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vol.22
(縦組み表示2)<詩>青い水(田村奈津子詩集『虹を飲む日』より)

  星  明  わ  光  風  凧  か  通  た             青     田       
  々  か  た  の  の  の  ら  り  く             い     村       
  の  さ  し  中  中  よ  だ  抜  さ             水     奈       
  道  れ  の  で  で  う  の  け  ん                   津       
  筋  る  時        に  エ  て  の                   子       
        間        引  ナ  い  ひ                   詩       
        が        っ  ジ  く  と                   集       
        め        ぱ       が                    ┐      
        く        ら  が                         虹       
        ら        れ                            を       
        れ        る                            飲       
                                              む       
                                              日       
                                田            └        
                                村             よ       
                                              り       
                                奈                     
                                津                     
                                子                     
                                                      
                                                        



  飛  溺  移  ト  痛  今  よ  砂  雲  あ  笛  風  風  突  何  綾  あ  手  
  び  れ  行  ラ  か  晩  か  漠  に  な  の  よ  よ  然  を  取  ふ  の  
  込  か  す  ン  っ  は  っ  に  乗  た  よ  舞  吹  の  思  り  れ  ひ  
  み  け  る  ジ  た     た  降  っ  に  う  え  け  日  い  し  る  ら  
  た  て  空  ッ  ね     ね  り  た  叫  に        常  出  て  光  か  
  い  も  間  ト           て  女  び           が  し     で  ら  
  の     に              く  が  た  わ        は  た           
  は                    る     い  た        じ  か           
                                し        ま              
                                         る              
                                                        
                                                        
                                                        
                                                        
                                                        
                                                        
                                                        
                                                        
                                                        
                                                        
                                                        



                                      目  夢  黒  老  誘  青  
                                      を  の  い  人  惑  い  
                                      覚  中  む  に     水  
                                      ま  で  く  抱     の  
                                      し     犬  か        
                                      た     が  れ        
                                               た        
                                                        
                                                        
                                                        
………March 14 1995
*< >は原文では( )です。


死者の言葉  March 14 1995

 ロバート・アルトマンが、レイモンド・カーヴァーの短編小説と詩をもとに映画化した『ショート・カッツ』は、パノラマの真ん中にいるみたいで、とても刺激的だった。恵比寿のビール工場跡地にできた映画館は、ゆったりと快適な座り心地で、人間模様の曼陀羅の中をぐるぐる巡っているような気になった。アルトマンの底力に、年の功という言葉を再確認させられた。
 カーヴァーの作品の中で私が一番好きなのは、詩集『水の出会うところ』に入っている「父のさいふ」という作品だ。父親が死んだあとに残ったさいふにまつわる詩だ。命を失ったそのさいふから葬儀代を支払い、父親は故郷の墓地への最後の最高の旅に出かけるというような詩だった。それを読んだせいかどうかは忘れてしまったが、うちにも父の死後しばらく「父のさいふ」が存在していた。不思議なもので家族の誰かの誕生日近くになると、父親が係わったテキストのわずかな印税が入るという知らせが届いた。空っぽになっていたさいふには、食事に行けるくらいのお金が巡ってきた。「これでなんかうまいもんでも食べてこいや」という父の声が聞こえてくるようで、私はなんだか嬉しかった。勝手な思い込みなのだろうが、死者の意志を感じてしまうことがある。


田村奈津子詩集『虹を飲む日』(1996年あざみ書房刊)より
tubu<詩>赤い月、赤い耳(田村奈津子詩集『虹を飲む日』より)へ
<詩>愛しの六十二分(田村奈津子詩集『虹を飲む日』より)へ
<詩>音の梯子(関富士子)へ
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