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2011年
10月30日(日) 小さな木の実
我が家では、「みんなのうた」はたぶんその初回から見ているのではないかと思う なぜ見始めたかは定かではない 見ようと思って見たのではないだろう でも私はスグにファンになった 「おお、牧場はみどり」「トロイカ」など、今となっては健康過ぎて困るような歌が毎日流れて、私には至福のひとときであった ある新聞記事を目にし、そんなことを思い出した
昨日の新聞に「小さな木の実」の特集が載っていたのだ もっとも、私にとって「みんなのうた」が至福のひとときであったのはほんの数年 十代も半ばになると「みんなのうた」どころではなくなり、遠ざかってしまった 「小さな木の実」が最初に流れたのは70年代初めだったらしいが、いちばん遠ざかっていた時期だ そんな歌が評判になっていることすら知らなかった
原曲はビゼーの劇中歌らしいが、「小さな木の実」は既に元歌を超えた存在といえるだろう ビゼー自身もこのメロディーにはさほどの自己評価を下してはいないようで、歌劇音楽の組曲版には組み入れられていない 以前原曲の楽譜を探し回って、そのことを知った だからビゼーのメロディーに生命を吹き込んだのは、ひとえに日本語の歌詞と言って構わないだろう
10月22日(土) 久々の一句
秋蝶や瓦礫の端の水溜り
先日江戸川土手を自転車で走っていたら、おびただしい数の蝶々がひらひら舞っていた 色も様々で、いったいどうしたのだろうと思った 私自身、秋に蝶を見ることはあまり多いわけではないが、俳句を作るようになって秋に蝶が出るのは必ずしも珍しいことではないことを知った
俳句を作るようになってと書いたものの、冒頭に掲げた句は、久しぶりに浮かんだ一句だ 当HPの俳句ページ(句帳)も既に片隅に移動させたほど、ここ数年は俳句が浮かんでこない 昨年、一昨年と一応はいくつか掲載してはいるが、以前に比べ無理矢理作った感が強い 詩に至っては最後に形をまとめてアップしてから4年半近い 詩関連の書籍も多くは捨てた
兵士らは小さき靴に合掌し 無季になってしまったが、まァいい
冒頭の句の「瓦礫」という言葉は、もはや大震災とのつながりを思い起こさずにはおかない 瓦礫なる言葉は、特定の瓦礫を指すものではないだろうに、3月11日以降はどうしても特定の映像に結び付いてしまう 時が経てば薄れるものなのか、もう分かち難いものなのか…
10月8日(土) 人形を抱えて
雛人形、五月人形、応接間やリビングに飾っておいたような立派な人形… 高そうな人形たちが居並ぶのを目にして、ちょっとひるんだ ここに並べていいのか 私が持参したのは、小さな子どもが自分で作った手のひらサイズの粗末な一体だ 綿に布を巻いて胴体とし、頭には毛糸を並べて髪の毛としたもの 30年以上も前に貰った 目鼻はちぎれて私が糊で貼った
昨秋は雨で出鼻をくじかれてしまった人形供養会、今年は満を持して出かけた それにしても立派な人形ばかりだ まだ使える 見渡したところ、貧相でボロボロなのは私のだけのようだ 説明を聞くと、ぬいぐるみと同じ扱いになるようで、ぬいぐるみ集団の方へ並べられた 御祓いを受けたあと、ゴミとして捨てられるという あの子の顔が浮かび、ちょっと胸が痛い
この人形が30年以上ちょこんと座っていたのはスチール製の本棚 その本棚もつい最近処分した 60歳を間近に控え、いろいろともがいている 仕事や日常の記録類だの日記・手紙の類いなど、もはや殆ど用はない あれを捨てこれを捨てている やがて辿り着く60歳はゴール地点ではなく、もしかしたら120歳への新たなるスタート地点かも知れない(^0^)
10月4日(火) 餌待ち雀
野田首相は記者会見が少ない ぶら下がり取材に応じない 国民に直接語りかける場面がない このように批判されているようだ ここ数年、首相を始めそれぞれの閣僚がぶら下がり取材で発言することが目立っていたから、それに比べれば少ない気はする だが同時に、内閣で十分に検討されていない不用意な発言が、いらぬ摩擦を引き起こしてきたのは事実だ
はっきり言うが、ぶら下がり取材なんか要らない そこでの発言なんか、少なくとも私は別に見たくないし聞きたくない 聞きたいのは、内閣としての責任ある言葉だ 報道記者の本分は取材である 地道な取材で首相や閣僚の考えを調べ突き止めるのが仕事だ プロならプロらしく取材してもらいたい ぶら下がり取材なんて、口を開けて餌を待ってる雀の子と同じだ
首相や閣僚のやることが変なのは、別にぶら下がってもらわなくてもわかる 例えば野田首相は何をしに朝霞まで行ったのか 公務員宿舎建設についての判断のためとは言うが、そんなことは行かなくても判断できるのではないか 明らかにパフォーマンスなのに、パフォーマンスだと批判するメディアがない 財務相として建設続行判断の際には朝霞まで行ったのか
9月28日(水) 高台移転
大震災の津波映像などを見て、もどかしい思いをもった点がいくつかある ひとつは、津波警報の最中に、海に平行に移動する車列だ 新しい町づくりでは、海に平行な通りのそこかしこに、内陸へ逃げる道を作らないといけないだろう もしかしたら既にあり、単に警報やアナウンスが届いていなかっただけかもしれないが 何故内陸側へターンしないのか、もどかしかった
また、小高い山や丘などが映像から見えた所が多い そういう小高い場所への登り道がたくさんあれば、たとえ海の近くであっても、もっとラクに避難できる人もいたように思う 新しい町づくりでは、たとえ海の近くにいたとしても、小高い場所へスグ駆け上れるようにすべきだ 近くに山があるのに、1年生でも登れる道がなかった大川小学校の無念を繰り返さないためにも
新しい町づくりが「高台移転」を中心にすすめられているみたいだが、どこの町でもできるという方法ではない それよりも、スグに逃げられる場所を確保した上で、海の近くで生活した方が、町の再生は速いんじゃなかろうか 山や丘がない場所でも、遠くの高台へ移転するよりも、現地に少し高い避難ビルを何棟も建てた方がいい 要は避難場所と複数の経路だ
9月18日(日) 東電書式 p.60
東京電力が作成し発送した賠償請求のための書式は60ページほどになるという またその説明書に至っては160ページにもなるという さらには3か月ごとに同様の書類を更新提出しなければならないらしい しかも領収書添付が必要なのだ 多くの非難・疑問がネットに噴出しているが、最大の疑問は、支払う側の東電がなぜ賠償請求書式を作るのかという点だ
事故発生源の東電が賠償請求書式を作る 法律で定められたことなのだろうか 東電は加害者なのだ 損害賠償に関して中立の第三者機関はないのか なぜ東電は当然のように賠償請求書式を用意したのか(涼しい顔をしてと言いたいほどだ) 裁判になる前に決着をつけたいということかも知れないが… この書式に従わない請求は、却下されるのだろうか
却下されるのであれば、東電の書式のみが唯一の書式とみなされる法律上の根拠がちゃんとあるのだろうか また、東電に申請するというからには、東電が裁定するのだろう 地域独占で、扱う商品が電力 いまや空気や水と同列だ その立場からあらゆる分野に圧力をかけるのが容易な東電の裁定は公正たり得るのか こういう構図は普通はあり得ない気がする
9月13日(火) まちまちな町
経済産業大臣辞任のことを書いていて「死の町」だったか「死の街」だったかと気になり調べたら、朝日新聞では意外にも「死のまち」になっていた 特殊な表記である 記者会見の際にこの表記の会見要旨が配られていたのだなと思った そうすると、それを書いたのはスタッフか経産省官僚かという問題になる 本人が書いたとしても周囲がチェックするはずだし…
しかし違った 各新聞のオンライン版では、「死のまち」「死の町」両方ある 言葉としては単純なものなのに、報道会社ごとに表記が違うのはかなり興味深い 何の疑問もなく「町」と書いた私のように、普通は「まち」ではなくて「町」を使う 「まち」と書いた報道会社は、「町」と書くと特定の町を想起させる恐れがあると考えたか だが、「まち」という表記は浮いている
失言大臣の脳裏では、映画や物語の「世界破滅ストーリー」の1シーンと重なっていたのかも知れない 「死の町」というのはそういうシーンでよく使われるものだ そういう所でのみ使われるというべきか 前回、あの発言が「感想」だと書いたのは、「死の町」という表現が、虚構作品の内部でセリフやナレーションとして、あるいは虚構作品自体を語るときの言葉だからだ
9月10日(土) 失言のレベル
経済産業大臣が辞任 原子力発電を推進してきた経産省のトップにしては、あまりにも軽率な「死の町」発言 そしてあろうことか「放射能つけちゃうぞ」発言 日本中がいや世界中が、怯えながら注視する福島第一原発を始め、全国に57基ある原発の建設推進の中心が経産省なのだから、立場上そんな発言をしてはいけなかった 「死の町」という言い方はないだろう
この言い方は「感想」である 感想を得るために視察に赴いたわけではないのだから、感想など言う必要はなかった 其処に壊れた原発があるから住民がいなくなったのである 当たり前だが 大臣はそのことの意味が、あまり理解できていなかったのかも知れない 日本の領土の一角に、居住不可能な地域ができたのだ 山紫水明と謳われた日本の、豊かな一角に
「放射能つけちゃうぞ」発言は、半年ほど前、つまり原発大事故で大騒ぎをしているさなか、遠くへ転校する子供たちがいちばん悩んだであろう「放射能を持ってくるな」という発言と同類同レベルである 福島ナンバーの車が嫌がらせを受けた、決して少なくはない事件と同類 まだ何も仕事をしていない野田新内閣 前の2内閣同様早くも内部崩壊、先が思いやられる
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