ベネリM36 オート3輪  モデルヴィクトリア1/35 

 待望の新作

 「あの」モデルヴィクトリアから三輪バイクが出ると聞いて、てっきり「ジレラ」の3輪バージョンだと思いこんでいたのですが、届いてみてビックリ!、全く別のバイクメーカーベネリの製3輪でした!。このコーナーではフィアット500Aトポリーノジレラに次ぐ3つ目のモデルヴィクトリア、今回もクラクラッと目眩がする素晴らしいキットです。

 実車について・・・

 惜しくも先頃他界されたバート・ヴァンダービーン氏の名著、HISTORIC MILITARY VEHICLES DIRECTORYに載っている写真1枚と解説が私の知る全てです。この本ではエンジンはOHCとなっていますが、キットの説明書ではサイドバルブとなっています。(パーツをみる限りOHCでしょう)。排気管は2本ですが、単気筒4ストローク493.6cc13馬力エンジンです。後輪はチェーン駆動で、キットを見る限りデフ(差動装置)らしき物は見あたりません。イタリア軍で無線機材や軽火砲、重機関銃等の積載、牽引に使われた意外とミリタリー色の強い車両です。1936年より製造。
 レジンパーツ

 この写真を見て、部品が多いと見るか少ないと見るかは難しいところですが、エンジン・ミッション・タンクといった主要パーツが見事な一体成形であるところを見ると「意外と多いな。」というのが私の感想です。しかし、このメーカーは無駄な分割は一切無く、出来るだけ正確に再現しようとした結果のパーツ群なのでパーツ数が多くても有り難いの一言です。

 個々のパーツのモールドは超人的にシャープです。レジンがモールドを見やすい色である事を差し引いても見事、私のボロいデジカメでは撮れないレベルの細かさなのです。そうそう、レジンの材質はカッターで削りやすいもので、湯口も良く考えられているので、パーツの切り離しは、このテのキットとしては例外的に容易です。
エッチングパーツとデカール

 スポークはジレラの時と同じタイプです。文章にすると難しいのですが、レジンのハブ部品を、スポーク部品で左右から挟むことで、スポークの中心部を外に押し出す・・・のは普通です。が、ジレラを組んで気づいたのは、スポークの中心部が繋がっていないため、不用意にハブ部品を挟むと、スポークが曲がってスポーク間の隙間が広がり、そこからハブ部品が外に飛び出す可能性があるのです。組むとき注意。(ジレラのページを見ると、スポークの中心部がどうなってるか分かります。)
 エッチングは例によって適材適所タイプで最小限、ベストな逸品です。(あれれ、チェーンにポチポチっと穴がモールドされているのですが、コレが表裏両面から「エッチ」されているにも関わらず貫通していない・・・こんな芸当できるの?すごい)
結論
 いつものとおり「モデルヴィクトリアは素晴らしい。」としか言いようが有りません!。超精密な原型、驚異的な抜き、エッチング、デカール、フィットしたフィギュア付きというフォーマットは健在。今回も唯一ライトの透明パーツは有りませんが、例えセットされていても余程の出来でなければモデラーズ等のパーツに換える事になるので要らないでしょう。これだけ素晴らしいキットが、安定供給されていない現状は非常に残念です(特に地方では絶望的!)。どこか細々でもいいから「正式な問い合わせ先」になって流通して欲しい物です。私は今回もなでぃりんさんに便乗海外通販をして頂きました。
大いに期待せよ!

 リストのみのページですが、http://www.alsoldatino.it/victoria.htmによると、フィアット508ミリターレ/コロニアーレ(トポリーノ以前の小型乗用車「508バリッラ」の軍用版!)やフィアットO.C.I. 708 C.Mトラクター(クリルーと同じ装軌トラクター)が予定されています!!。その他、WW1のトラックらしき名も・・・。まったく末恐ろしいメーカーだ!。

2001年 3/11


なかがわひろゆきさんよりに完成画像を送って頂きました!。ゲストギャラリー

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