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vol.16

豊田俊博遺稿詩集『彗星』より 8

「欠点」「旅」
 

欠点



頑迷は
たぶん僕の欠点だ
その固さが僕自身を
打ち砕く日があるかもしれない
  
だが身を鎧わずに
人は生きてゆけるものか
他者に対してばかりでなく
自分の存在に対して
  
命の揺らぎの上で
むつびあう男女のように
魂は裸だ
  
水になりたい と願うのも
ひとつの自惚れだろう
水は水を求めずにはいられない
空から落ちてくる物体を打ち砕く





去年の夏
島へ渡る船のデッキで
海を裸眼で見ようと
はずしたサングラスを
波に落とした
  
今も海の底で
水の色を深めているだろうか
取りに戻れない



「欠点」1995.7「旅」1997.6

tubu<詩>引力(豊田俊博遺稿詩集『彗星』より )
<詩>深まる秋(豊田俊博遺稿詩集『彗星』より )
<詩>モクセイの木(関富士子)
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