アダマス

 数々の 武勲を盾に 刻み込み
 士道忠義の 証とせん
 我が手に持つは 不破の盾


<神話に見られるアダマス>

 実は、使徒アダマスを神話の中で見かける事は、ほとんど無い。 よく“守護者”として語られる彼女だが、彼女単体で登場する事は少なく、 登場したとしても、使徒アルドールと共に語られる事が多い。

 さて、使徒アダマスと言えば“守護者”なのだが、彼女がなにを“守護”していたのか?  これについても詳細は不明である。が、二つだけはっきりしている事がある。 彼女は、アーと我々人間の祖先、すなわちアルカイを守っていたのである。

 正確に言うならば、彼女は水を守っていたのである。水なしで生きることができる者は、 魔神や精霊、妖精ぐらいであろう。使徒アダマスが守りつづけた水。ゆえに、 今でも水に関する掟が多く、それらは常に中立である。言い換えれば、全てを守っているのである。

 彼女があまり神話で語られる事が無いのは、神話として伝えるような戦いを、 我々の知らないところで行っていたからである。

<職業としてのアダマス>

 アダマス。一般に騎士を指す事が多い。使徒アダマスのもつ様々な面のうち、 “守護者”と“不破の盾”の側面が、人々に強く根付いているからだろう。 主君を守る者。主君を守る盾。主君をアーと置き換えた場合、 騎士はまさしく使徒アダマスなのだ。

 だが、アダマスは主君がいて初めてアダマスと呼ばれる。
 職業としては非常に狭き門であり、それゆえに人々から信頼のまなざしを受ける。 そのまなざしが、自分達を守ってくれる盾である、という都合の良いものもあれば、 純粋に憧れであったりと、様々である。いずれにせよ、どこへ行っても歓迎される存在ではある。

<逆位置>

 何か一つの事柄に対して妄執してしまう。本来、アダマスというものは、守ると言う事柄に重点をおいている存在である。 その守ると言う事は、決して物理的なものではなく、むしろ精神的な制約の方が多い。約束や忠誠はその最たる例であろう。 その精神面の「守る」に食われてしまうのである。精神的な意味において、彼らほどアダマスと呼ぶにふさわしい人物はいない。

 そう。我等は「守」らなければならないのだ。

 我が主君を。我等が教義を。我が主君の民を。何人たりとも、これらに敵意を持って触る事は許されない。 私がここのアダマスである。