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作品一覧・著者紹介(むねきよともひろ)

宗清 友宏 の新作詩4




原始の呼吸

  
  
木立によって分けられた
まぶしい光の条のなかに
躰がぐっぐっと埋まってゆく
ふいに射し込む午後の陽射し
  
「その時さぁ、考えてみたんだけど」
あなたの声の続く中
急に眼を閉じて
壁を這う手のパントマイムを
ふと思い出しながら
どこかの海の中に射す
午後の陽射しを感じている
  
「けれどもね、それは間違っている」
コップに付いた水滴がツッーと流れ
また喫茶店のテーブルに
水の輪を広げる
静かに時は動いている
  
「きのう、そのことに気づいたんだけど」
また眼を閉じて
濃いブルーと 光の条のなかに
微睡んでいる
どこかの海の鯨のことを考える
  
「それを話していいかしら」
大きな躰がゆっくりと揺れ
尾鰭が少しうごき
青い海底に音楽が流れ
ゆるやかに満ちてゆく
  
「目を開けなさいよ」
(原始の呼吸がある
 そこに流れている)
  
「まず、こう考えたの」
静かなパントマイムの壁の中で
まぶしい光に包まれた
躰はそのまま
何ごともなかったように
あなたの言葉を聞きながら
またコーヒーを口に運び始める
  
「目、開けてるね」
(原始の呼吸がある
 静かに流れている)
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カナの森の風の子たち(宗清友宏)(横組み表示のみ)
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<詩>橋の下の家族(関富士子)へ 縦組み縦スクロール表示横組み縦スクロール表示
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