6.お祓い者とは
お祓いの方法は様々です。祝詞をあげて棒を振っているだけでも、実はある程度の祓いはできるのです。つまり、お祓いは何かを祓うのですから、その祓うものをどの程度落とせるかに掛かっているのです。
日本では昔から人の罪や汚れを祓うとされてきました。ですが、実際にはそんな事は不可能です。たとえば、殺人を犯した人が何一つ反省しないのに、神社でお祓いを受けて罪が消えたということになっては、牢屋はいらなくなりますが、国中、殺人者だらけになってしまいます。
つまり、伝統的な祓いの意味はどうであろうと、霊的な意味を持つ真の祓いは、人に付着した霊的な汚れや側に付いて来る霊魂、そうした霊的な障害を祓うものなのです。ですから、霊魂を信じる人のみが真の意味でのお祓いを行なうべきなのです。
お祓いの方法は様々とは言いましても、結局は霊的な障害を取り去るわけですから、祓う人の霊力、そして、協力してくださる霊魂の力、その二つを用いて行なう作法ということになるのです。
仮に棒を振るだけであっても、その棒から、たとえば悪い霊魂が嫌がるような力が出ているというのであれば、お祓いは成立するのです。
また、呪文を唱えるだけであっても、その呪文を唱えると強い霊魂が来てくださり、悪い霊魂を排除してくださるというのであれば、それでもお祓いは成立します。
つまり、結局は、祓う人の霊力と協力してくださる霊魂の力、そして、その霊魂の力を旨く生かすことができるかどうか、そうしたことがお祓いを行なう人の能力となるのです。
どんなに霊力が強い人であっても、一人の力には限りがあります。何度もお祓いをしていくうちには、とてつもなく強い霊力を持つ悪霊と遭遇するかもしれません。
そうしたことを考えますと、いかにして、より高級で、強い霊力を持つ霊魂に協力してもらうか、そして、そうした霊魂の力をどうしたら生かせるのか、更には、どのような作法ならば、人間と霊魂の霊力が生きるのか、そうした事を考えた上で成立した作法を学ぶ事が大切なのです。
単に伝統があるとか、権威があるとかではなく、実践的な霊力のある師匠に付くことなしには、真の霊術家になる道はないと言えましょう。