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vol.16
 

第4回天国と極楽展/朗読会フェスティバル 1



出演者の朗読写真が清水鱗造さんのHP もみの木画廊朗読会(2000.5.3) アルバム と長尾高弘さんのlongtailもみの木画廊 朗読会フェスティバルよりにあります。
朗読作品から、清水鱗造さんのOKをいただいて、詩を1篇引用します。 Rinzo's HP掲載の週刊詩の中の作品です。



清水鱗造
ビンの中の羽     (2000.1.18)

通りから
小さい公園に出ると
羽が一枚落ちている
すると
僕はビンを思い出す
ビンに羽

だけれども羽が
地面に一枚落ちている画像を
飾ってみたい
気持ちも遠くにある

写真に撮ってみたいような

下を向けば顔を思い出す
顔は水面の波紋に乱れて
やがて
冬の池のそばに
立っているひとり


 清水鱗造さんの詩はイメージがくっきりしているが、その画像の質は彼の独特な視線によってゆがんだレンズのような負荷がかかっている。たとえば「ビンに羽」のイメージは、分厚いビンのガラス越しに見る、(胴体のない)蝶の羽である。落ちている羽を「写真にとって」、画像を「飾ってみたい気持ち」がある自分を、自分がそっと静かにのぞきこんでいる。イメージが内省的なところを通って浮き上がってくる。そのとき、ゆがんだ画像に小さな亀裂が入って、人間の心理の暗いところがが裂けて見えるような感じに襲われる。
作品はあまり朗読向きとは思えないし、朗読する本人も、特に人に聞かせようと声高になるわけでもなく、うつむいて小さな声で、たんたんと読んでいるのだった。(関富士子)




「もみの木画廊」の詩の朗読会の感想


2000.5.6   桐田 真輔

 5月3日に、自由が丘の「もみの木画廊」で行われた詩の朗読会、「朗読会フェス ティバル」にでかけた。青木栄瞳さんから葉書で案内状をいただいて、清水鱗造さん はじめ、これまでに少し面識のある方々も何人か朗読されるようなので、楽しみにし ていた催し。今年で4回目になるという。朗読会は間に1時間の休憩を挟んで、昼夜 それぞれ2時間の二部構成で、出演者は、つごう20名ほど。会場には途中から客席 用の椅子が追加されたりして、かなりの盛況だったと思う。

 ここ数年、ウェブで知り合った方からお誘いを受けたり、掲示板情報を読んだりし て、こういう朗読会に何度か足を運んでいる。自分の場合、詩誌やウェブで名前や作 品を知っている人の、実物に会えるというのが一番の動機。そうすると作品の理解が 深くなるのか、あてにならない思いこみが増すだけなのかよく分からないが、事後に は、たしかに何かが変化してしまうように思う。

 普段はあまり意識することのない、詩を読むことと聴くことの違いを、そのたびに 考えさせられる、というのも朗読会の魅力だ。この違いをできるだけゼロにして伝え たい人と、できるだけ差異化したい人の間で、いろいろな朗読スタイルが演じられる。

 「もみの木画廊」の朗読会は、フリースタイルで、スピーチ(飯田隆昭さんの、葬 式にかかった費用の話と、退職後10数年で名誉教授になったというお話だったか) から、独唱(会場公一さん・「夏の思い出」のドイツ語訳!)から、現代舞踊、演奏 (オカリナ、ギター)入り、と多彩。沖縄からこられた石川為丸さんは、いろんな現地特 産物(貝や木の葉や小石など)を披瀝されていた。私は二次会で「やぎのふん」(実 は二酸化マンガン)をもらった(もらったものといえば、山岡広幸さんから、詩誌 「Catwalker」をいただいた。平易な言葉で書かれた叙情的な短詩の世界。感謝)。

 朗読は一番後ろの席で聴いていた。ビルに入っているどこか別の店?から流れてく るジャズが耳障りでない程度に聞こえていて、それがずっとバックグラウンドミュー ジックなっていた。

 当日、始まる前に青木さんから聞いたところでは、持ち時間はそれぞれ10分程度 の予定だという。1部が2時間だと、10人でも1時間40分で、すこし余る。実際 に1部は順調に(^^)早く終わってしまい、休憩になったが、10分というのは、かな りの時間だ。そこで長い詩を用意してきた人もいたようだが、長い詩というのは、ど うも緊張が持続しなくて、いったんあらぬことを考えたりすると、おいてけぼりをく う感じがある。特に物語的なストーリーがあると、不良消化が残る。一部で個人的に テーマが印象に残ったのは駿河昌樹さんの詩ふたつ。あれをいつか紙で読んでみたい なあ。

 5時からの2部では、森原智子さんの朗読がきけなかったのが残念。青木さんのドッ トドットドットから始まって、圧巻は萩原健次郎さんの「冬白」の朗読だろうか。修 学院離宮のゴミ焼却炉のイメージがすごかった。

 清水鱗造さんが、朗読する詩をあらかじめ紙にコピーしたものを配布されていたが、 あれはやはり聞き取りにくい朗読詩の内容をフォローするという意味で、いい案だと 思う。朗読時間を少し少なくして、作品内容について気軽に質問などできる時間をと るというのも、ひとつの方法かもしれないと思った。

 二次会では、布村浩一さん(二次会から参加)に、先日清水さんの掲示板で話題に なっていた詩「桜の形式」のラストの部分についての質問。こういうことができるの が、こういう集まりの面白いところ。大いに得るところがありました。

***

 関さんが、で書いておられることだが、詩(現代詩)の世界が、基本は手 作り(自費出版形態での詩集・詩誌の流通を実質とする)であることが、頭ではわかっ てるつもりでいたが、このところ、ウェブでの情報を介しながら、だんだん腑に落ち てきた。よくも悪くも、このあり方は、情報社会化によって加速されこそすれ、減速 しそうにもないように思う。

 詩の朗読会についても、手作りなのだから同人誌の親睦会で充分というような考え 方もあると思うが、この「もみの木画廊」の朗読会は、個人や詩のグループを横断し て出会いの場を提供していく、という面が特徴のようだ(このフリースタイルはたや すそうで、大変なことだと思う。青木さんから出演者に依頼するときの、ご苦労など について少しお聞きした)。一見開かれているようで、ますます安住の地を求めて、 たこつぼ化しそうな時代の中では、他者に出会うある種の不安定感も含めて、こうい う朗読会はとても稀少な試みかもしれない。ひとりの観客として半日楽しませてもらっ た者として、青木さん、スタッフの方に感謝。

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桐田真輔 e-mail: mailkiri@air.linkclub.or.jp
tubuKIKIHOUSE
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青木栄瞳さんのしみりんHP掲示板の書きこみから転載です。

もみの木朗読会    青木栄瞳



もみの木朗読会、、、何やら「黒船来襲」と行った感がありました。
みなさん、ありがとうございました、おつかれ様でした。

黒字にもならず、赤字にもならず、あまった16000円は、
2時会、のカンパで、すっきり白紙としました。
ちなみに、収入は、入場料のみ。ギャラは、出演者20名お手伝い、裏方さん
10名、一律500円玉1個(毎年)です。交通費は全員自腹でした。
(超遠方の方々も、まえもって、それで、okということでしたので)
ーーー(清水さんの掲示板に、もみのきの会計と、ありましたので、はい私も)


さて、来年は
どのような会風にいたしましょうか。
今回のノリで無く、白紙から、また遊んで
みるつもりです。
この会は、朗読のコンクウルでも、発表会でもなく、
一応、ゲストは詩人の方ですが、何やら個性と、存在感の強い方に
マイクの前にご登場を、お願いしております。
(持ち時間10分位、ご自由にお任せです。予告も審査もなんにもなしです。)


当日、開催してみなければ、どんなことになるか、見当も着かない
所に、スリルとサスペンスと遊びと楽しさと恐ろしさと自由さと
いいかげんさ、と緻密さ、、、、、と

まあ、頑張ると、いけません、

サラ、サリ、サラ、サリ 、サラ、サリ、サリリン、です、
気にしていました。が、
20代30代の詩人達の朗読の第3部
今回は、2日掛かりにしないと、(当日までの準備、青木一人なので)
実現不可能でした。、こころ残りです。来年はまた、考えます。

私のこの会は、いつまでたっても、手作り風で 自由な風をふかして、
全国、いや、世界の津々浦々から、ピチン、ピチンの方々にご登場
願っております。毎年出演者、総入れ替え制にしたいのですが、
実際、私は、(生電話、手紙文、赤面性で、早口、乱文です)ひとりで
出演交渉いたしますので、普段から、きやすく声のかけられる詩人達に
ニャン、ニャンよろしく、、ね。と言うことに、現実です。
これ以上、大掛かりにはしないつもりです。ハンドメイドの会ですが、
超濃密で、ナマナマ、の、夢空間の実現をねがっています。が、ヘマ
もしたいなーと。。。
(赤字にもならず、黒字にもならず、あの会場の広さに、お客様が、
あふれすぎたら、どうしましょう、、、せめて、2次会の会費、
出演の方々には、ただにしてあげたいけれど。、、いろいろ無理
をすると、この先、続かないので、、、まあ、

みなさま、、ゴメン。またよろしくね、と。いうことで、す、

でもね、若いかたがた、体力、気力、駿パツ力、反発力、バリバリで
あって、そちらから、乗り込んでいらしてね、。会期中別の日に、
やらせてくれ、とか、わたし、朗読したいの、とか、(言いだしにくいかも
しれないけれど、はい、もう、大丈夫よ)また、
当日近くのライブハウスで、昼頃とか、、、相談受けたら、栄瞳姉さん
感激です。まぶしい風をふかせてください。お手伝いさせてください。

大規模に発展しそうな、東京ポエケットという、フリー参加の
ヤリタミサコさんの会もあります。期待しましょう。 エールです。

>ヤリタミサコさん。バトンタッチよ。

白玉入りの餡蜜を食べにいくかな。(栄瞳)




青木栄瞳さんからのご案内です。

第4回天国と極楽展/朗読会フェスティバル

天国と極楽展

詩と絵の展覧会
5月3日(水)ー5月9日(火) AM11:00−PM7:00
会場 もみの木画廊   東急東横線自由が丘駅下車徒歩7分ぐらい
   東京都世田谷区奥沢6-33-14 もみの木ビル2F TEL 03-3705-6511

出展者
駒田克衛 児玉恭子 会場公一 ヤリタミサコ 青木栄瞳 日嘉まり子 浜江順子 宮下美々  渡辺めぐみ 上口真生 神谷鮎美 谷敏行 石田明子 山下倫代 折原由津季 沿道微光 かわじまさよ 今泉義久 Qanta

入場無料 

5月3日午後2時から朗読会フェスティバル

昼の部 PM2〜4時

駒田克衛  ヤリタミサコ  駿河昌樹  浜江順子  飯田隆昭  清水鱗造  鈴木東海子 野村喜和夫  岡島弘子 一色真理

夜の部 PM5〜7時

青木栄瞳  会場公一  石川為丸  長尾高弘  日嘉まり子  添田 馨  森原智子  原 成吉  荻原健次郎  支倉隆子

司会 宮下美々

料金 ¥2000

会場 もみの木画廊   東京都世田谷区奥沢6-33-14 もみの木ビル2F TEL 03-3705-6511

<雨の木の下で>第4回天国と極楽展/朗読会フェスティバル2(駿河昌樹)
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