でろり庵 ひとり言 28

シトロエン 1919トラクター
Hachette/uh 1:43 Citroen 1919
 今回はシトロエン 2008.11.05

 ・・・のトラクターです。

 私はこのモデルを見るまでシトロエンがトラクターを作っていた事は知りませんでした。

 どことなく大昔のブガッティのペダルカーみたいなオシャレで愛らしい形は、何も知らなくてもアメリカやドイツの品じゃない事が見抜けそうです(笑)。

 シトロエンは1919年にA型と呼ばれる小型車で自動車業界に進出するのですが、このトラクターも同年の登場でA型と同じエンジンを使用しています。同社にとって最初のトラクターと見て間違いなさそうですが、ちゃんと量産されたのか、また、他にもトラクターが生産されたのか等々さっぱり分かりません。なにせコレの存在も知らなかったのですから(笑)。なお、実車は現存しています。

 模型は全幅約20ミリ!しかなく、4台分で前回の胴長ジープのボリュームになるかな?というサイズ。凝縮感は十分です。グリルは細かくモールドされ塗り分けも綺麗で、ピンストライプやシトロエンのマークも細かくて、この辺りの精密さはモデラーの手描きでは太刀打ち出来ないと思わせる仕上がり(リンク先の画像を等倍にして見てください。グリル幅は10ミリ)です。もっとも、燃料タンクの接合ラインなんかはミニカー然としていてモデラー的にはパテ埋めしたくなるのですがね(笑)

 シトロエンもミニチュア収集家の多そうな自動車メーカーですが、「番外編アイテム」として面白いミニカーではないでしょうか。私は逆にコレがあるからシトロエンA型のミニカーが欲しいなと思い始めてたりしてます。フランスのアトラス出版のシトロエン車のシリーズに1/43モデルが存在するようで・・・。

ウイリス ジープ 農薬散布車
Hachette/uh 1:43 Jeep agricole 1962
 農用ジープ 2008.11.02

 例によってフランスのトラクターのミニカー付き雑誌の付録です。という事なので、せっかくのMB/GPW系ジープ模型なのに不細工仕様です。どうも面目ない(笑)

 それにしても理解できないのは、日本でも使用されたCJ-3Aあたりにモンロー等の後付けヒッチを付けた「トラクター」ではなく、わざわざロングホイールベース化した「散布車」をモデル化したこと。もうシリーズテーマの「トラクター」ですらないのです(とほほ・・・)。つい、消防車シリーズとか何かの流用でコスト削減かな?と邪推してみたりして・・・。

 ちなみに、雑誌にはノーマル然としたドライエ・VLRの実車写真が僅か1枚載っているだけでジープの写真はありません。やっぱり謎だ。

 フランス語なのでまるで読めない本文には、ドライエ・VLRの他にアルファロメオ・マッタフィアット・カンパニョーラの表記もありました。それらの改造車も有ったのでしょうね。うう、どうせ模型化するなら、ジープも好きだけど欧州車の方が嬉しかったかも(涙)

 模型としてはジープ部分はナカナカ出来が良いと思います。ジープ模型の大半がボンネット先端が平らすぎですが、これは曲面になっていて好感もてます。延長されたシャシー後半はアッサリ気味ですが、ホース・配管類は細かく再現されているので実車がそうなのでしょう。黄色いライトはフランスっぽくておもしろいですね。戦後長らくフランスで生産されたオチキス製ジープかとも思いましたが記事では一切触れられていません。やっぱり謎だ・・・。

 民間向けジープの歴史は、ウイリスが戦時中の1944年に少数制作した、平ベルトプーリーを備えたCJ-1「アグリ・ジープ」から始まっています。当時のトラクターより大馬力のエンジンと、当時のトラクターにはなかった4WDを備えていたジープが、農家で使われる事は至極当然だったのでしょう。農用ジープは数あるジープ模型の一つとして存在すべきでした。大歓迎です!

(・・・でもやっぱりプラウ装備のトラクター仕様で出して欲しいな)
61式大型雪上車を発見しました! 2008.10.24


 なんと、久々の大発見。ミニカーの写真を撮りに普段行かない所を歩いていると・・・

 複数の趣味があると、クロスオーバーの瞬間がたまらない!


  61式大型雪上車GO!

ヒューリマン 1K10 トラクター
Hachette/uh 1:43 Hurlimann 1K10
ヒューリマン1K10 2008.10.22

 スイスのヒューリマンは日本では全く知られていないメーカーですが、1978年にザーメ・グループに買収された後もランボルギーニと同型の格好良いトラクターを売っている現役メーカ-です。買収後も名前を残す価値があるスイスの有力ブランドという事でしょう。

 このヒューリマン1K10は1930年に登場したモデルで、前年の1K8の10馬力版になります。両方合わせて初代ヒューリマンと言って良い存在でしょう。名称の「1K10」は単気筒10馬力を意味しますが、この個性的な姿の単気筒シリーズはこれで終了、次第に本格的なトラクターを作るようになります。

 1:43モデル
 これも同じ物がユニバーサル・ホビーズから出ていますが、私のは雑誌付録版です。どうせ中国で作ってるんだから日本で売ればいいのにって思いますね。結局、無駄に地球一周したぶん高いカネだして手に入れるわけです。

 今となっては何でコレを選んだか自分でも理解に苦しみますが、ネットでトラクターイベントの画像なんか見ていて印象に残ったのかも知れません。だって可愛いし運転してみたいでしょ?鉄車輪にゴムパッド付いてるから街中で所有してもいいかも。とか思う(アホや)。

野村トーイ イセキ TB-20
Nomura Toy <T.N>1:14?  Iseki TB-2
野村トーイのTB-20 2008.10.18

 コレも随分前にちょっと紹介したのですが、イセキTB-20(通称・仮面ライダー)の魅力的なスタイルを良く捉えた素敵な玩具であります。 

 私は古い洋書の白黒写真で存在を知ってから非常にあこがれたアイテムでした。実車が1965年の登場当時に好評で迎えられた事は、現在も元気な姿を度々見かけることで十分に想像できますが、このようなトラクター玩具が作られた事自体が日本では異例なので本当に欲しかったのです。

 しかしこのアイテム、08年現在では、どうネット検索してもウチしかヒットしない事から、恐らく一般的には誰にも相手にされてないアイテムなんだと思われます。オークションで見たのも私は数年前のコレ1回きりでした。

 単に年代的な物でしょうが、全体的に昔の輸出向けブリキ玩具の雰囲気も残ったプラスチック製です。すでにブリキ時代からトラクター玩具は存在しましたが、車種を特定できるレベルの「モデル化された国産トラクター」はこれが最初ではないかと思います。洋書で知った事もあって輸出用かと思ったりもしましたが、機種的にも、素敵なパッケージを見ても国内向け商品で間違いないようです。

 こんなアイテムを出して野村トーイは資金を回収できたのか疑問ですし、ブリキではなくプラなので現在の玩具コレクターが高値を付けるほどの訴求力もなさそうに見えます。もちろん当時の企画意図や機種選定については全く知る術がありませんが、私は今は無き野村トーイさんのそんな仕事ぶりに感謝しています。国産トラクターを語る上で欠かせないTBシリーズを当時の玩具の雰囲気で残してくれた野村トーイさん、本当にありがとう!実車もコレも大好きですよ!

 コレを書いている今気づきました。フリクション駆動モデルなのですね。走らせるなんて恐れ多くて思いつかなかった(笑) 絵にある様な荷車もついています。
晴れたので撮ってみました。 2008.10.13

 当地ではそろそろ初雪が降りそうな季節になりました。葉の色が徐々に変わって無性に何か撮っておきたい気分になります。

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 随分前に紹介した名品ダンバリーミントの1/16と、フランス雑誌の1/43のフォードソン「F」です。

 1/43の方は1917年デビュー時のアメリカ・フォードソンで、右側にライトが付いていたりして少し味のあるモデルです。細部はお世辞にもシャープと言える代物ではありませんが、これくらい小さい画像だと全体の雰囲気の良さが功を奏してナカナカ見栄えがします。
 1/16の方は、持つのにも気を遣うハイ・ディティールなのでただ撮るだけでOK。これは公園の片隅に置いて撮りましたが、いつか地平線の見える畑で撮りたいですね。


ダンバリミント 1927 フォードソン F
Danbury Mint 1:16 1927 Fordson F

ユニバーサルホビー 1917 フォードソン
Hachette 1:43 1917 Fordson F

 実はこれ、ワザワザ単焦点の古いマニュアルレンズをデジタル一眼に付けて撮ったのですが、うっかり同じ絞り値にしていたため、1/43ではギリギリ車体全体にピントが合う感じで背景がボケていますが、1/16ではあまり背景はボケていません。

 まぁ、どちらが良いのか良く分かりませんが、こうして並べてみると、本物っぽい1/16と、玩具っぽい1/43で似合っているかなと・・・ちょっといい経験になりました。

Schuco 1:18 lanz Ackerluft D 9506
ランツを撮ってみました。 2008.10.10
 
 今年の2月に購入した1/18ランツを屋外で撮ってみました。

 ホームセンターで買った人工芝(切り売り100円分)をベースに、太陽光で手持ち撮影しただけ。模型の撮影としては「超お手軽スナップ」写真ですが、HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)画像処理ソフトを使うことで何となく本物っぽい雰囲気になりました。 ・・・と、自己満足。

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 晴れた太陽の元で、特に光沢のある模型なんかを撮ると、どうしても玩具っぽく写ってガッカリする事が多いです。ね?

 また、暗い物(ブツ)を撮ると、背景に露出が合うとブツは真っ黒に潰れ、ブツに合わせると逆に背景が白飛びし、画像処理で明暗やコントラストを調整しても効果には限界があります。

 で、同じ画像から、明、暗、の二種類の画像を作り、それぞれのオイシイ所を強調して合成してやれるといいんだけど・・・と言う事が、本来の使い方とは少々違うけどHDR化ソフトで出来てしまうんですね。

 明るくすると真っ白に飛んでしまった青空や雲も、暗くすると黒潰れした車体やタイヤのディテールも、どちらも両方再現出来ました。暗い所からディテールを持ち上げる効果は、「折角作り込んだのにディテールがよく見えない」という場合に試してみる価値あるかも。なんだか物凄く模型向きな気がします

 私が使ったのはPhotomatix Pro 3.0評価版!(笑)。

ユニバーサルホビー ルノー HI
Hachette 1:43 Renault HI
変わった形のルノーのトラクター 2008.06.09

 前回とは違い、ルノーの場合は有力なトラクター・メーカーでもあるのでミニカーも数多く出ています。形も割と普通なので単に「ルノーのトラクター」ではあまり面白みはないのですが、例外的にコイツだけは異様な存在感を醸しだしていています。実は前回のフェラーリなんかはオマケで注文した物でメインの買い物はコレでした。

 まず目を引くのは、長年ルノーの自動車のアイデンティティであった独特なボンネット形状でしょう。この一目でルノーを連想させる形状に拘ったため、ラジエターや燃料タンクの置き場所で余計な苦労して(いる様に見え)ます。美しいボンネットを採用した結果のこの無骨さ、私にはとても愛おしく思えるのです(笑)

 足回りも個人的には魅力的です。キャタピラより前に突きだしたサスアーム(?)を、車体先端に横置きしたリーフスプリングで受ける形は、46年頃と思われる謎の加藤Pや、19~32年のクレトラックW型で見た方法で、数は少ないものの1つの系統として捉えられる方式です。

 こういった所にメカ好きは「この系統の元祖は何かな?」といった興味を持ってしまいます。このルノーがもしかして?とか・・・。しかし、実はこの「Renault HI」は 1922年型で、よくよく考えたらクレトラックより後なのでした。形が無骨すぎて古く見えただけでした(笑)

 ところでこの車両、とても面白い事に、燃料タンク横の白い楕円マークに「ルノー FT-17軽戦車」の側面図が描かれています。ルノーFT戦車との直接的な関連性は部品形状レベルで見ても分かりませんが、恐らくこれは「あの傑作戦車を制作した技術が生かされています!」というアピールなのでしょうね。

 先のボンネット形状といい、当時のルノー製品は信頼されていたのだろうなぁと思わせるディテールでした。


アシェット フェラーリ トラクター
Hachette 1:43 Ferrari F2
知られざるフェラーリのトラクター2008.04.28

 じゃ~ん!「フェラーリ・トラクター」の1/43モデルです。私のはフランスのミニカー付き雑誌のオマケですが、同様のものがユニバーサル・ホビーから単体発売されています。「送料が高くなる、ケースが安普請だ、当該記事は1~4ページのチラシ風だ。」という理由で、雑誌付きより単体版が良いと思います(笑)

 ちょっとモダンな形のトラクターですね? 今の感覚で観ても不自然さは感じませんが、なんと!これで1950年製なんだそうです。・・・もっとも、もし、モデナの工場で166MMと並んで生産されていたのなら驚く事ではありませんが・・・もちろん当時の日本ではまだトラクターは作られていませんでした。同じ敗戦国とはいえイタリアと日本との工業力は雲泥の差ですね。

 「フェラーリ・トラクター」をネット検索すると、トラクターで成功していたフェルッチョ ランボルギーニが、フェラーリを超える高性能車作りに執念を燃やした逸話は沢山出てきます。しかし、フェラーリ製トラクターの存在については、冗談の類以外には1つも記事を見つける事は出来ませんでした(日本語では)。

 実は・・・何を隠そう私もよく知らないのです(笑)。ただ、残念ながら、このフェラーリと、あのスクーデリア・フェラーリは関係ない様です。かつて日本にも自動車会社と紛らわしい名の農機メーカーがありました。会社名に人物の名を使っている以上、あり得る話です。「本物のフェラーリである。されどフェラーリにあらず」。 チャンチャン。


 デジカメ買いました。長いことスキャナーやCGで誤魔化していたんですが、これで楽できます(笑)
「図鑑・世界の戦車」は偉大だった。2008.03.20

 私が小学生の頃、どの友人宅にも必ず有ったのがこの少年少女講談社文庫「図鑑・世界の戦車」でした。

 その当時の親父達は、分厚い百科事典とワグナー商会の金属製クラッシクカーを飾るのがステータスでしたが、その息子達の本棚には「図鑑・世界の戦車」とバンダイ・ヨンパチあたりの戦車模型が「標準装備」されていたのです。

 戦車図鑑といえば、鶴書房の「戦車・装甲車」や、学研エックス図鑑の「戦車」「図解・戦車」といった、現在読んでも内容の濃い名著があるのですが、翻訳本の「戦車・装甲車」は第一次大戦以前しか扱っていない究極のマニアック本だったし、エックス図鑑も「図解・戦車」に至っては日本の戦車専門家達が総力を挙げてしまった為に、半分近くは戦車の運用法などの小難しい解説に当てられる不始末(笑)、子供達には少々敷居の高い内容でした。

 つまり私たちガキどもに、何回も読み返すような愛され方をしたのは、この講談社の「世界の戦車」だけだったのです。

 一応、著者名「アルミン・ハレ/久米穣訳編」という翻訳本ですが、対象年齢を下げる狙いからか日本側で挿入された部分が多く、その結果、カラーの図鑑ページと、白黒の面白話(?)ページが交互に現れるバラエティに富んだ構成となって「子供を飽きさせない」本になりました。最初から、いきなり高荷画伯の超かっこいいタイガー戦車の見開きで始まり、次の見開きは「古代戦車のいろいろ」、次はアッシリアの怪物戦車(こんなの)。もう最高です!

 ただ・・・実はこの本の最大の魅力は、所々に出てくるセンスが良いのか悪いのか分からない妙なフレーズです。なにせチーフテンは「かせがなかった酋長」なのですから(笑)

 私の一番のお気に入りはレオパルドの「はさみをうしなったかには、またおそろしいはさみをもったのだ。」という物。戦後、西ドイツが新型戦車を持った事を指しているのですが、実に上手い表現です。これなんかは原著のアルミン・ハレさんのセンスかも知れません。

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 変な所も多いけど、子供をナメたような迎合感はあまり無く、時折出てくる奇妙な言い回しが心地よい。このテイストは何かに似ている様な気がしてましたが・・・そう!この本を持っていた友人達は皆、後にガンダムにハマる事になりました。続々と量産されるジオンのモビルスーツは、戦車の知識がある者にはたまらなく魅力的でした。実は、この本に訓練された世代が後のガンダム・ブームを起こしたのです!なんという偉大な図鑑でしょう・・・と、軍人将棋のヒコーキ並に飛躍した結論を導き出して終了(笑)