vol.４
present for you 4 たけやぶやけた 回文をひろげる
回文をひろげる４ 関富士子
人に回文も如何に問ひ
ひとにかいもんもいかにとひ
さくら草咲く桜は野原草々うそ楽さ
さくらそうさくさくらはのはらくさくさうそらくさ
手にしずく来た水色いずみ滝崩しにて
てにしずくきたみずいろしずくたきくずしにて
ダイス大好き気付いた好いた
だいすだいすききずいたすいた
高値ズッキーニは八百屋ハニーキッズ寝たか
たかねずっきーにはやおやはにーきっずねたか
コンビニ買い物したわ酒さ私のもイカにビンゴ
こんびにかいものしたわさけさわたしのもいかにびんご
着てスパンコールスージーシースルーコンパ素敵
きてすぱんこーるすーじーしーするーこんぱすてき
キネマ出れず鉢巻き町外れで招き
きねまでれずはちまきまちはずれでまねき
泣いた新そら豆（ ）
ないたしんそらまめ
もんだい：（ ）にはいることばは？
おまけのもんだい：回文をつくろう
回文をひろげる２ 
KIKIHOUSE 桐田真輔
旧約の急訳
理解の実かみ 神の怒り
りかいのみかみかみのいかり
キスしたアダムだ あたし好き
きすしたあだむだあたしすき
蛇を見たイブ そう嘯いた身おびへ
へびをみたいぶそううそぶいたみおびへ
すぐ顔見て身を隠す
すぐかおみてみをかくす
身内の血生み
みうちのちうみ
義人自棄
ぎじんじき
ヨブよ 泣くな ヨブよ
よぶよなくなよぶよ
怒り試され 覚めた理解
いかりためされさめたりかい
ロトの吐露
ろとのとろ
魚の中さ
さかなのなかさ
魚の王
うおのおう
（断簡風信8号1988年8月）
回文をひろげる５ KIKIHOUSE 桐田真輔
合歓の幹、椎の幹、丘の鳶、憩う橇。寄り添う恋人の顔、君の意志、君の胸。
ねむのみきしいのみきおかのとびいこうそりよりそうこいびとのかおきみのいしきみのむね
白く波滴なす潮騒、始期の大和、春は苫屋の岸勲し。砂崩し、みな黒し。
しろくなみしずくなすしおさいしきのやまとはるはとまやのきしいさおしすなくずしみなくろし
坂のラバ、吐息くるし。背にシナの梨、にせシルク、生糸、薔薇の傘。
さかのらばといきくるしせにしなのなしにせしるくきいとばらのかさ
暑気は、住まいに窓、要らない習い。土間に居ますは、虚子。
しょきはすまいにまどいらないならいどまにいますはきょし
回文をひろげる２ 東京上機嫌 田代俊基
軍旗燃す世だ 暗い兵隊 伍すのも 終わり ワオ！ ものすごい 太平楽だよ スモーキング
ぐんきもすよだくらいへいたいごすのもおわりわおものすごいたいへいらくだよすもーきんぐ
マツモトキヨシ仲間、いま、愛（かな）しよき友、妻。
まつもときよしなかまいまかなしよきともつま
GIFにつなぐペエジ、春はJPEG（ジェーペグ）、夏に富士。
じふにつなぐぺえじはるはじえーぺぐなつにふじ
浦和のビートたけし 毎朝 エレガントに来て 喜劇的に とんがれえ！ さあ今、しけた鳶の笑う
うらわのびーとたけしまいあさえれがんとにきてきげきてきにとんがれえさあいましけたとびのわらう
奇数瘤 酒場で馬鹿さ ブコウスキー
きすうこぶさかばでばかさぶこうすきー
ケルアック、よいな！車は丸くないよ。靴あるけ？
けるあつくよいなくるまはまるくないよくつあるけ
エリートがエゴ、大蔵キャリア。待ち目指せやノーパンシャブシャブ、
えりーとがえごおおくらきゃりあまちめざせやのーぱんしやぶしやぶ
頃よし喜ぶや。渋谷シンパの痩せ鮫チーマー、アリャ気楽。大声が取り柄。
ころよしよろこぶやしぶやしんぱのやせざめちーまーありゃきらくおおごえがとりえ
回文をひろげる３ 宮野一世
妻を待つ
つまをまつ
月はどこ
つきはどこ
今は晴れか。
いまははれか
理佐よ
りさよ
庭に虫の音の沁む田舎は暗く
にわにむしのねのしむいなかはくらく
母は詠むよ
はははよむよ
詠みにくい俳句を
よみにくいはいくを
しずけさ、思いを。
しずけさ、おもいを
＜悲しみや虫の音の沁む病みし中＞
かなしみやむしのねのしむやみしなか
お芋を、酒鮨を
おいもをさけずしを
喰い
くい
俳句に
はいくに
見よ
みよ
詠むよ母は暗く。
よむよはははくらく
はかない虫の音の沁む庭に
はかないむしのねのしむにわに
夜さり
よさり
枯葉は舞い
かれははまい
言葉、来つ。
ことばきつ
(連作回文詩「薩摩で待つさ｣より パーマネントプレスNo.17）
回文をひろげる６ 倉田良成
酒、武蔵小杉少し醒む、今朝
さけむさしこすぎすこしさむけさ
沖縄…いま那覇は花舞は無きを
おきなわいまなはははなまいはなきを
＜詩＞「風の治療師」(田村奈津子）へ
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