詩人たち 最新号 BackNumber vol.8 | ふろく 閑月忙日 リンク 詩集など |
gui20周年フェスタもくじ
vol.8 | gui20周年フェスタ Poetry Reading |
衣服ばかり
身を読まれることになれていると
ふと読めなくなったときに置き場をなくす
それは、もうわたしの身体が読むところがなくなったのだろう
と、気づくまでには時間がかかる
相手を傷つけ、自分も傷つき
それでも晒すことになれた身には
もうどうしようもなく
刺青を彫ろうか、どこを削ぎ落とそうかなどと考えてみるけれど
これ以上傷を増やすのも相手には迷惑なものだ
おもしろい、興味深い、趣がある、奥ゆかしい
などということばはただ宙を舞っているだけ
彼は投げ出すのだ
ペンを
彼は投げ出した、疲れた
晒した身はもう何もすることがなく
ただ風に吹かれるばかり
そうして風を巻き込もうとする衣服
期待して翻っているのは衣服ばかり
gui no.55 december1998より
野坂政司 詩四篇
香川紘子「命の日数」「土に返る」
"gui20周年フェスタ"もくじ
"rain tree" バックナンバーvol.8もくじへ
"rain tree" 表紙へ
"rain tree"もくじへ
ふろくへ