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vol.6 「gui詩gui詩」 Poetry Reading



関富士子

関 富士子

"rain tree"vol.5掲載の「おばのこと」「さくらくらくら」(朗読も聴いてください)を読んだのですが、おかしくてくすくす笑ってしまったという感想をいくつかいただいて本望です。




(1998.7.30)

 「gui」の他の詩人たちの紹介がすんでほっとしたところで、詩の朗読についてわたしのことをちょっと書いてみる。

 わたしは朗読の経験はあまりないし、朗読についてたいした見解もない。誘われて機会があればやってもいいかという程度だが、人様にお金を払ってもらって聴いていただくほどの覚悟も自負もない。最近詩の朗読がわりあい盛んになっているらしく、詩人どうしで賛否両論があるようだ。たしかに朗読に向く詩、向かない詩というのはあるだろう。しかし、そもそも日記ではなく詩を書き、それを活字にして発表するという厚顔なことをしているのだから、朗読だけは絶対しないなどと言うのもおかしな話であろう。

 4月のBooby Trap の会と今回でなんとなく続いたが、実は二十年ほどまえにも一度だけ朗読したことがある。第一詩集「螺旋の周辺」を出したあとしばらくして、当時所属していた詩誌「オルフェ」の詩画展が茨城県水戸市で開かれた。そのオープニング・パーティで数人が朗読をしたのである。今は亡き諏訪優さんが司会をしてくださった。

 わたしは娘を出産して半年ぐらいだったか。夫に初めて赤ん坊を預けて出かけるのはたいへんな決心だった。外出も久しぶり、水戸という町へ行くのも初めてで、電車に乗るのもふわふわと、体が心もとなかった。

 落ち着いて読めたと思ったが、同人の小松郁子さんに練習不足で言葉が聞き取れないと言われて恐縮した。でも、思いがけず観客の中から二人の方が詩集を注文してくださって、自分の本が売れるという生まれて初めての体験をした。

 二十年後に二度目の朗読をしたときは、まったく不安も緊張もなく、我ながら図太くなったものよと思ったが、会場のバー、アルカディアのマスター高木純さんが、わたしの朗読のあと、「声に恵まれた言葉は幸せです」とおっしゃってくださったのが心に残っている。

 不安も緊張もなくと言ったが、朗読会の前後は自覚がなくとも気持ちがハイになっているらしく、書くものになんとなくリズムが生まれてくる。'howl' the barのときもそうだった。朗読するスペースは読者にじかに向き合い、声が直に届く最大限の場でもある。30人以上になるともうわたしの声は届かないのではないか。詩集だって500部以上印刷されることは珍しい。その点インターネットの千単位のカウントは、わたしにとって想
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