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gui20周年フェスタ Poetry Reading |
衣服ばかり
身を読まれることになれていると
ふと読めなくなったときに置き場をなくす
それは、もうわたしの身体が読むところがなくなったのだろう
と、気づくまでには時間がかかる
相手を傷つけ、自分も傷つき
それでも晒すことになれた身には
もうどうしようもなく
刺青を彫ろうか、どこを削ぎ落とそうかなどと考えてみるけれど
これ以上傷を増やすのも相手には迷惑なものだ
おもしろい、興味深い、趣がある、奥ゆかしい
などということばはただ宙を舞っているだけ
彼は投げ出すのだ
ペンを
彼は投げ出した、疲れた
晒した身はもう何もすることがなく
ただ風に吹かれるばかり
そうして風を巻き込もうとする衣服
期待して翻っているのは衣服ばかり
gui no.55 december1998より