日々の記録

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本(ミステリー中心)の感想とライブ(ジャズ&ロック)の感想,熱帯魚の飼育記録なども兼ねてます。ミステリーの場合にはネタばれもあるので,ご注意下さい。(スタイルシート可の設定のもとでは,ネタばれ部分の文字は見えないようになっています。マウスで選択し反転させると読めます。)

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2007年1月

年賀状を送っていただいた皆様。
 喪中につきこちらからは遅れませんでしたが,後で寒中見舞いを出す予定です。
 本年もよろしくお願いします。

1月10日(水)

遠藤徹姉飼』を読了。−−さぞ、いい声で鳴くんだろうねぇ、君の姉は―。蚊吸豚による、村の繁栄を祝う脂祭りの夜。小学生の僕は縁日で、からだを串刺しにされ、伸び放題の髪と爪を振り回しながら凶暴にうめき叫ぶ「姉」を見る。どうにかして、「姉」を手に入れたい…。僕は烈しい執着にとりつかれてゆく。日本ホラー小説大賞受賞作「姉飼」はじめ四篇を収録した、カルトホラーの怪作短篇集。−− 表題作はちょっとミステリー的(実は何々だったパターン,バレバレだけど)。記述による気持ち悪さよりも,そのさらに奥にある嫌な部分を狙っている感じですかね。表面的には前者を打ち出してるようにも見えますが,それはそれなりの技術があれば何とかなりそう。それよりも主人公と“古川”の執着心とか,陰にいる男たちの悪意とか,そちらの方ばかり印象に残ります。他の作品では「キューブガール」が面白かった。ここに出てくる悪意の形も印象的。「ジャングルジム」はわりと普通というか,似たようなパターンの話ってたまにあるよね。独自の毒は特に感じられませんでしたが,語り口はよし。「妹の島」は書き出しやその設定からして面白そうだったのですが,盛り上がらないまま終わっちゃった感じで,なんかもったいない。なお,Amazonでの読者の評に「等身大の女性と恋愛してこなかった男性の願望小説」というのがありましたが,そう読めるように狙ってやっているように思えないでもないのですが,さてどうでしょう?

『姉飼』(文庫版)の解説が大槻ケンジだったので,ついつい筋肉少女帯(最近復活したみたいですね)の「いくじなし」などが聴きたくなってベストCDとか引っ張り出してくる。久しぶりに聴くと……けっこういい! 一時期筋少ばかり聴きまくっていたことがあって,多少食傷気味になっていたのだったが,やっぱ久しぶりに聴いてみると,筋肉少女帯もなかなかいいですなあ。「何処へでも行ける切手」とか,それなりの格調だってあるじゃないですか。

1月9日(火)

今日はまだゼミがお休み。安全衛生の職場巡視はあり。

はてなのキーワードに“○△県出身”および“○△出身”というのがあるんだけど,“長野出身”のみ長野“”の出身なんですね。他の県庁所在地は市と県と両方の意味を持たされているのに。さすが長野県(地域間の対立が顕著)。

1月8日(月)

Aさんも無事に戻ってきました。よかったよかった。昨日作りすぎた雑煮をお裾分けしたら,気に入っていただけました。よかったよかった。

1月7日(日)

昨日,芥川賞と直木賞の候補が公表されたようです。またその季節か。早いなあ。ちなみに芥川賞候補の作者,誰も読んだことない。佐川光晴にはちょっと興味あるけれど。佐藤友哉はノミネートされませんでしたねぇ。直木賞候補の中では,北村薫は何冊か読んだことあるけれど,個人的にはどうもしっくり来ず。で,今年はメッタ斬り企画はないのかな?

呉智英現代人の論語』を読了しました。−−学びて時にこれを習う」の本当の意味は? ありがちな誤読を解き、礼の文化から知のあり方まで孔子の真の精神性を説く不朽の名著!−− 自称“封建主義者”の思想家・呉智英による論語解釈書です。あの呉さんですから,もっと攻撃的な本かと思っていたら,意外とまとも(?)というか,十分一般性のある本です。実は読まれていない論語ということで,論語をちゃんと読めば,革命軍に参加しようとし弟子に止められる孔子や,王妃との不倫を弟子に疑われ狼狽する孔子の姿に出会うことができる。確かに一般的に想像される孔子像とはちょっと,いやだいぶ違いますねえ。自分の思想が世間で認められないことに複雑な気持ちを抱きながらも,自らの信念については自信を失わない孔子。改めて彼のまっとうな凄みみたいなものを感じました。

夕飯にまた雑煮を作りました。作業も前回よりもスムーズに。大根を煮込む時間とかもわかってきたので。

さて,明日からまた本格的(?)に頑張りましょう。

1月6日(土)

ライブ『吉田達也 新春叩きっぱなし』に行ってきました。複数のバンドが出るけれど,ドラムスはどれも吉田達也,っていう恒例の企画。開演予定時間の5分前に着いてみれば,やはり満員。まず1組目にRUINS alone(吉田達也ds,vo)。吉田さんのsoloを前に聴いたのはいつだったっけ?と思い返してみれば,2003年の「変拍子で踊ろうvol.9」の時以来。当時はCDを使っていて,ドラムスの振動でCDが飛んだりしてましたが,今はサンプラーか何かを使っているようです。迫力の演奏。高円寺百景の「Becttem Pollt」も。いやー,激しい。2組目は勝井祐二vn×吉田達也ds,voによる即興演奏。前半は予想したよりおとなしめだったが,後半はエフェクター多用で混沌に。3組目に是巨人(鬼怒無月g, ナスノミツルb, 吉田達也ds)。ベスト集っぽい選曲。「Jackson」の演奏中,鬼怒さんの弦が1本切れるが,何事もなかったかのようにそのまま演奏続く。慣れてはいるんだろうけど,切れてるのを実際に見なきゃたぶん気が付かなかった。ちなみに今堀恒雄さんは一度も切ったことがないらしいとのことで,二人の演奏の違いとかとあわせて考えると面白い。最後にThe World Heritage(勝井祐二vn, 鬼怒無月g, ナスノミツルb, 吉田達也ds)。バンド名は「世界遺産」って意味なんですね。たぶん即興だと思うんだけど自信なし。ちゃんと作曲された曲かのようにも聞こえるけど。演奏に関係ないけど,勝井・鬼怒コンビのいつものヤツにナスノさんが加わるMCって,意外に面白かったです。

今夜の買い物。The World Heritage『Icomos』 と高円寺百景『弐』(リイシュー版)。後者が入手できたのは,とてもうれしいですね(1stもそのうち出るらしい)。家に帰って聴いたが,うわっ! こりゃすげーわ。

1月5日(金)

初出勤。同室のAさんはまだ休みだが,他の人達はまあだいたい揃っている。学生さんは2人とも自宅生だしね。一週間ほどの短い期間の休みではあったけど,見慣れた顔に合うとそれでもちょっとほっとする。

モンテネグロが独立して,国名コードがどうなったのか,調べてみました。メモ程度です。モンテネグロ共和国がME,MNE,MGO。セルビア共和国がRS,SRB,SER。共にISO A-2ISO A-3,IOCのコードの順に並べています。覚えとくと,どういうメリットがあるのかというと,あまりないんだけどね。ISOの2文字のほうは,インターネットのトップレベルドメインに使われてるし,IOCのコードのほうは,スポーツ競技の国際大会で普通に使われているので,放送とかを見る時にたまに役に立ちます。そのぐらいかな(笑)。

1月4日(木)

一応,今日まで休暇を取ってあったので,どこか(例えば初詣とか)に行こうかと思っていたが,けっきょく寝てすごす。

実家から送られてきた餅があるので,お雑煮など作ってみました。寄せ鍋用のだし汁に,白菜・大根・しめじ・春菊。なかなかよい出来。

っていうか,けっきょく冬休みは家では仕事しなかったな。

1月3日(水)

マジで寝正月ですかー。三が日だからということで,夕飯はネギシの正月用の特別メニュー(何だったか忘れたけれど)をと思いつつ,けっきょく面倒くさくなった。

今年買った音楽関係のCD・DVDのベスト4もまとめてみました。

  1. 是巨人JACKSON
    8/22のライブ『変拍子で踊ろう Vol.11』にて購入。
  2. eEYO idioteEYO idiot
    3/16のライブにて購入(先行発売)。
  3. Otomo Yoshihide New Jazz QuintetONJO
    9/16のライブにて購入。
  4. アポジー&ペリジー超時空コロダスタン旅行記
    戸川純関連で10枚ほど紙ジャケット再販されたものの一つ。
  5. 高円寺百景Live at Doors
    8/22のライブ『変拍子で踊ろう Vol.11』(高円寺百景の出演はなし)にて購入。

ライブに行った回数自体が減ったぶん,買ったCDの数も少ないなあ。
(ライブ会場で直接買うことが多いので。流通業者が入らないぶんだけ,演奏者の収入も増えるだろうし。)

夜中に近所のファミレスに。鮭とイクラの親子丼とけんちん汁。久しぶりにちゃんとした食事か?? ハーブティを飲んだら急に体が熱くなる。空きっ腹にこれって効くのか?

1月2日(火)

マジで寝正月ですかー。

酒見賢一墨攻』 を読みました。−−戦国時代の中国、特異な非攻の哲学を説き、まさに侵略されんとする国々を救援、その城を難攻不落と化す謎の墨子教団。その教団の俊英、革離が小国・梁の防衛に派遣された。迫り来る敵・趙の軍勢は2万。梁の手勢は数千しかなく、城主は色欲に耽り、守備は杜撰であった。果たして革離はたった一人で城を守り通せるのか。−− 中島敦記念賞受賞作だそうです。昔,森秀樹のマンガでも読みました(連載だったので一部だけど)。映画化もされる(された?)ようですね。原作(本)の方は意外と薄い。で,面白かったんですけど,ちょっと短かいのがもったいないと感じました。いや,もしかしたらこのもったいなさまで狙っているのかも。それでも短編1話分ぐらい読み足りない気持ちで,ちょっと複雑。 そういえば,3巻目まで読んだけどそのまま放ってある『陋巷に在り』はどうしようか。こちらは全13巻と長いので,ぶっ続けに読むのはきついといったんストップしたまま,もう2年も...。まだ在庫なしとかにはなってないよね?

初外出。せっかくなので,職場にも寄ってみました。さすがに人がほとんどいない。新宿で夕食をと思ったが,やってる店が少ないですね。とはいっても,あんまり探す気もなかったんですけど。

さて,よくあるお遊びではありますが,2006年に読んだ本ベストテンをまとめてみました。

  1. 米澤穂信さよなら妖精
    捻くれてしまった僕ですが,ストレートに感動の一冊。感動ってのともちょっと違うか。ユーゴスラビア好きにとっては欠かせない作品。
  2. 池上永一バガージマヌパナス
    もっと美しいだけの話かと思ってました。こんなに笑える小説だったとは。池上永一という作家と出会ったことが,この一年で一番の収穫。
  3. 佐藤友哉子供たち怒る怒る怒る
    2006年中にギリギリ間に合わせました(間に合ったからなんだというわけでもないが)。純文学系の雑誌に書いても,ユヤタンはユヤタン。
  4. 若竹七海猫島ハウスの騒動
    コージーミステリの傑作。最近新作がないなあと思っていたので,一安心。昨年は猫に関する話題もいろいろありましたが。
  5. 浦賀和宏八木剛士 史上最大の事件
    オチが一発ネタ? “史上最大”ってことは,今後アレを越える事件は起きないってことですか!?
  6. 池上永一風車祭
    なんか僕の中で八重山諸島のイメージは物凄いことになっているんですが。
  7. 瀬名秀明八月の博物館
    単なる理系作家?だと思ってました。認識改め。なかなかの感動作。
  8. 鹿島田真希白バラ四姉妹殺人事件
    今年読んだ純文学系(佐藤友哉は除く)では一番気に入りました。表紙の絵がマグリット。
  9. 平山瑞穂ラス・マンチャス通信
    不安定な気分になる小説。カフカ+マルケス+わけのわからない何か。ハッピーエンド?
  10. 10池上永一レキオス
    池上永一3冊目。中盤までものすごく面白かったけど,最後がちょっと尻つぼみで残念。

次点:古川日出男『アラビアの夜の種族』

皆さんのベストはどうだってでしょうか。

1月1日(月,元旦

明けました。おめでとうございます。今年は寝正月。

今年の初夢は。医療崩壊ネタ関連(中身は覚えてないけど)。bewaadさんとこの読み過ぎか? まっ,過ぎってこともないか。

年の最初に読む本。さすがに遠藤徹『姉飼』っていうのもちょっと……と考えた末に,畠中恵しゃばけ』 を読みました。表紙が楽しそうだったので。でも,よく読んでみると“人殺しを目撃…”って,推理物かよ。まあ望むところ(かどうかはおいておいて)。−−江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う…。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。−− 前半はなんか少し読みにくくて気になったんですが,具体的にどこがとはわかりません。後半は○。推理物といっても犯人も妖怪なんで,どういう妖怪が?ってとこがネタですね。たくさん出てくる仲間の妖怪たちも親しみが持てます。 で,時代考証的にはどうなんでしょう。はたして店の手代が主人の娘と結婚することができるのか? 基本的に店の従業員は例え番頭であっても一生結婚はできないはずで,よほど大甘の親だったとしても,ちょっと難しいんじゃないかと。ああそうか,あの人は○○でしたっけね(だから特別だということか)。まあ,主人公の親についての話だし,本筋にも関係ないし。他にはそれほど変なことはなさそうです。次も読んでもいいな。

米澤穂信愚者のエンドロール』 を読みました。なんか本読んでばっかりだな,ここんところ。−−文化祭の準備に追われる古典部のメンバーが、先輩から見せられた自主映画。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか?その方法は?だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリの傑作。−− 『氷菓』に続く“古典部”シリーズ第二作。今回は連作ミステリではないんですね。どちらかというと,バークリーの『毒入りチョコレート事件』タイプ。前作よりもちょっと積極的に探偵役として働く主人公に出会えます。なぜ自分に探偵役が回ってくるかというところも,一つのポイントになっていますね。謎(といってもいいのかな)を重層的に積み上げることで,より複雑な構成になってはいるんですが,特に難解さも感じさせず,よい感じです。相変わらずのシニカルな仕上がり(『さよなら妖精』や『春休み限定…』もそうなので,作者自身の素質というか志向なのかな)ではあるのですが,登場人物全員に対して暖かみが感じられます。で,最初と最後に出てくる先輩って,奉太郎お姉さんですよね?もちろん。

寝正月なだけでなく,読書正月(っていう言葉があるのかしらんが)なだけでなく,断食正月。今のところ元旦のみだけど。


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