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vol.6

(関富士子の詩)


墓地へ

           関富士子







Aは足袋一足

Bはこまごました紙細工

Cは百合と菊とトルコ桔梗

中庭いっぱいを三回まわる





供物

香をたく人の

ひそやかな目くばせ





引導

読経 太鼓 読経

読経 木魚 鉦

坊さんたちの合唱

シンバル





墓地へ

一人ぶんしか入らない

箱を

運んでいく





三本の杖

坂道をはいのぼる

ずるずる滑る

六人の老人たちは

遺された弟妹である





再会

石板がずらされた

ひさかたぶりの

光 

と人々の顔





森閑

岡の上は

死者たちで

ひどく混雑している





かくれんぼ

もっとも若い生者たちは

御影石のかげで

息をひそめている







別れを告げられて

口にふくむ

ひとつまみの安堵


(詩誌「gui」no.55 1998 December)


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<詩>「桟敷にて」「一滴たりともこぼすことなく」(関富士子)へ
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