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vol.6墓地へ
関富士子
列
Aは足袋一足
Bはこまごました紙細工
Cは百合と菊とトルコ桔梗
中庭いっぱいを三回まわる
供物
香をたく人の
ひそやかな目くばせ
引導
読経 太鼓 読経
読経 木魚 鉦
坊さんたちの合唱
シンバル
墓地へ
一人ぶんしか入らない
箱を
運んでいく
三本の杖
坂道をはいのぼる
ずるずる滑る
六人の老人たちは
遺された弟妹である
再会
石板がずらされた
ひさかたぶりの
光
と人々の顔
森閑
岡の上は
死者たちで
ひどく混雑している
かくれんぼ
もっとも若い生者たちは
御影石のかげで
息をひそめている
塩
別れを告げられて
口にふくむ
ひとつまみの安堵
<詩を読む8/9/10>倉田良成「海に沿う街」/木下夕爾児童詩集『ひばりのす』/マンデリシュターム詩集『石』(関富士子)へ
<詩>「桟敷にて」「一滴たりともこぼすことなく」(関富士子)へ
これなあに?1・2(関富士子・桐田真輔)へ 詩人たち 最新号 BackNumber vol.6 | ふろく 閑月忙日 リンク 詩集など |