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<雨の木の下で>
講演会「北村太郎の会」の感想 2000.11.15 桐田真輔
2000年11月12日、横浜で行われた講演会「北村太郎の会」に行く。横浜大さん橋国際客船ターミナルの4階ホール。建物はもう海にせり出していて、見晴らしがとてもいい。演目は、松田幸雄さんの「北村太郎と「荒地」」という講演。元府立三商の同級生の方々の壇上での懇談。吉田文憲さんの「戦後詩人北村太郎」という講演。
松田さんの講演では、松田さんと戦後の「荒地」メンバーとの親しい交流の様子があれこれと語られた。田村隆一、鮎川信夫、片桐雅夫、黒田三郎、といった名前の他に、鈴木喜緑(若い頃に友人とあれこれ話題にした詩人だった)や、衣更着信など、後追いだが、かって「荒地詩集」その他関連書を読んだものには、懐かしい詩人たちの名前がでてきて、たのしく伺った。(撮影・コメント・関)府立三中の悪童たち。向かって左から加島祥造氏、北村太郎の双子の弟、松村さん。お友達。
ついで、北村太郎の双子の弟である松村さんを交えた元府立三商同窓生の方々が、懇談形式で当時の思い出話を語られた。この時期は北村太郎の戦前期にあたるので、松田さんの講演と重複せずに、ちょうどいい感じだ。トピックは加島祥造さんが、飛び入りに近い形で参加されたこと。加島さんは、近年では老子思想に接近して、精力的に執筆活動をされているようだが、やはり同じ府立三商のご出身だったとは、はじめて知った。
加島さんは、今回、府立三商時代の卒業アルバムを、会のためにと持参されたのだったが、偶然昔の同窓生との対面となったという経緯も面白い。そのアルバムを拝見できたのも予期せぬおまけとなった。同窓生の方々は、もう七十代半ばになられると思われるのだが、皆さんかくしゃくとされていて、つっこみやおとぼけにも味がある。聴いていて特に興味深かったのは、どうも当時の校長先生の独自の方針によると思われる、元府立三商という学校の自由主義的な校風にまつわるお話。公立学校ながら、相当の裁量権が校長という職分にあったのだろう。今ではちょっと考えられない。「(撮影・コメント・関)写真をクリックすると大きくなります。横浜港の氷川丸の前にて。向かって右から、田村隆一、加島祥造、北村太郎。画像は、加島さんが会場に持参された写真を撮影したもの。加島さんのご家族のお話では、この写真は、3人が50歳代のころ、文芸春秋の同級生交歓という欄に掲載されたものだそうです。加島さんはこの氷川丸でアメリカ留学をされ、そのときは北村さんが見送りに来てくれたということです。」
吉田文憲さんは、北村太郎における「わたくし」の場所、というテーマで、「五月闇」(詩集『眠りの祈り』所収)と、「こちら側」(詩集『笑いの成功』所収)という作品を例にだされて、それらの作品に表現されている、北村太郎の不思議な時間意識(直線でもなく、円環でもないような)の謎について解説された。私自身は怠惰でろくに調べていないのだが、北村太郎の時間意識には、ベルグソンの影響というのが、かなりあるのでは、とは、以前からぼんやりと思っていることだった。このことに関連して、私の知っている限りウェブで言及されているのは、河津聖恵さんだ(「rain tree」 vol.12所収「詩と時間」(1)(2)参照)。聴衆のひとりの勝手な思いだが、機会があれば、こういう会でも、河津さんの「北村太郎と時間」についての講演が聴いてみたいなあと。
講演会の聴衆は四十人程度だっただろうか。そのうち、会主催の方たちの先導で、二十数名が、懇親会風の飲食会に参加。私は隅っこで関富士子さんと話しこんでいたが、隣席されたた詩誌「hotel」の根本明さんや、会の企画者のひとり宮野一世さんとすこしお話しできた。私の管理させてもらっている「あざみ書房」のHPの詩誌紹介コーナーに、「hotel」の掲載承諾を頂いたのも収穫。。
******************************************桐田真輔 HP:
KIKIHOUSE(個人) HP:
あざみ書房(管理)
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宮野一世さんからお知らせ
北村太郎の会
日時11月12日(日)14時開場(講演14時半〜16時半)
場所 横浜大さん橋国際客船ターミナル4Fホール
(関内駅から徒歩15分。山下公園にほど近い。公園通りの、
水上警察のある角を海にむかって大桟橋埠頭にのびる道の右手。)
ゲスト 松田幸雄さん、府立三商同級生の方々、吉田文憲さん。
それぞれ「北村太郎と「荒地」」、「三商時代の松村君」、
「戦後詩人北村太郎」という題で講演。
会費 1000円
問い合わせ先 03-3292-0350(世話人 北冬舎内 柳下和久)
当日連絡先 090-4922-4887
小さくて、濃い朗読会 |
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