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独り歩き
肩から生えることになれてしまった手が スイカのたねのように ぷっと路上に吐き出されたのだ。 ああ、またいつものやつだ、 こんどのはまた、ずいぶんどっしりした枝ぶりだ、 アスファルトはまぶたをとじる。 手は歯を食いしばって起きあがり バス停の方向にかけだす ああ、またいつものやつだ、 とっぴょうしもない風に連れ去られたのだ、 アスファルトは眠りに帰る。 手はわたしをふりかえらない、 手はわたしをなつかしがらない。 カルシウムは絶対的権力だった。 すべすべの声で 育て育てと命じていた。 手はわたしをふりかえらない 手はわたしをなつかしがらない。 いまや手は 海のむこうがわ 猫ののどもとをなでて ぬくぬくと愛を得ている。
キモチ
歩いていると とりあえずよく生きていることになります 走り出すと はるかによく生きていることになります 立ち止まると なまけていることにされそうです 詩は 歩いています コトバは 走り出します キモチは ときおり立ち止まります キモチはキモチよくなりたいのに コトバがゆるしてくれません キモチは愚鈍です つまずきます あざむかれます コトバが手を引いてやらないと 歩くこともできません コトバは 都合が悪くなると逃げ隠れします 今朝も 食卓に句読点を残したまま キモチをおいて どこかへ出かけてしまいました キモチはベッドのなかで もう少し寝ることにします キモチは 肺だけはじょうぶです 大きく息を吸います まぶたをとじて 刈り取られた草のにおいを 体に充満させます そのまま透明な風船となって 上昇します 高い タカイ 頂上 テッペン いま キモチは タカイです キモチが ノボッテいます キモチが タカイのは キモチが 怒っているからでしょうか キモチがノボッテいるのは キモチが 浮かれているからでしょうか 晴れ晴れと喜ばしく 晴れ晴れと腹立たしく 眼下で噴水が静止したかと思うと 空が黒いのが見えました 救助されたキモチは コトバに手を握られ 眠っています キモチにどんなキモチがわいたのか コトバにはわかりません コトバは今日の業務日誌に 「ツライキモチ」と書いておきました タイムカードを押して 早く帰りたかったからです
gui詩gui詩にあります。
そふと 新作詩。第一詩集「ポフウェル氏の生活」の紹介もあります。
向かって右から、国峰照子・徳弘康代・南川優子
山中真知子「野詩趣」「かざりばね」
飯田隆昭「わがふるさとは」
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