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vol.6 「gui詩gui詩」 Poetry Reading



山中 真知子

山中真知子は、地域の有志と朗読劇「この子たちの夏」を準備中。発声のできているよく通る声で、パフォーマンス付きの「草笛コンサート」を読んでくれた。写真がないのが残念! ほかの出演者のバックに音楽を流したり、写真を撮ったりで、裏方でも大活躍。またやりましょうねと意欲満々。
















山中 真知子



草笛コンサート




少年の

全身張り詰めた根から沸きたつ言葉が 血飛沫となった

地べたから発する草花

花粉をちらし

風に運ばれ

雲の マジックショーのはじまりはじまり

鳩が光と現れ

色とりどりの国旗は 花びらとなり 地上に注ぐ

テンキリンの丘?

切り株に腰かけて さあ みんなで 草笛コンサートや

おはなし会を ひらこうね

野うさぎも 針葉樹も ピーンと耳をたて 刻々と頷く

木々の群読

北風や南風の混声合唱

オバユリの一人語り

山々のテーブルに据えた 天上の紙芝居が

西陽色にめくれたなら とうとう おしまい

ペロペロキャンディーは 透きとおって 海の弧に蕩けた

唇をおしあて

暗がりの葉脈を 探し出そう

根っこのうなり

葉っぱのひるがえりが

少年の息から響く

五十年前の

白髪少年の草笛が…

語れない言葉は 内側ではらはら漂う

黒い紙に

綴ろうとして

しわくちゃにした夜

ヒリヒリ痛む 無数のけものの糸が ほつれそうだ

賢治さんの水仙月は隠れているから

神々を探す目は

雲に預けたミズを求め しみとなり 瞼にはりついている

野草の祈り

キノコ雲



        (gui no.53 1998年より)





山中 真知子(やまなか まちこ)

 1981年第一詩集「どうぞあの初めのアリアを」ワニプロ刊1982、NO.10よりgui同人に。




藤瀬恭子「ミッドナイト・カー・ガール・アローン」飯田隆昭/ W.バロウズ「デッド・ロード」
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