
vol.5
[股めがね]詩篇より
宮野一世
人間砂時計
こうしてワープロの前に坐っていても
言葉がたださらさらと頭から滑り落ち
胸をとおって
臍をとおって
足の方に溜まってくるだけみたいなんだ
頭はからっぽ
だからしばらく逆立ちをして
言葉を頭に戻してからまた坐り直す
てなことを繰り返していま詩を書いている
足の方にもう一つ頭がついてたら
いまよりははるかに効率的だろう
さて
十七屋の女
インクが
く
九びんひつよう
にく
じゅうはち
十八キロふひつよう
さんご
じゅうご
十五にちのしじんさん
しし
じゅうろく
十六さつかかえてさ
ごご
にじゅうご
二十五じのたちまちより
ロック
ごじゅうし
五十四きょくうたいまくりのすそまくり
しちに
じゅうし
十四さつしちいれせいこう
はっぱ
ろくじゅうし
ふみふみ六十四のみせめぐり
くし
さんじゅうろく
三十六にちもかみすかず
かけてかけてのかけめぐり
く
インクが九びんかえたかな
きゅうびんでたちまちつきます
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