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1.渥美半島の海岸浸食防止対策について

○○県議会一般質問

  議長のお許しを頂きましたので通告に従って「渥美半島の海岸浸食防止対策」と「三河湾を取り巻く幹線道路へのアクセス」の2点について順次、質問いたします。
 まず、はじめに、渥美半島の表浜海岸の浸食防止対策について質問いたします。
愛知県の海岸は、太平洋に面する遠州灘と、内湾である伊勢湾及び、三河湾の3つの沿岸からなり、このうち伊勢湾、三河湾につきましては昭和28年の13号
台風、昭和34年の伊勢湾台風により壊滅的な被害を受け、災害復旧により、海岸保全施設の一応の整備がなされておりますことは、皆様よくご存じのことと思います。
 一方、渥美半島の
遠州灘沿岸は太平洋の荒波にさらされ、海岸の崖地や砂浜の浸食が著しい状況であり、その浸食防止が急がれるところでありますが、海岸保全施設は未だ整備の途上であります。
そこで、渥美半島の遠州灘沿岸、通称、表浜海岸の浸食防止対策について質問をいたします。

 特に、渥美半島の最先端の恋路ケ浜から伊良湖岬は、日の出と日の入り、朝日と夕日が水平線に映える、すばらしい海岸であります。ここに立地しているホテルなどは、宿泊客に「朝日にしますか?夕日にしますか?」と聞いて部屋割りを決めていると聞いております。
 さて、このすばらしい海岸線は、静岡県の御前崎まで続いておりますが、
近年、その厳しい気象条件から著しい浸食を受け、白浜青松の砂浜が年々少なくなっております。
 
私が子供の頃は遠足といえばもっぱらこの海岸にでかけ、砂浜を走り回ったものであります。また、豊橋の高塚サンドスキー場や浜松の中田島砂丘などはそれ自体が一つの砂浜の観光地でもありました。

 しかし確かたる原因はわかりませんが、一つには天竜川からの砂の供給が無くなったからだと言う人もいるようですが、とにかく半島そのものが浸食され、砂浜がやせ細っているのが現実であります。
 この海岸の浸食を示唆する記録の一部を紹介してみますと、室町時代までは、太平洋岸に沿って渥美半島を縦走し伊勢へ渡る近道として、伊勢街道又は熊野街道と言われる街道がありましたが、江戸時代末期になると全くその姿は認められなくなったのであります。
 また、豊橋市城下の大円寺の移転記録など多くの小文書から、約500年の間に700〜800メートルも海岸線が後退したとあり、単純計算でも年1メートル以上の浸食が続いていると言われております。
 表浜海岸は、これくらい浸食の激しい海岸なのであります。

 そこで当局においては、昭和45年を初年度とする、第1次海岸整備計画から現在の第6次計画まで、この海岸線を保全するため、消波堤、傾斜護岸、離岸堤の整備を進めていただいております。現時点での整備状況は、消波堤の整備は前線完了しておりますが、傾斜護岸においては約44パーセントまたは、離岸堤や人工リーフに至っては渥美海岸、赤羽根海岸、高豊海岸の一部で進められておりますが、たった10パーセントの整備状況であります。
そして、
旧建設省所管である田原町の海岸では未だ離岸堤については未着工と言うまことに、淋しい状況であります

昔の浜は100 mもあり、地引網を引くときは、波打際まで、何十回と足を運んで網を引っ張ったものです。
それが、今では消波ブロックの崖下まで、潮が上がっております

もちろん、赤羽根や豊橋の海岸には漁港があり海岸の状況はそれぞれ違いますし、離岸堤工事は、多額な建設費が必要であるとことも十分承知しております

 この様な現状を踏まえ、田原町においては、平成8年に地元の関係する4校区の住民が主体となり「田原町太平洋総合整備促進協議会」を立ち上げ、田原町太平洋岸地整備基本構想「サングリーン21」を策定しました。
その構想は田原町の太平洋岸地域を海浜、崖森、農地の3つのエリアに区分し、海、砂浜、崖森、農地の保全、利用を図ろうというものであります。将来の伊勢湾口道路計画の整備も頭におきながら、21世紀における、この表浜への熱い地元の思い入れを表すものであります。
 

 また協議会はその活動として平成10年から「表浜フェスティバル」を開催し、地元の子供達からお年寄りばかりでなくサーファーなども参加して、海岸のゴミ拾いなどの掃除や、地引網など、浜辺での交流を通じ表浜の良さ、浸食などの現状を広く知っていただくとことで、改めて表浜の大切さを認識していただいております。

 さて、当局におかれましては改正されました、海岸法に基づく海岸保全基本計画の策定作業を進めていると聞き及んでおりますが、是非、今私が紹介しました地域の事情も計画に勘案していただくことと、海岸のゴミ拾いなどの清掃活動に対しましても今後何がしかの支援について、お考えいただけると幸いであります。

 海岸保全施設の整備については、ウミガメ、海浜植物などの保護の観点から議論もあることは承知しておりますが、何よりもそれ以前の問題として、砂浜が無くてはウミガメが産卵する事や、海浜植物が生育する事も出来ないのであります。
 
先ほど紹介しました豊橋市などの、離岸堤等の整備が進んだ海岸においては、見事に浸食が止まり、広い砂浜が復活しております。私は、国土の保全と砂浜の回復に繋がる、海岸保全施設の整備はぜひ、促進するべきであると考えております。

 

質疑応答

渥美半島の海岸浸食対策について

 渥美半島表浜海岸において、県当局の今後の浸食防止対策への取り組みと、海岸保全基本計画の策定についてどの様に進めていかれるのか、併せてお伺い致します。

 

答弁者 ○○○長 ★★★★

 まず、渥美半島表浜海岸の浸食防止対策についてでございますが、浸食防止対策としては、主に消波堤、傾斜護岸、離岸堤や人工リーフなどの3つの対策を考えております。
 この内、まず消波堤につきましては、昭和40年から着手し、ご指摘の海岸線の前線に渡り整備が完了しております。
 2番目の傾斜護岸につきましては、背後に集落や農地があるなど緊急に整備をすべき区間を約11kmと考えておりまして、これにつきましては概ね整備を完了している状況でございます。
 さらに、第3の離岸堤や人工リーフにつきましては、護岸の洗堀が進んでいる赤羽根地区や景勝地である恋路ケ浜など計約4.6kmについて整備が必要であると考えておりこの内約3.9kmの整備が終わっております。
 今後の取り組みの方針でございますが、
議員のご指摘のとおり新しい海岸法に基づきまず海岸保全基本計画を早期に策定することとなっており、この基本計画の中では特に保全と環境が大きなテーマといたしております事から、表浜海岸の浸食防止対策について、さらに積極的に推進する方向で、計画を策定してまいりたいと考えております。
 また、同計画の中では、議員ご指摘の通り、地域住民やボランティア等の積極的な参画が重要な位置付けといたしておりますので表浜海岸の環境整備について、地域住民がなお一層参加しやすい仕組み作りを計画の中に盛り込んでいきたいと考えております。

 

質問者 ○○党 ★★議員

要望

渥美半島表浜海岸は1つの海岸線であるので、異なる省庁でであっても一貫性のある浸食防止事業を手掛けられたい。

浸食のメカニズムを研究した上で対策を講じられたい。

・アカウミガメの保護や清掃活動などの地元の気持ちを汲んで、海岸保全に取り組んでほしい。