[Sky Walking] 空中散歩

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空中散歩 PART 3

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午後1時。友人の車が到着。
地元の高校生の送迎ついでに便乗させてもらう。
「こんにちわ!」こちらが大きな声を掛けると
「・・・こんにちわ」
蚊の鳴きそうな声が返ってきた。
(最近の学生はこんなに元気がないのか?(^^;)

私の住む士別から体験搭乗の舞台となる名寄駐屯地までは車で約30分。 高校生達を和ませようと私は必死でおもしろ話をしたのだがそれも空を切ったまま、私達は目的地である名寄駐屯地の ゲート前に着いた。

陸上自衛隊北部方面名寄駐屯地。
米ソが互いの軍事力を競い合い「冷戦」状態だった当時、ここは北の最重要拠点だった。 昔、とある書簡で読んだが、シュミレーション上ではソ連が上陸作戦を展開した場合の最終防衛ラインに想定 されていたらしい。 それも東西の緊張緩和により、現在では存在意義さえ疑問視されている駐屯地になってしまった。ここには航空自衛隊は 配備されていない。今回は旭川駐屯地からヘリを借りてのフライトとなる。なお余談になるがこの辺りの国道が直線を 意識して造られたという話を聞いたことがある。それは有事の際、国道を閉鎖すれば簡易滑走路として使用 できるように配慮されているのだ・・・というまことしやかな噂があったことも付け加えておく。

ゲートチェックはあっけなかった。無論、隣に座っている友人の顔パスということであろう。
以前、仕事で千歳と恵庭の駐屯地に入ったことがあるが、その時はかなり煩わしいチェックを受けた。 その時のイメージが強く残っていたため少し拍子抜け。考えてみると今日は招待を受ける側なの だな、と改めて感じる。
敷地内は整然としていた。今日は土曜日ということもあってどこか閑散としている。
航空自衛隊のない名寄駐屯地のどこにヘリを泊めるのか興味深かったが、何のことはないただの原っぱに 鎮座するヘリコプターの勇姿が通りの突き当たりの方向に見えてきた。

今日の招待客はまさに老若男女。 下は高校生風から上はかなり年配のおじいさん風まで。
うら若きお嬢さま(ちょっとお世辞(笑))の姿もちらほら。
どういう基準で選出されたかを想像するのは難しい。

全員が揃ったところで、責任者の挨拶が始まる。
意外とフレンドリーな話に意表を突かれた。「つかの間の空の旅をお楽しみ下さい・・」などとまるで ツアーコンダクターのような話しぶりにこちらの緊張感も少しゆるむ。
続いてメインパイロットから搭乗時の注意点の説明に入った。
これも考えていたよりとてもイージー。機内の装備品に手を触れないこと、座席に座ったら必ず シートベルトを装着すること、それと・・・緊急時には簡単に窓がはずせる造りになっているため 窓には触れないこと。もっと色々な拘束を受けるのを覚悟していたが、意外と自由が利く。それと 撮影に関しての注意点が補足で入った。パイロットからは後部は完全に死角になる。この死角には 絶対に入らないように・・・との事だった。
今回、総勢30名の搭乗希望者を5名ずつに分けて、計6回フライトする。一回のフライトには 約20分程度を予定していると話を結んだ。私は送迎の関係から一番最後の組みにまわされた。

早速第一陣の出立である。
メインローターに火が入る。
たちまち、まわりにあった落ち葉と土埃が舞い上がる。
乗り込んだ第一陣の面々にはやはりどことなく緊張感が感じられた。
ローターの回転数が上がった。幾分高いエンジン音に変わる。
少し離れた所で離陸の瞬間を捉えようとカメラを構えていたのだが、体を支えて踏ん張るのが手一杯。
その瞬間、ふわりと機体が持ち上がりジェットエンジンの推進力を得てあっという間に遙か彼方へと 飛び立っていった。

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