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                心を癒す7つの習慣 7.夢を見続ける

 7.夢を見続ける

 1.希望(夢)があれば苦しみにも耐えられる
 どのような苦しみであったとしても、たとえば「一日だけ」とわかっているのなら、耐えられるだろう。明日にはこの苦しみから解放されることが確実にわかっていれば我慢できるだろうし、それほど苦痛を感じないかもしれない。あるいは一ヶ月先、一年先でもいい。一ヶ月後、一年後には、現在の苦難が一切解決されているのだという確かな保証があれば、何とか耐えて生きていけるものである。
 今の苦しみも、いつまでに必ず消滅して、明るい日々が訪れるのだとわかっていれば、現在の苦しみも、また過去の苦しみも、それほどの傷にはならない。「これもいい教訓だ、貴重な人生経験だ」と思えるような心のゆとりさえ生まれるかもしれない。
 人を苦しみに耐え難くさせているのは、苦しみそのものもさることながら、その苦しみがいつまでもずっと続くのではないかという恐怖、すなわち「絶望感」なのである。未来への救いがないという、この絶望感のために、人は挫け、倒れてしまう。

 2.今の苦しみはきっと解決される
 だが、いうまでもなく人生に確かな保証などはない。「貧乏だが預けてある定期預金が来月には満期になって金が入る」といったようなことでなければ、現在の苦しみや不幸がいつまでに終わるということは、だれにも告げることはできない。
 しかしながら、その苦しみが終わらないということも、だれにもわからない。死ぬのは確実だと医者からいわれた人でさえ、しばしば回復することだってある。もちろん確率的には回復しない方が高いのだろうが、回復する可能性は決して皆無ではないのだ。
 ならば、現在の苦しみや不幸が解決されるのだという希望や夢をもつことは、あながち不合理とはいえないだろう。たとえば多くの人たちが宝くじを買っている。それは「当たるかもしれない」という夢をもっているからであろう。しかし現実には当たらない。当選する確率を冷静に考えれば当然である。にもかかわらず、宝くじの人気は衰えを知らない。統計的には、当たる確率など“絶望的”であるにもかかわらず。
 だが、それほど絶望的なものにさえ、夢をもつことができるのなら、どうして現在の苦しみが解決されるという夢をもてないことがあるだろう。私たちが人生で遭遇するさまざまな苦しみや不幸が解決される確率は、宝くじに当選する確率に比べれば、はるかにずっと高いはずである。宝くじにさえ夢や希望を抱けるのであれば、今の苦しみはきっと解決されるのだという夢や希望を抱けないはずはない。

 3.自分が思うよりも希望はかなりもてるもの
 人間の予測判断は、正確なようでいてかなりあいまいである。たとえば飛行機に乗ると「墜ちて死んでしまうのではないか」と心配する人がいる。しかし、よくいわれるように、飛行機が墜ちて死ぬ確率は、地上の交通事故で死ぬ確率に比べればまったく低い。単純に、毎年交通事故で亡くなる人を1万人とし、旅客機の搭乗人数を三百人とすると、同じ数が飛行機墜落で亡くなるには、ひと月に三回墜落しないとならない。だが、世界的規模で見てさえ、三百人クラスの飛行機など月に三回も墜落してはいない(逆にいえば、飛行機をそれほど恐れるなら、私たちはクルマに乗るときには、「事故で死ぬかもしれない」という恐怖心をもっと抱いてもいいくらいなのだ)。
 では、先ほどと同じように考えてみよう。現在のあなたの苦悩が解決されない確率と、あなたがクルマに乗って事故で死ぬ確率とは、どちらが高いといえるだろうか。悩みや不幸などは、単純に数値化して確率では決められないかもしれないが、感覚的にでけっこうである。どうだろうか? 案外、事故で死ぬ確率の方が高いのではないか? にもかかわらず、あなたは今日もクルマに乗って通勤し、無事に帰ってきた。
 ならば、あなたの苦悩が解決されない確率など、実に低いものだといえないだろうか。つまり、あなたの苦悩が解決される確率は、自分が思いこんでいるよりもずっと高い場合が多いということなのだ。あなたが今日もクルマに乗って無事に帰ってきたのであれば、あなたの抱える悩みも解決されるのである。

 4.どんなときも夢を持ち続けよう
 したがって、いかなる希望であっても、それを持ち続けよう。すでに述べたように、その希望が実現可能なものか、不可能なものかは、わからないのだから。悲劇なのは、十分に実現可能な希望なのに、勝手に不可能だと捨ててしまうことである。そのようなことのないように、とにかくいかにちっぽけな夢や希望であろうとも、それを心に抱き、それを心の支えにすることだ。その夢は実現可能なのだと信じることだ。そうすれば、その実現に向けて前向きな姿勢と努力と工夫が生まれてくるだろう。それが、心を癒す上で大切なことなのである。夢や希望は、絶望という閉塞された状態から心を救い出し、苦しみに耐える力を養ってくれるからだ。
 ところが、潜在意識というものは、明確な希望を抱くと、自動的にそれを実現しようと働くようになる。すると、今までは予想だにしなかったアイデアが浮かんだり、協力者が現れたり、道が開けてきたりするものなのである。重い病気にしても、希望があると、潜在意識は肉体の細胞に働きかけ、想像を絶する快復力を見せることも稀ではないのだ。事実、何の薬効もないはずの偽薬「プラシーボ」を飲ませるだけで、患者が治ってしまうというケースがとても多く、ときには薬効がある薬よりもずっと効き目があるという場合も少なくないのだ。これは、「この薬は効くのだ」という希望が、肉体を実際に治してくれるからなのである。同じように、希望はあなたの不運な境遇や運命をも癒してくれる偉大な力をもっているのだ。
 だから、希望をもつことは、決して「単なる気休め」ではないのである。心を癒し、苦悩や逆境から解放されるための第一歩は、何といっても夢と希望を持ち続けることなのだ。最初はいかに、それが荒唐無稽で、とうてい実現不可能に思えるようなものであっても、忍耐強く、いつまでも夢を持ち続けるならば、潜在意識の偉大な力が作動して、しだいにそれが現実味を帯びるようになってくる。 

 イラスト/野路幸恵

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