グラディウス

万物に 等しく在りし 死の間際
心の修羅を 刃に変えて
果つる刻こそ 華としれ


<神話に見られるグラディウス>

 死神。

 これほどはっきりと解りやすく、かつ人に恐れを抱かれる使徒はグラディウスだけであろう。 事実、彼女は人の生を刈りとり、死を与える事をその使命としている。

 本来、死と転生はアルカイ達が犯した罪汚れを、少しでも償わせる為に存在している。 生を定めることにより、怠惰に陥る事を防ぎ、転生により汚れを祓う。死が意味する役割は極めて重要である。

 しかし、使徒グラディウス本人は自分の役割についてあまり納得していない部分もあった。 多くの者が… アルカエウス達ですら死を嫌ったためである。 悩む使徒グラディウスは己の役割について、アーに相談した。 アーは高潔たる裏の顔が、使徒ダァトとはまた別に必要である事を使徒グラディウスに説き、 使徒グラディウスはあえて汚名を着る事を決意した。

 恐れを抱くように、そして、自分のつらい顔を見られないように恐ろしい仮面をかぶり、 全ての生に鋭き刃を以って死を与えている使徒である。 そして、全ての使徒のなかでも、最も心の優しい使徒である。

<職業としてのグラディウス>

 主に、片手で扱える重さ大きさの武器を用いて、人を死に至らせる事のできる技術を有する者のことをグラディウスと呼ぶ。 “剣士”といったほうが一般的だろう。軽々と死を運ぶと言う面に、使徒グラディウスを被せたのだろう。

 アルドールアダマスが戦場において花形であるのに対し、 グラディウスは戦場において花形になることはまず無い。 一対一の戦いにおいて真価を発揮する彼らは、大雑把な戦場には向かないのだ。無論、 グラディウス達も戦場の花形となることは望んでいないだろう。

 グラディウスたる者、ただ己の技術の向上のみを望むのである。

<逆位置>

 死を身にまとわないと気がすまなくなる。或いは、死に価値を見出してしまう。 

 死は全てに平等でありながらも、それまでの生で価値が異なってくる。 死する価値も無い者は生きる価値も無い。故に無価値なる死を与える。 死する価値のある者は死ななければならない。故に甘美なる死を与える。

 今、俺の目の前にいる貴様はどちらの人間だ?