ことばの遊園地〜詩、MIDI、言葉遊び
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6月28日(月) とめはねっ

小・中学校に蔓延する「漢字とめ・はね」指導は、どうも異常な感じがするなァ  そんな風に思うようになってもうずいぶん時がたつ  現実に子どもが「とめてないからバツになった」「はねてないからバツだって」というのを目の前にすると、教科書の字体通りに練習せざるを得なくなる  子供の頃、私自身が「とめ・はね」を厳密に指導されたのは「競」ぐらいしか記憶にない


今でも常用漢字表には、「とめ・はね」にこだわらなくてよい、つまりどちらでもよいという意味内容の記載があるのだ  それなのに学校の国語教師は何故「とめ・はね」にこだわるのだろう  理由はいくつか考えられるが、最大の理由は「教師自身が漢字に自信がない」ことだろう  大人だから知ってる漢字量は多いだろうが、使用の質においては生徒レベルと大きな差はない


だから、「とめ・はね」という細部をことさら大きくして、主導権を握る  次に大きな理由は、指導や採点がラクだからだ  子どもが疑問をぶつけても、「教科書と違うでしょ」とひとこと言えば、おしまいである  子どもが教科書を絶対視する心理を利用して、うまいことラクをしている  そもそも「とめ・はね」以前に、筆順指導はいったいどうなってるんだ  滅茶苦茶です

6月15日(火) はやぶさシュート

あぁ、地球だ  ぼくは帰ってきたんだ  7年ぶりに地球に戻ったんだ  ぼくはただの機械だけれど、どこをどう調べてもらってもいい、ぼくの身体には地球遺伝子が組み込まれているよ  ぐんぐん迫ってくる青い地球を見れば、鉄と油とチタンのぼくにも懐かしい気持ちが湧いてくるってもんだ  ぼろぼろになってしまったけれど、どうやらぼくは生きて地球に帰れそうだ


でも参ったな  これから最後の大仕事が待っている  息も絶え絶え帰ってきたぼくが、なんとオーストラリア大陸の砂漠の1点めがけて、カプセルシュートを蹴り出すんだ  あまり期待してもらっても困るよ  ちょっとしたことでスグ姿勢制御が乱れるからね  指令電波でゴトッなんて新しい装置が動き出すこと自体が冒険なんだから  あぁ、地球  きれいだなぁ  さて


じゃあ、そろそろカプセルをシュートするよ  うまくいったら拍手してね  ゴーーーーーーォルって叫んでね  はやぶさシュートって名付けてよ  この7年間、いいことなかったぼくだけれど、ひとつぐらいはほめられたいよ  あぁ、ぼくは綺麗に燃え尽きることができるだろうか  「よだかの星」みたいに、長い長い尾を曳いて、泣きながら空に果てることができるだろうか

6月7日(月) gooたらメール

4月半ばに久し振りにgooメールにログインしたら、動作が変だった  既にその時はネットで大騒ぎになっていたようだ  私はたまに試験送信みたいなことで使う程度なので、気づくのが遅かった  それで実害というものはない(と思う)のだが、gooメールを中心にやり取りしている人は多く、2ヶ月過ぎても解決しない現状に、goo投稿欄は阿鼻叫喚の炎上地獄と化している


好感を持たれていたメールシステムやデザインが、突然一挙に変更されたのだ  生活や業務で日常頻繁に使っている人たちにもたいした説明がないままだったらしい  変更後は重くて動かず送受信に支障をきたし、便利機能もなくなった  就職活動で企業との連絡に使っていた人や、取引先との連絡に使っていた企業などが結構多く、実害は相当あるように感じる


その後私も何度かログインして様子を確かめてみた  数々の欠陥のほかに、デザインがとても悪く、魅力がなくなっている  そのくせ絵文字が妙に充実している  画面右側に出る広告がむやみに大きい  …いや、今この時期にgooメール画面に広告を出す企業があること自体、驚きだ  誰もそんなモノに興味をもつ暇はないのだ  動くか動かないかが問題のこの時に

6月2日(水) お菓子物語

先日、所用で東京・銀座まで出かけた折り、洋菓子店の隅にある喫茶コーナーに立ち寄った  洋菓子が目的というよりもコーヒーが飲みたくて入ったのだが、出てきたケーキがとても旨かった  食べながら、この街の何処かで今も活躍中の、ある老婦人を思い出した  面識も何もない  仕事を選ぶのに際して、あぁこういうきっかけもあるんだなぁと、感心したことがある


聞いたか読んだかした話である  日本が戦争に負けて数年後  まだ砂糖も何も手に入りにくく、ましてお菓子など望むべくもなかった頃だ  ある地方の小学校の1人の先生が、どういうわけかカステラを手に入れた  児童に食べさせることにして、教室に持ち込んだそうだ  皆の前で包丁で50等分ぐらいしたのだろう  その頃の教室はそのくらいの人数であふれ返っていた


1人分は小指の先程の大きさ  それでも、カステラをもらった子どもたちは大喜びだ  その中に、「こんなにおいしい物があるなんて」と、目を丸くして味わっている女の子がいた  この時のカステラの味が忘れられず、やがてお菓子の工場に勤めるようになったその子は、後に自分の腕で銀座に洋菓子店を開いた  小指の先程のカステラが、人生を決めることだってある

5月25日(火) 百恵の名曲

YouTubeで山口百恵が「冬の色」を歌っているのに出くわした  この曲以降にも数ある作品の中から、投稿者がなぜこの曲を選んだのか  それは分からないが、コメントのいくつかを読んで少しは納得できた  「冬の色」には隠れたファンが少なくないみたいなのだ  初期のヒット作のひとつではあるが、歌詞も歌詞なら曲も曲、声を大にして「好きだ」とは言いにくい曲だ


私は「冬の色」が大好きであった  今でもそうだ  しかしこの曲は発表当時から「幼稚だ」「単純だ」「時代遅れだ」などと言うムキがあって、好きなものは好きなんだけど、これを好きだということは私が幼稚で単純で時代遅れということになりかねず、My トップシークレット^^;としてずっと黙ってきた  もういいだろう  「冬の色」は、幼くシンプルな名曲である


百恵自身は恐らくこの曲を好きではあるまい  その後の発言などをみると、こういう曲よりも、「プレイバックPart2」みたいな阿木・宇崎路線の方を好んでいるようだ  しかし…ここだけの話だが、阿木・宇崎路線の数々の楽曲はホントにいい曲なんだろうか  私には不満が残る  「ささやかな欲望」「いい日旅立ち」「冬の色」…この叙情3曲が、百恵の代表曲だと断じたい

5月16日(日) 不思議なポケティ

駅頭や店先で手渡されたり、ポスティングされるチラシ類に付いていたりで、ポケット・ティッシュ(以下ポケティ)はどこの家にもいくつかあるはず  そう、ポケティの世界で理解可能なのは、どこの家にもいくつか、という程度なのだ  ところが我が仕事場には、異様な数のポケティがあって、収納場所に困る有り様だ  レジ袋とエコバッグ、この2つにぎゅう詰めにしている


なぜこんなに溜まったかというと、使うよりも貰うポケティがはるかに多いからである  元々は数個だけだった  塾に来る子どもたちが鼻ズルズルしてるときなどに、ハイヨと使わせてきた  そしてそれは時々実際に役に立ったのだが、そんなに誰もがズルズルするわけでもなく、まして青っ洟たらす子どもはとうに絶滅しており、いつしかポケティばかりが増えていった


レジ袋の底の方にあるポケティは、たぶん十数年以上前のものと思われる  恐ろしくて確かめてはいないが…  開けてみればデザインやキャッチコピーに、平成になって間もない頃の匂いが感じられるに違いない  ポケティを封じ込めてあるレジ袋やエコバッグは、今やタイムカプセルのような機能を持っているのだ  封じ込められたポケティ  案外高値がつくかも…

5月5日(水) ドラマ・八日目の蝉

NHKで放送され昨日最終回を迎えた「八日目の蝉」は、誘拐犯が主人公なのに神々しいようなドラマだったと思う  残念ながら「岐阜篇」の辺りは見ることができなかったが、こんなに素晴らしいドラマなら録画してでも見るべきだった  檀れいの演じる誘拐犯が、誘拐した子供に母親として注ぐ愛情は、本物の母親よりも深く慈愛に満ちたものだった


警察に捕まる時に子供は「保護」されたのだが、この擬似母親が必死で訴えて叫んだ言葉が「その子はまだ朝ご飯を食べていないんです!」  この平凡さは何だ…  泣けてくるではないか  母親としていちばん気になる我が子の空腹  原作者角田光代に、ここは脱帽である  後年、成長した子供は誘拐犯のこの最後の絶叫が記憶になく、それを確かめに旅に出るのだ


私がこのドラマを「神々しい」と感じたのは、擬似母親(誘拐犯)の絶叫が、ごく平凡な「母親の言葉」だったからだ  何かの説明とか、言い訳とか、そういう自己保身につながる言葉ではなく、子供を気遣う至極真っ当な母親の言葉だ  感動してはいけない  この人はひとつの家庭を壊した誘拐犯なのである  その家庭がそれ以前から壊れていたとはいえ…

5月1日(土) ハヤブサのように

シャトルに乗り込んだ山崎直子宇宙飛行士の活躍や、ご家族の話題で賑わいを見せる宇宙報道  その蔭で殆ど見捨てられたかのように人知れず孤独の旅を続けているのが、小惑星探査機ハヤブサである  いや、決して見捨てられてなどいない  トラブル続きで再起不能かと思われたこの国産探査機の旅路と帰還を、ハラハラ萌えながら^^;見守る人は多い


主なトラブルだけでも「姿勢制御装置の故障や化学エンジンの燃料漏れによる全損、姿勢の乱れ、電池切れ、通信途絶、イオンエンジンの停止(以上ウキペディアより)」といった有り様で、まさに出来の悪いドラ息子だ  小惑星イトカワに辿り着くのも奇跡なら、帰ってくるのはもっと奇跡だ  ホントに帰ってきたなら、タロージローのカラフト犬以来の生還といっていいだろう


生還と書いた  瀕死のトラブルを続発しながらも、残る機能を振り絞って生まれ故郷地球を目指しているハヤブサは、もはやいつくしむべき生き物なのだ  アメリカやロシアのような大計画ではなく、糸川英夫博士にちなんだ小惑星イトカワにちょっとタッチして戻ってくるというのも、なかなかの味わいである  帰還は今年の6月、オーストラリアに落下(着地?)するそうだ


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