[Sky Walking] 空中散歩

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空中散歩 PART 1

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まず最初にお断りしておくが、私は自衛隊の広報担当者では無い。戦争を賛美する愛国主義者でもないし、 声高に人類平和を叫ぶ平和主義者でもない。いわば無関心を装う一般ピープルの一人である。 こういう宣言をしてしまうとまた色々と異論を唱える方々の一斉攻撃を浴びそうだが、今回取り上げる ことの是非を抜きにして、"空中散歩"という視点から気軽に見て頂きたいと思う。

今回こんな貴重な体験ができたのは十数年ぶりに再会した一人の友人のおかげだった。 奇妙な偶然が重なり合って幸運に恵まれた。まずはその話からしておこうと思う。

ある日、友人からゴルフコンペへ半強制的に参加するよう電話が入った。 気乗りはしなかったもののつきあいだけはいい私は断れるはずもなく仕方なしなし承諾した。 いわゆる"コースデビュー"というヤツである。クラブだけは一通り持ってはいるものの振ったのは 譲り受けた一時期だけ。普段は埃をかぶった物置のオブジェと化している。
まさか何も練習せずにコースデビューなど到底無理。そのクラブバッグの埃を払い、飲み仲間を誘って近くの打ちっ放しに向かった。
始めてみるとなかなか面白いもので、時間があっという間に過ぎてゆく。予定の球数を打ち終え、続けようか止めようかと迷っているとそこに一人の 男がやってきた。
「あれ、同級生の○○じゃないか?」
と相棒に言われ、その男の顔をじっと見た。
(似てるような気もするが、違うような気もする。)
「どうなんだろうねぇ〜・・・」
ナイター照明が造り出す強い陰影のせいで、イメージよりも顔の彫りが深いような気もする。 なにせ十数年ぶりである。お互い当時のイメージとは変わっている。面影が残っているようないないような・・・。 声をかけるにしても何と言葉をかけたら良いものか・・・。
しばらく逡巡する。
向こうもこっちがチラチラ見ているのに気づいたようで、 時折こちらを振り向いて怪訝そうな顔をしている。
(人違いだったら恥ずかしい。)
この思いが邪魔をしてなかなか声を掛けられない。
そこでそいつのあだ名を呼んでみることにした。最初は小さな声で、そして相手が気づくまで段々と大きく・・・。
(振り向かないぞ。これだけ大きな声で呼んでいるんだからこれは人違いに違いない・・・。)
半ば諦めかけたとき、そいつは振り向いた。
一瞬、目と目が合う・・・。
空気が止まる。
ごまかし半分で私は愛想笑いを浮かべた。
次の瞬間、破顔一笑!
「おーっ!元気だったか!」
懐かしいその声に私はひとまず安堵の息をもらした。

それからは互いに今までの出来事を止めどなく話した。
十数年、お互いに音信不通だっただけに話は尽きそうもない。 気づくと数十分。
私はすっかり相棒の存在を忘れてしまっていた。
振り向くと不機嫌な顔でこちらを睨んでいる。
「悪りぃ、悪りぃ。」
とにかく近いうちにまた会う約束を簡単に済ませ、私はこの場を去ることにした。 この時はまだ一生のうちで体験できるかどうかの貴重な幸運が転がり込んでくるとは 予期できるはずもなかった。
そして数週間が経った・・・。

ゴルフコンペの前日、北海道には珍しく本当に珍しく台風が上陸した・・・。
私の打ちっ放しでの特訓は無為に終わった。
否、正確にはその時は無為に終わったと思っていた。
その数日後、それは意外な形で結実する。

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