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暗き夜に 星は消え 闇の鎖に囚われて
束縛によりて 心は堕ち
力の業に 溺れゆく
裏切り者。
使徒グラディウスと並び最も解りやすい使徒の一人である。
ただし、人々の心にある印象は、グラディウスが“畏怖”であるのに対し、
フルキフェルは“嫌悪”である。
全ての生命の雛型として作られ、全ての生命の特徴を併せ持ち、
それゆえどの生命とも異なる姿をもった使徒であり、魔神と象を除く全ての生命はフルキフェルへとその根源をたどる事が出来る。
いわば先祖であり、始祖であるこの使途が“嫌悪”あるいは“憎悪”をもって人々に焼きついている理由は、
彼女が「大皆触」を引き起こした張本人と捉えられているからである。
生命を作り上げ、自信のルーツを探る事はアーの悲願であり、また、生命の雛型として作られたフルキフェルは、
アーにとって最も愛する存在である。それゆえの慢心か、あるいは些細な失敗が膨れ上がったのか…
いずれにせよ、彼女は「大皆触」を引き起こした“原因”である。これは紛れも無い事実であり、
それにより全てのアルカナが身を砕かれ、暗黒の世界が訪れたことも又事実である。
人々の心に「大皆触」といった印象が残る事も、仕方の無い結果と言えるだろう。
ここから先はこちらの勝手な推測だが、全ての生命体の特徴をもち、それゆえ全ての生命体とは異なる姿を持つという事は、
立体的に見て様々な姿に見えると捉えるよりも、流動的で一定の姿を保つ事が本人にでさえ難しかった為ではないかと考えられる。
すなわち、フルキフェル自体は純粋なるアーの創造ではなく、意思の無い外来の何か、
すなわち光を包む闇のヴェールの先にある無(或いは虚)が身体の素材であったのではないかと思われる。
故に、光と闇で構成された世界ではフルキフェルの存在自体がある種の矛盾をはらんでおり、それが膨れ上がりはじけた瞬間が、
いわゆる「大皆触」なのではないかと思われる。
職業としてフルキフェルと呼ばれるものは存在せず、人以外の人語を解する種族をフルキフェルと呼ぶ。
人外、裏切り者と言った意味で使われる事が多い為、差別用語やスラングとして用いられることも多い。
様々なフルキフェルが存在し、その生き方、文化、思考、繁殖に至るまで種族によって異なる為、
フルキフェルとはこう言った種族であると断言する事は難しいが、ひとつ彼らに共通している事が、
無意識下において種族としての使命に囚われており、それゆえ不自由な生き物であるという事である。
豚人であれば流血と破壊に囚われており、岩人であれば物を作ることであり、鬼人であれば正々堂々たる精神であり、
猫人であれば世界のバランスであり、白鳥人であれば忠誠であり、獣人であれば贖罪であり、森人であれば待つ事と放浪であり、
河人であれば聖なる守護者であり、樹人であれば命の恵みであり、翼人であれば神の戦士である。
彼らの囚われている種族としての使命とは、すなわち他の動物が創造時に与えられた使命と似通っており、
総じてひとの為に役に立つようにと言う意味合いが強い。あらゆる意味と面においてかれらはまさしく“人外”であり、
フルキフェルである以上けっして“ひと”にはなれない悲しくも力強い“動物”である。
種族により様々であるが、基本的には豚人と同じ思考におちいる。ある者は破壊を正当化しようとするだろうし、
ある者はただ己に潜む闇の本能に従い赤と黒に染まるだろう。
だいたい、人がどれだけ偉いと言うのだ。確かに王国を築き上げ、他の種族には無い社会と繁栄を見せた。ただそれだけではないか。
個体の力では我らの方が圧倒的に勝り、ひとに劣るものなど何一つとして無い!
では、我らが受けている不当な差別は一体どこに起因するのかいってみろ! はるか昔にあった出来事と、
今生きる我らに何の関係がある! 傲慢なる種族よ。貴様らに生きる価値は無い!
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