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vol.6 「gui詩gui詩」 Poetry Reading



青木栄瞳3

青木 栄瞳

 この会のプロデューサー、青木栄瞳の朗読。

 5年前に突然詩作開始(本人談)。以来詩集三冊を矢継ぎ早に出版。4冊めを準備中。並行して八王子のアルカディアを拠点にあちこちで旺盛な朗読活動を続けている。そのめまぐるしい疾走をなかばあきれ気味に傍観していたわたしだが、エネルギーの噴出ぶりには実は共感するものがある。

 前回のBooby Trapの会を企画中に、この次、guiの人たちでどお? と声をかけてくださった。guiの連中は、数人をのぞき、朗読の経験がほとんどなく、はじめは消極的だったが、ちょうどguiが発刊して20周年というタイミングもあって、最終的には13人もが入れかわり立ち代わり読むというのりになった。

 Poetry Reading の活動を続けるには、わたしにはわからないめんどうなことがいっぱいあるはず。今回青木さんは陰の立場に徹しようとしていたらしく、進行などほとんどを任せてくださった。
 「ちょっと疲れたわ」という青木さんらしくない言葉も聞かれたが、'howl'の活動は始まったばかり。コンスタントに続けて、いろいろな詩人たちに朗読の場を提供してほしい。







青木 栄瞳



夏の少女とバランス感覚




《ベッドで目覚める仔猫の前足のように 》




 つま先で

 遮光カーテンを開けた少女。



 七月の光線が ひたいに絡む 直射の

 エッセンス・リンスは

 白に限る ホワイトの匂い。


 I'm sixteen.

 ツユ明け宣言が
        ピ  ン
 カレンダーの 止め金の上で

 スピン三回転半。


 きのうのボーイフレンドのフル・ネームは

 教室の黒板で 紛失。

 ニュー・シネマ気分の 主役は

 夏の長い休暇。
     ま ち
 人混みの都市が好き。
 そ と
 外界は

 パンク(RUNK)な ライヴ・ハウス。

 完熟したい
          アイスボックス
 産直メロンを冷やす 冷蔵庫は

 ガラス皿に載る

 果物ナイフのように磨かれ、

 外出先を決める

 少女の白いパランス感覚が夏の髪を束ねる。


《月曜日の市民プールは水が冷たい。》


(少女は)

 向かい風をもカーブさせるサンダルを

 突っかけ、
      そ ら
 ハンサムな青空が拡大している

 市民プールへ

 独走。

 マガジン・ボックスがウインクする

 コンビニ前は、

 一瞬タッチの斜め読み チェックで

 通過。

 ソバカスの鼻っぱしは上向きにして、

 夏休みは 御機嫌の

 三越・特選品。

 プールサイド
     ・ ・ ・ ・ ・ ・

 花壇の ひまわり並びが (今年も)

 元気印の 快感二列縦隊。

 単純細胞じゃない?

 花の種って!

 マサキ君、

 貸したCD、返してよね!

(初公開の)ピンカールした睫は

 風通しの良いオープン・カー。

(乗る? 反る? )
 ビキニ
 水着の花模様がフリル・フリルして

 人ざわりの

 夏の汗。

 解禁、

 初泳ぎ。

(さて、初泳ぎの サカナになる かな。

 水中バレエをする
     セブンアップ     シャワー
 冷たい 7 UPソーダの 泡 みたいに――

 マサキ君、

 新作のCD、貸そうか!


《月曜日の市民プールは水が冷たい。》


 突っかけサンダルの少女が

 プールサイド経由

 お持ち帰りの品は

 氷いちごミルクと

 新作のボーイ・フレンド。


  ┌─────────────────┐
  │借りた日(93.7.15   )     │
  │返す日 (93.7.22 まで)     │
  │借りた本「夏の少女とバランス感覚」│
  │八王子市中央図書館 0426-64-4321  │
  └─────────────────┘

 返却日が通過。

 夏のレポートは まだ白紙のまま

 机の上にサングラスが二つ並んでいます。



 水中メガネじゃ 眠れない!


      (第一詩集「カパ」より驢馬出版)






(青木栄瞳)せっかく今日みたいな日は格調の高い詩を読むといいんでしょうけれど、わざとヘーンな詩を読みます。海亀が卵を産む映像をよくテレビでやります。わたしはテレビでしか見たことないんですが、おしりからポトンポトンと亀が産むのがなんかピンポン卵のようが気がして、あれ見てるとなんか連想ゲームでキュービー人形を連想して詩を書きました。

 朗読 青木栄瞳  朗読はrealPlayer5で聴くことができます。download


(LESSON 1)産卵


《海亀の卵から生まれる キューピー人形たちのお話を申しあげます》





 (BEST コンディションの)しずかな夜に、

 (BEST コンディションの)しずかな 浜では、

                海亀の産卵がはじまります。


      (LESSON)1 準備する

              2 使ってみる

              3 感情を入力する


      (LESSON)1 感情を外す

              2 文字を入力する

              3 あなたを入力する


 (ご質問はまだ間に合います)

――キュービー人形たちのBODYは なぜ カラッポなの?


  なぜ かしら、

  なぜ でしょう?


《春の満月は天中にあり 》

 (BEST コンディションの)しずかな夜、

 (BEST コンディションの)しずかな 浜では、

                夜の満月がフラッシュを焚いております。


 (金曜日にはFAXください)

――お待ちどうさま、


  無口な海亀の 無口なメスが

  まるで、セルロイド製のピンポン卵を

  いくつも、いくつも、産みおとしていきます

  海亀パパは どこ かしら?

  感受性の脳ミソまで絞りとられて

  海亀ママのBODYは ペカペカです。


――作業半径内・立入禁止

 (土曜日にはFAXください)




――安産でした

 そして、


《体力のありそうな

 大潮の 朝、

 にぎやかな浜砂から、

 セルロイド製の

 キューピー人形たちが ゾクゾク誕生しましたが、》




――やはり、オヘソが丸見えです。


  海亀ママは どこ かしら?


  なぜ かしら、

  なぜ でしょう?

 (ご質問はまだ間に合います)

     1996.7.17



  (第三詩集「ハ長調の海とパラソル」より思潮社刊)




青木 栄瞳(あおき えいめ)
詩集
「KAPA」驢馬出版刊
「ボリューム四倍角」「ハ長調の海とパラソル」思潮社
エキスパンドブック「野生のセロリ」(長尾高弘Longtail) へジャンプ

 この企画にあたって青木さんから、guiのメンバーに次のような呼びかけがありました。 青木栄瞳


howl' the bar for poet produeced by Heaven Limit ed

[POEM/FANTAZIA in AOYAMA] 企画 ・青木栄瞳

 出演の方々にギャラはお支払いできませんが、会場費、経費一切無料で、準備を整えまして、お待ちしております。せまいエリアと素敵なエリアを生かし、秘けく、強く、そしてキラリとひかる、発信地にしたいと想っています。ポエトリー・リーディングの形式でスタートいたしますが、詩人を問わず、ジャンルを越えた、迫力満点の方々にもマイクの前にご登場ねがいたいと、おもっております。宣伝は、口コミ程度として、リラックスしながら、息長く、そして、確かな会に開花させていきたいと希望しております。






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