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豊田俊博遺稿詩集『彗星』より 8 |
欠点
頑迷は たぶん僕の欠点だ その固さが僕自身を 打ち砕く日があるかもしれない だが身を鎧わずに 人は生きてゆけるものか 他者に対してばかりでなく 自分の存在に対して 命の揺らぎの上で むつびあう男女のように 魂は裸だ 水になりたい と願うのも ひとつの自惚れだろう 水は水を求めずにはいられない 空から落ちてくる物体を打ち砕く
旅
去年の夏 島へ渡る船のデッキで 海を裸眼で見ようと はずしたサングラスを 波に落とした 今も海の底で 水の色を深めているだろうか 取りに戻れない
「欠点」1995.7「旅」1997.6
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