっては困る」と 思わせる事だった。 実際はエキドゥナはその逆で、早くリディアにはダックポイントに 来て欲しいと思っていたのだ。 カインに襲わせれば、PC達は意地でも リディアを早く連れてきてくれるだろうと、読んだ上での作戦だった。    オーランス信者の扮装をしたカインは、 適当にゾンビーにPC達と戦わせ撤退する。   案の定、駆けつけたルナーの警備隊は、PC達の戦いを オーランス信者同士の仲間割れと断じ、傷ついたPC達を連行する。    翌朝処刑が待っているPC達は、上手くルナーの警備兵をおびき出して 脱出準備を整えることに成功する。 そんな時、偶然にも昼間助けた謎の美女、サンガールが 警備隊事務所に忍び込んで来るところに鉢合わせする。 サンガールは、牢屋から彼女の部下とおぼしき男達を救出すると、 PC達に微笑んで別れを告げることとなる。 相変わらず彼女の正体は謎であるが。    ボールドホームに辿りついたPC達は、チャラーナ・アローイの寺院に 向かうが、そこにはリディアはいなかった。 リディアは病床にふせっている副総督ジャルレイの召喚に応じて、 泊まり込みの看病に当たっているらしい。 おまけに数日後に、ジャルレイの一人息子のドルレイが成人式を 迎えるらしく、屋敷は厳戒態勢だというのだ。     PC達は何度か寺院の名を借りて、リディアを書状で呼び出そうとするが、 何者かが書状を握りつぶしているらしい。 偵察がてらイクシーザが屋敷の様子を探っているところで、 メイドの扮装をして裏木戸から出入りするサンガールの姿を目撃する。     あわててサンガールとコネクションをとるイクシーザ、 彼女の手引きもあり、屋敷の中のリディアに コンタクトを取ることに成功する。 どうやらリディアは、彼女の美貌に魅了されたドルレイに あの手この手で辞去する事を引き留められているらしい。     二人のやりとりを聞いていたサンガールは、ある提案を持ちかける。 自分が手助けするから、リディアを連れて ボールドホームを脱出しろというのだ。 条件は1つ。脱出の際、派手に暴れて警備兵の目を引きつけて欲しい ということだ。 そのため、潜入時のルナー兵の扮装、及び街や街道を突破するための 通行証を用意してやる、とバックアップの約束までも彼女はした。    メイドの扮装して屋敷に潜入している彼女の目的は不明だが、 彼女が用意したゴールドレベル(赤の女神の入信者以外は 所持者を引き留めることが出来ない)の通行証を渡されたPC達は サンガールの提案に乗って、作戦を決行することにする。     リディアを引き連れて脱出する中、ルナー兵を引き連れて 現れたのは、事もあろうに「三猛鬼」の一人、 狼頭ブルーのゾルダークだった。     エキドゥナは念を入れて、絶対リディアをダックポイントに 連れてきては困る、という風にPC達に思いこませたかったのだ。  
     第3話(6/20)「真実」   「三猛鬼」のゾルダークを死闘の末、討ち果たしたPC達は、 ゴールドレベルパスを使って、ボールドホームを脱出する事に成功する。    ゾルダークの持っていた病原菌に悩まされたながら、 リディアの治療を受けながら、帰途についたPC達の前に 第1話でPC達に協力したブラフォードが現れる。    「会わせたい人がいる」というブラフォードの言葉に、 トリックスターでもある事だしと警戒しながらも、ついていくPC達。 そんな彼等の前に、巨大な剣を持ったグレートトロウルと、 ラメラーに野太刀を担いだ戦士ドラゴニュートが現れる。     戦闘態勢を整えるPC達の後ろから、一人の金髪の美女が声をかける。 ボンテージルックに鉄鞭を持った彼女は、自分の名をパラミアと名乗り、 PC達に伝えたい事がある、と口を開く。     しかし、簡単に背後を取られたことと、 パラミアのプライドの高い態度もあり、PC達は警戒を緩めない。 パラミアとの会話はギクシャクしながらも、彼女から    ・エキドゥナと「三猛鬼」の存在 ・エキドゥナはリディアをダックポイントに行かせたがっていること ・エキドゥナの特殊能力(能力剥奪) ・エキドゥナの目的はまだ不明     といった情報を得ることに成功する。     どうやら、エキドゥナはパラミアの 魔道師としての姉弟子筋にあたるらしい。 「それなら、なぜお前が片を付けない?」と尋ねる タルツェンの問いに対し、パラミアは 「師匠から頼まれたことだし、直接は私に関係ない」と無責任に答え、 PC達の心証は良くはならない。     とりあえず、リディアをダックポイントに連れていかなければ 現状は打破出来ない。 パラミア達と別れ、ダックポイントに着いたPC達を マフィンは暖かく迎え、早速リディアとマフィンは治療法の 解明にあたる。     リディアはマフィンに協力してもらい、治療薬の改良に取り組む。 結果、病状を抑えることに成功はしたが、完治までに至ることは 出来ないようだ。 エキドゥナの陰謀を知らないリディアは、PC達に 申し訳無いが、禁断の「神知者の書」をプロンズバレーから 持ってきてくれないか、と依頼する。 この世のありとあらゆる事がおさめられている「神知者の書」なら、 この病気の治療法が載っているに違いない、というのだ。 リディアの紹介状を持ち、ブロンズバレーに向かうPC達。 念を入れて逆心理作戦のため、街道の途中で待ちかまえているカイン。 ブルーの伏兵もあり、PC達は相当苦戦するが、 タルツェンの渾身の一撃もあって、カインも討ち果たすことに成功する。     ブロンズバレーに着き、村長のレグナムに快く「神知者の書」を 貸してもらったPC達、意気揚々とダックポイントに引き揚げる。 リディアは「神知者の書」を解読し、無事治療法を発見する。 その後、ついにエキドゥナが動き出す。 夜中、物音に気づいたPC達が見たものは、「神知者の書」を抱えた、 少女ノエルの姿だった。 ノエルはミナと同じように、ブルーの襲撃時にはぐれたときに、 すでにエキドゥナに殺され、彼女がすり替わっていたのだ。     勝ち誇るエキドゥナ。飛びかかるPC達に、 ノエル(の姿のエキドゥナ)は強烈な烈風を叩きつけ、 「「神知者の書」は手に入れた! 桃源郷(XANADU)に 至るのはこの私だ! タガルンダこそは私の物だ!!」と 笑いながら転移して消える。     桃源郷とは? タガルンダとは? 失意のPC達の前に、翌朝パラミアが急いでやってくる。 一歩遅れで間に合わなかった形だが、事情を聞いたパラミアは、 自分の持ってきた情報で追えば間に合うかもしれない、と 語るのであった。   
  第4話(7/18)「試練」     グローランサの神秘の1つに、浮遊島の伝説がある。 グローランサ上空に浮かぶその島は、「桃源郷」と呼ばれ、 余人の進入を容易には許さないと言う。 そこに眠る、タガルンダという何か強大な存在・・・ エキドゥナはそこに至る鍵を開き、 「神知者の書」でそのタガルンダを目覚めさせるのだと言う・・・。     パラミアの語った概要は、以上のようなものだった。 タガルンダという存在の正体までは、はっきりとはつかめないものの、 奴がそれを手に入れて、平穏なる未来が待っていようはずもない。 桃源郷に至る道は1つに限られているわけではない。 その時に対応した地にて、適宜の魔術を執り行うことにより 桃源郷に至ることが出来るのだ。 その時と地を問うPC達に、パラミアは 10日後に「古の風の寺院」にてその道は開かれるらしい、と 教えてくれる。     エキドゥナを追う決意を固めるPC達に、パラミアは 「あたしも同行したいが、そう言うわけにもいかない。  エキドゥナは、桃源郷への鍵を開く際に、スネークパイプホロウの 混沌の封印を解いてしまった。 混沌があふれ出してしまう前に、私はそちらの対処に向かうから、 エキドゥナへの対応は、PC達にお願いしたい。」 と言って、旅立って行った。     パラミア達が旅立った後、旅立ちの支度を整えるPC達は、 ダックポイントの領主、ブラックブレード伯爵に援助を請う為に ブラックブレード城に向かった。 まだ伯爵に面識はないが、以前城詰めの軍師、ラインハルト卿には お世話になっていたため、彼を通して無理なお願いを 聞いてもらおうというのだ。    夜もふけんとする頃、城のはずれでは一人の10歳くらいの少年が 星を見上げていた。 少年に話しかけるソルデムに、少年は 「お兄さん達が、この街を救ってくれた人なの?」と問いかける。 優しく答えるソルデムの後ろから、少年を捜すメイドの声が響いてきた。 この少年は、この城にゆかりのある人物なのであろうか? ウィレスと呼ばれた少年は、城の中に消えていった。    少年を追う形で城に入るPC達に、 鉢合わせする形で城外に出てきたラインハルト。 聞けば、伯爵の摂政がPC達に話があるのだという。 渡りに船とばかり、伯爵摂政に会うPC達。 PC達は伯爵摂政の寝室に通される。 摂政は身重の妙齢の女性だった。 アイリーンと名乗るその女性は、 PC達に街を救ってくれた礼を丁寧に言い、 「エキドゥナを追って旅立つつもりなのか? 旅立つつもりなら、手助けさせて欲しい。」と語る。 聞けば今回の件に関して、街のルーンレベルのNPC達が アイリーンを中心に、PC達に援助することを話し合ったのだという。     アイリーンが呼ぶと、待機していた街の名士達が入ってくる。 「嵐の声」のクロード、「ストーム・カーン」のガルバ、 「大いなる癒し手」のリディア、元「風の王」のガストン、 皆手に手に、PC達に援助する魔力のかかった品を持って来たのだ。 「稲妻の腕輪」「夢の竜の鎧と盾」「アローインの血」、 そしてアイリーンは、パラミアから預かっていた「チタニウムの剣」を PC達に託すのであった。 話がうまく進みすぎることを、PC達がアイリーンに問いただすと、 アイリーンは顔を引き締める。 「街を救って頂いたお礼ということも、当然あります。 しかしこれからの戦いも、 みなさん達だけの戦いというわけではないのです。 エキドゥナという魔道師が、私欲の為に陰謀を練っている限り、 本来は、私達も平安を勝ち取る為に戦わねばならないのです。 しかし残念ながら、私は見ての通りの身。 街のルーンレベルの方々も簡単に街を離れるというわけにはいきません。 厚かましいお願いですが、みなさん達には、 私達の役目も果たしていただきたいのです。 あなた達には、引くに引けなくなる理由を負わせるようですが、 なにとぞお願いを果たして頂きたいのです。」 そう語るアイリーンの言葉に、 PC達は不敵な笑みを浮かべて、決意を固めるのであった。     そんな時、あのウィレスと呼ばれる少年が部屋にやってくる。 ウィレスこそは、アイリーンの弟で ブラックブレード伯爵その人だったのだ。 ウィレスはPC達に、本当に危険な任務に赴くつもりなのか尋ねる。 揺るぎのない笑みで答えるPC達に、 ウィレスは少年の夢を託して微笑んでみせる。 そしてウィレスは、一人の友人がPC達に同行したいのだと紹介する。     ウィレスに招かれて入って来たのは、 なんと旅支度に身を包んだマフィンだった。   PC達は少なからず驚くが、彼女の堅い決意を聞き、 暖かく彼女を旅の仲間に迎え入れる。    旅の支度を整えたその時、護衛メイドのシェリルが飛び込んでくる。 ダックポイントがルナーの軍隊に包囲されているというのだ。    急いでラインハルトと共に、城壁に向かうPC達。   確かにシェリルの報告通り、街の外はルナーの軍勢に包囲されていた。 指揮官はボールドホーム副総督の息子、ドルレイ。 リディアをPC達に連れて行かれたことを恨んで、 「大いなる癒し手」の拉致誘拐、ルナー兵の殺害を理由に 兵を引き連れてきたのだ。     指揮官がドラ息子のボンボンであったとしても、これだけの数の ルナー兵の囲みを突破して旅立つのは至難の業だ。 その後の街の事も心配するPC達に、 ラインハルトを始め名士達は 「これは我々の役目だ。君たちは心おきなくエキドゥナを追うが良い。」 と言い放つ。 PC達はクロードとガルバの召喚した大型シルフ2体で、 空中から囲みを突破する。          9日後、PC達は「古の風の寺院」の麓の村にたどり着く。 「桃源郷」に向かって帰ってきた者はいない、と 引き留める村人を尻目に、PC達は寺院に向かうが、 道は大きな岩戸に阻まれて進むことが出来ない。 困っているPC達の後ろから、 風のルーンを身につけた、隻腕・盲目の戦士が現れる。 彼の名はブラン=ザーン。元「風の王」である。 PC達の堅い決意を聞くと、彼は寺院への道を開いてくれる。 彼こそが寺院へ至る道の門番だったのだ。     道すがらブランは、ある「風の王」の話をしてくれる。 彼はその「風の王」に戦いの中、重傷を負いながらも 命を救ってもらったのだった。 その歴戦の「風の王」こそ、タルツェンの育ての親、 ”雷鳴の王”バストラルだったのだ。    ブランの案内で、PC達は「古の風の寺院」にたどり着く。 そこは山々に囲まれた、透明な風で出来た巨大な塔であった。 寺院の内部は透明な迷路になっており、「全てを切り刻む鎌鼬の壁」 「全てを焼き尽くす灼熱の壁」「全てを凍り付かせる暗黒の壁」 で構成されているらしい。  ブランの案内で、PC達は危険な寺院の内部へと入り込む。     寺院の内部には、物理的な危険より精神的な試練が待ち受けていた。 PC達一人一人に、アイリーン、パラミア、サンガール、リディアの 幻が現れ、各々の生きる理由、戦う理由を問いただしてくる。 この問いに躊躇していては、一生この迷路で彷徨い続ける羽目になるのだ。      己の生きる道を再確認し、寺院の中央部にたどり着くPC達。 そこには最後の試練が待ちかまえていた。 バストラルの使った剣、「精剣ザンネリック」。 その守護聖霊であるザンネリックは寺院の中央部で 狂ったように侵入者を殺している。 ブランとバストラルは、以前かの魔女エキドゥナと戦った。  その時ブランは片腕と両目を失った。 バストラルはブランを救って、その命を落とし、 愛剣のザンネリックは、エキドゥナの魔力により 封印・洗脳されてしまったのだ。     ザンネリックを解放するためには、彼女の胸にはまった 封印のルビーを破壊しなければならない。 守護聖霊であるヴァルキリーは恐ろしく強力な存在だ。 PC達は最後の試練であるこの強力な敵に、勇敢にも戦いを挑んだ!     この日のTRPG日記へ  
第5話(8/22)「異郷」  風よ御照覧あれ。  雷よ荒れ狂い賜え。  嵐の宴が今始まった。 聖霊ザンネリックを勇者達は打ち破った。 しかも活人剣にて、殺すのではなく束縛から解き放ったのである。 眩く、胸のルビーが砕け散った。 意外にも、ザンネリックは気弱な聖霊であった。 勇者達の剣幕に気圧されるザンネリック。 当然、勇者達に助力することを申し出る。 彼女により、「雷鳴の道」が開かれた。 気が付くと、うららかな春の丘の上で彼等は目覚めた。 ここが浮遊島「XANADU」なのだ。 遠くの四つ辻に、乞食とそのペットの熊が腰を落ち着けていた。 勇者達は乞食と言葉を交わし、 エキドゥナの姿をこの島にて探し出し始める。 古代の廟。久遠の時の溜まり場。 勇者達は一人の男の生霊が電磁場に捕らわれているのに出会う。 彼の名は「イロナッサム=アディッソイ」 エキドゥナ、パラミアの師である。 彼は真実を勇者達に伝える。 エキドゥナの目的、エキドゥナの能力、エキドゥナの行先。 彼を救い出すには、もはやエキドゥナを倒すしか手は無いらしい。 エキドゥナに至るには、竜の谷への鍵、4枚のコインが必要だ。 それはこの浮遊島から探さねばならない。 再会を約して、勇者達は廟を後にした。 ガラスの砂漠。そこは砂が全て珪素で出来ている。 地平の彼方が見えない先を勇者達は進む。 そこで再会したのが、混沌の生物ヘッドハンガーに襲われている 謎の美女サンガールと、その隠密風の部下達だった。 サンガールと勇者達は力を合わせて、ヘッドハンガーを撃退する。 サンガールは己の身分をここにおいて明かす。 ルナー帝国帝室調査官一等内部査察官。 彼女の任務は、当初ボールドホームの副総督の反乱疑惑に関して 潜入調査を行うことであった。 しかし調査の結果、その影には魔女エキドゥナが 副総督に反乱を唆しているという事実が判明してきた。 ここにおいてルナー帝国はエキドゥナの抹殺を、サンガールに命令する。 サンガールと勇者達は、力を合わせてエキドゥナを倒すことを合意する。 彼女は鍵の1枚、「魔術」のコインを渡してくれた。 砂漠の果てには1本の塔が建っていた。 「法の塔」。この塔を誰がそのように呼んだのだろうか。 法の科学を利用した防衛システムも、今はすでに作動しておらず、 進入した勇者達は、この塔の主であったろう、 武装した法の魔術師の死体を発見する。 彼の首からは「法」のコインが下がっていた。 彼の背後には、貴重な薬草「冬虫夏草」が並んでいた。 地獄の村。哀れなる人達。 この疫病に覆われた集落のどこが、「桃源郷」なのだろう? この世の果ての村。そこはそう呼ばれていた。 勇者達はマフィンの指示の元、冬虫夏草を使って人々に投薬する。 疫病が回復に向かった村人達は、勇者達に「豊穣」のコインを渡す。 虹の滝。竜の谷への入口。 煌めく虹色の水が流れ落ちるところ、その剣士は待っていた。 エルガイア。そうその老剣士は名乗った。 自分は”雷鳴の王”バストラルの戦友だと。 鋼の板金鎧、鋼の両手剣。 黒鉄に身を包んだ剣士は、ゆっくりとその大刃を頭上に構える。 その先にはタルツェン。 陽光が大刃に煌めいた瞬間、 エルガイアとタルツェンの間合いが一気に詰まる。 正面からの斬り合いでは、やはり老剣士に一日の長があろうか、 タルツェンの右腕が宙に舞う。 止めどなく流れ落ちる血流を受けて、精剣が囁く。 今こそ、我が力を受けたまえと。 タルツェンは初めて精剣と一体となった。 鋼の大剣と竜の盾。 その二つが激突した瞬間、陽光に一瞬の陰りが。 「風の王は、太陽を駆逐した」 今、まさにその神話が証明されんとき。 風の王は、黒鉄の頭蓋を撃ち砕いた。 勇者達は老剣士の偉大なる戦いの人生を悼んだ。 老剣士の剣に填っていた「死」のコインを預かる。 虹の滝。その背後の岩壁に、4枚のルーンのコインはしっかりと収まった。 今、最後の戦いへと岩壁は開いたのである。 この日のTRPG日記へ
最終話(9/19)「永久為らずとも平安の一時を」    遙か神話の昔、「時」がアラクニー・ソラーラに紡がれし以前の事、  一人の天才的なルーラー・ドラゴニュートがいた。  名をタガルンダと言う。  「狂気の裏にこそ真実がある」そう思いに至ったタガルンダは、  こともあろうか狂気の混沌神ラグナクラーに入信する。  狂気に捕らわれたタガルンダは、ドラゴンへと変異し、  かつての同胞達を併呑すべく、狂気の暴力を振るい始めた。    ドラゴニュート達は独立を重んじる、誇り高き種族である。  「法」であろうと「混沌」であろうと、自分たちを屈服させることは出来ない。  何者かに侵されるくらいならば、誇り高き滅びの道を選ぶだけである。  そう一族が心に誓ったとき、3人の勇士が神々の戦いから帰還した。  炎のガトゥハ。闇のギスハール。風のザンマッハ。  3人の勇士は、神をも敵に回して引かぬ勇気の持ち主であった。  狂気の嵐吹き荒れる中、3人の勇士はそのルーンの力を持って  狂気の竜に立ち向かった。    イェルムが7回巡る頃、ついに勇士達に天秤は傾いた。  狂気の竜はその身をアーナルダに委ねたのである。  竜を目覚めさせるのは、もはや神の力と  生命の源たる処女の魂<POW>を同時に受け入れることだけであった。  そしてそのようなことは、まずあり得ようはずがなかった・・・。 岩壁の裏より、勇者達は遠くに高い山を見渡す丘の上に出る。 林を抜けた、あの山の中腹に「竜の谷」はあるらしい。 そう考えている勇者達の背後から、懐かしい助けが合流してきた。 女魔道師パラミアと、その一味達である。役に立つかどうか。 それはさておき、同時に魔道師イロナッサムのビジョンが現れ これまでの労を労うと同時に、最後の決戦へと勇者達を導く。 林を竜の谷へと進む勇者達の一行を、ドラゴニュート達の一団が取り囲む。 「我らが長老が、人間達に話がある」 アモンと名乗るウォーリアー・ドラゴニュートはそう口を開く。 勇者達は、話を聞くために、ドラゴニュートの集落に向かった。 ドラゴニュート達は大いに傷ついていた。ブルー達との戦いの末である。 エキドゥナがタガルンダの復活を狙っている。 それは守番の彼等にとって、由々しき問題であった。 長老は勇者達に、村の英霊の試練を受けるようお願いする。 これは、定められた部族の幻視らしい。 アモンが立ち上がった。「やはり人間達が試練を受けるのは承伏できない」 試練の栄誉は部族の戦士である、ドラゴニュート達のものであるべきはずなのだ。 いくらこれが長老の幻視と言えど、素直に承伏するわけにはいかない。 強き者が、より偉大な勇士である。その原則に従い、勇士の決闘が行われる。 アモンは流石に部族最強の勇士である。執拗なまでに勇者達を苦しめる。 しかし長老の幻視に偽りは無かったようだ。軍配は勇者達に上がる。 疲れを癒すべく集落に留まる勇士達のところに、 最後の「三猛鬼」、双頭のゲルディスが襲い来る。 乱戦の中、ゲルディスはアモンを撃ち倒す。 ゲルディスを倒すべく殺到する勇者達の耳元に、マフィンの叫び声が木霊する。 宙に浮くマフィン。 気絶した彼女を捕らえているのは、美しい黒髪を蓄えた妙齢の女。 こともあろうか魔女エキドゥナである。 「処女の血肉により、邪竜を蘇らせん。」 そう言い放った魔女は、マフィンもろとも中空に消えた・・・ 急ぎ試練を受ける勇者達。期限は夜明けだ。 古代の廟。静かなその中に、3人の老人が待ち受けていた。 「その2人の女の内、どちらか一人を生贄に捧げよ」 サンガールかパラミアか。微笑んで言い放つ老人達に勇者達は困惑する。 タルツェンは怯えるパラミアの胸ぐらを掴むが、 彼にそれ以上何も出来ようはずがない。 思い切ったのはレガルであった。意を決して彼は老人に斬りつける。 「我々は決して仲間を見捨てることはしない」 その気持ちは誰に命令されようとも、捨てられるものではない。 その瞬間、老人達は龍人達の姿に変異する。 「その気持ちこそが真実だ」と。 勇者達は試練を突破した。 炎のガトゥハはソルデムに。 闇のギスハールはレガルに。 風のザンマッハはタルツェンに。 それぞれ英霊達が勇者達に力を貸して、彼等は出発する。 目指すは竜の谷。 竜の谷へと至る道、谷間を進む中、聞き覚えのある声が響きわたる。 悪夢である。40人もの生ける屍と、それを率いるのは倒したはずの三猛鬼。 ゾルダークとカインである。 「ここは私達に任せて、先に行ってらっしゃい!  私の魔力が、あのような雑魚共に苦労すると思って!?」 パラミアが言い放つ。 パラミアの呪文により、封印しているシルフとノームが起動する。 生ける屍が次々と宙に舞い上がり、地に飲み込まれる。 ゾルダークはラゴーと、カインは七つの星見と一騎打ちに入る。 やおら日が昇り始めている中、勇者達は先を急いだ。 竜の洞窟、その中にエキドゥナとゲルディスはいた。 そして無論タガルンダも。 巨大な羊膜に包まれて眠る異形の竜の姿は、 吐き気と恐怖を呼び起こすものであった。 おぞましい詠唱が響きわたる中、マフィンの首筋にエキドゥナの短剣が近づく。 ソルデムがゲルディスに走る。 レガルがブルーを一太刀で切り伏せる。 アコロトゥーロが光の槍でブルーを貫く。 イクシーザがブルーを突剣で貫く。 サンガールがルナー魔術を詠唱する。 タルツェンが<飛翔>で一気にエキドゥナに向かう。 タルツェンの渾身の一撃は、エキドゥナの<耐傷>フィールドを貫いた。 エキドゥナの右腕が宙に舞う。止めどもなく血流が舞い、迸る。 もう一撃! エキドゥナの左脚が飛び、 勢い余った彼女は眠るタガルンダに叩きつけられる。 死の免れないエキドゥナ、低く笑い続ける。 もう彼女の野望、タガルンダの力を我が物とする事は果たせない。 しかし処女の血ならずとも、タガルンダを目覚めさせるだけならば可能なのだ。 意識を失った彼女の血が、タガルンダの羊膜に染み込んでいく・・・ 竜は目覚めた。その異形の姿を従えて。 完全にその力を取り戻したとはとうてい言えないものの、 目の前のちっぽけな人間達を補食するのに、どれだけの力がいる? 竜は、久々の温かい血肉への期待に咆吼した。 ここまで来たならば、もう引くことは出来ない。 神話の勝利を実現するだけである。 英霊達の加護を受けて、勇者達は竜に立ち向かう。 竜の爪と牙がうなり、鋼の剣刃が舞う。 意識を取り戻したマフィンが、アローイの加護をもって勇者達を治療する。 それは当に神話の戦いであった。 堅い竜の鱗を前に、戦いは永遠に続くかと思われた。 しかし生有る物はいつかは滅びる。 勇者達の剣刃が竜に粘り勝った。 竜は頭蓋に鉄剣を叩き込まれ、再びアーナルダに倒れ伏す。 イェルムはまた昇る。今日も変わらぬように。 パラミア達との再会、英霊達との別れ。 そして、その力を完全に取り戻したイロナッサムが勇者達を魔術で転移させる。 勿論行く先は、懐かしきあのダックポイントだ。 ダックポイントを望む草原の中、勇者達と2人の女達は別れを告げる。 パラミア 「いい?私への借りはちゃんと返しなさいよね(笑)」 サンガール「上層部には真実を報告しておくわ。       この功績はオーランス人達によるものだって。」 永久の別れではなく、次に会うまでの遠い約束である。 懐かしきダックポイント。何も変わらない。 何も変わらないのは勇者達の功績故なのだ。 勇者達とマフィンが城門に近づく。 門番の他に、毎朝勇者達の帰りを待ちわびて、リディアが城門を清めている。 勇者達の帰還を認めた彼女の顔は・・・笑顔に輝いた。 この日のTRPG日記へ
ドラゴン・パスの英雄詩48番完。吟遊詩人イクシーザの作と伝えられる。   RQメニューに戻る          endra@yahoo.co.jpPC達のファンレターはこちら!