ことばの遊園地〜詩、MIDI、言葉遊び
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   十二月句帳

冬帽のままで立ち食う誰も彼も

徒らに一日が過ぐ歳の暮

小さくてコーヒーカップ湯気楽し

短日やゆくところなき子と遊ぶ

魚骨を追うて寒燈喉の奥

年の暮れ国行く果てに子はありや

小雑用ひとつふたつで日暮かな

冬野来て激辛麺を食ふ阿修羅

寒暁の夢の中にて旧知訪う

人格の曇り時々師走雨

寒暁や雨はじきつつ車過ぐ

特急の小鳥纏
(まと)って冬河越ゆ

戦禍果てなき星や札納

   十一月句帳

秋の夜自販機稼動音が邪魔

首都高の秋白き杖の見ゆ

立冬や雲一斤
(いっきん)のちぎれゆく

小春風ビル一群は静かにて

冬浅し測る用なき御濠端

幾何学の稜線刺さる冬の空

颯爽
(さっそう)の都市丸呑みに冬来たる

   八・九・十月
 句作なし

   六・七月句帳

紫陽花や稲田を越えて雲の影

かくしゃくと行く皺翁
(しわおきな)更衣

低き雲切れて束の間夏眩し

七月や人声も鳥も低く往く

長梅雨やはにかみし子とすれ違う

一人ずつ朝顔提げて乗車かな

街昏しエアコンを止む大雷雨

暑き夜路上ライブを遠巻きに

雨止んでレジ袋提ぐ裸腕

   五月句帳

暁の夢春愁を残しけり

石段を下り初夏
(はつなつ)の町に出づ

薫風をゴールキーパーひとり受く

審判の腕高々と立夏かな

管弦を終え皆その下を椎若葉

闇に融けつつ万緑の確かなり

遠ざかるサイレン途絶ゆ五月闇

行き違う青葉の下の犬と犬

   四月句帳

春燈や目盛り定まる炊飯器

町じゅうの桜その日に半ば散る

エイプリル・フール落下傘開いた

小さじ一ほどの春愁犬の眼に

石蹴りや昔一日恋の春

投げ入れしウキ静まりぬ遅き春

タンポポや球状星雲爆発す

春嵐や遠き河原のさらさらと

   三月句帳

ラジコン機飛ぶ方を向く春の道

高麗の王や春塵向かひ立つ

指揮棒を振り下ろしてや春疾風

啓蟄やミス多き日消灯

菜畑を今過ぎし人飛鳥袖

涅槃図や咳ひとつ聞く星の夜

宵の街蹴り上ぐバイク彼岸かな

弱点を個別の花と言いし日よ

   二月句帳

電線と枯れ木の道に床屋あり

凍ゆるみ酒瓶の面
(つら)お多福や

送られて園児ひとりが行きし春

寒明けてなほ半ばなり不眠の夜

自転車を牽
(ひ)いて堤の浅き春

春浅し半べそ童傘の中

大空へ「春」と打ちたきほどの日や

錠剤の嵩張りし夜二月果つ

日脚やや伸びて画伯の片杖や

春近し何をするにもいろはにほ

   一月句帳

雲切れて丹沢赤く初景色

初湯出てものぐさ太郎昼日中

獅子舞のテケテンテンと廃れけり

小寒の足場人足ひとりかな

松とれて映画館前日差しなし

書き散らしたる筆算や冬の雲

寒波寄す夕焼け警報全域に

疑問符の形して寝る古蒲団

氷上に青勁
(つよ)π まはり出す

暮れ早し低きビルより順々に

弱き手の篤き信仰雪だるま

どの指もわれこそはと云ふかじかみて

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