りんく

     
       
       
    Book Junky's review
         
       
ノイズ・オンリー by 香川恵美子
ベースボール・マガジン社 定価1300円 /163項≒7.98\/P

ジャンルとしてはスポーツエッセイ。
著者の知り得た、プロスポーツ選手の素顔と、オリジナル短編小説の2部構成。

著者はTBSのスポーツアナウンサーです。
タイトルはニュース素材に音楽やナレーションなど何もくわえていないもの、入っている音と言えば大歓声、といったものをの「ノイズオンリー」と呼ぶそうです。
確かにスポーツの試合では実際にあったことが全て、そこには審判以外第三者の入り込む余地は有りません、それじゃジャーナリストは何をすればいいのさ?スポーツ新聞の見出しのダジャレを考えるのでしょうか?
いえいえ、きっとノイズオンリーなものを解剖してそのノイズの説明をすることなのだと思います。

プロスポーツ選手は、イチロウが代表するように、完全な存在として偶像化されがちですが、この本では生身の人間の魅力を伝えようと努力の跡がそこここ見られます。
それは、素にもどった顔の人間くささであり、ここまで上り詰めたプロの苦悩でもあります。 一人の人間としては普通でも、プロであるが故に非難にさらされることもあるし、ちょっとしたことで賞賛されることもある、それらに対する普通の人間としての反応(本来持っている強さや弱さ、シャイな部分や剛胆さ)は、大きく取り上げられ一層強調される事になります。
それを普通の大きさのメガネで見てあげていることが本書の特徴でしょうか。
いえ逆に、それらを掴み直してからもう一度各プロスポーツ選手を組立直して居るのかもしれません。
なぜなら、実績による評価が彼らをプロたらしめているのでなく、プロであろうとする素の個人が努力の結果が 成績だからです。
巡業先のホテルのロビーで、夕食に誘ッてもらえるのをじっと待つ、外国人力士。
天才と言われることは、普段の努力を評価してもらえないことだ言うジョッキー。
精神力は肉体を凌駕すると言いきる、ベテランラガーマン。
確かに本書は愛にあふれすぎているかも知れない、欠点にも眼をつぶっています、しかし、ひとかどのプロで居るということは大変なことなのです、ましてやそれなりの成績が残せるのはほんの一握り。
ただのオーディエンスとしては、そんな人々に素直な拍手を送り続けたいものだと思います、そして、本書を読んだ後はほんの少し拍手する手のひらが痛くなるのかも知れません。


byかずひこ(OCT.14th/'02)
   

 

         
         
       
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