ことばの遊園地〜詩、MIDI、言葉遊び
Top page  詩の1 詩の2 詩の3 句帳 音楽照葉樹林 アンダン亭から だじゃる丸 いいぞ、ハイドン 映画『道』のこと
リンク集 掲示板

    ☆☆☆ 2009・2010年度  2008年度  2007年度  2006年度  2005年度  2004年度

   十一・十二月句帳

ゆらゆらとピアノの蓋の小春かな

立冬という断崖にまた立てり

歩道行く老犬の背にまた落ち葉

残照の中ほどの秋甍果つ

   十月・九月・八月・七月句帳

蒸気管横浜根岸秋の空

未来図はもういい銀座秋深し

子雀が中庭にいる絵画展

絨毯のごと日に誇るアワダチソウ

バッタ跳ぶチチチチチチとわが耳に

交番に赤灯低し秋時雨

コンビニに客三、四人秋立ちぬ

いつの間に過ぎし今年の原爆忌

夏空に水彩筆を走らせん

パラソルを立ててパン屋は開業す

電柱の下を葛餅抱え過ぐ

梅雨明けて街へ出づ光る光る

ラケットの少女牡丹に無関心

曇り雨雨雨曇り海開き

コーヒーの味薄き店バスを待つ

何の夢幼児の腹の夏帽子

知らぬ子のアイスクリーム折れて落つ

   六月句帳

軽き声夏の大河を渡りけり

紫陽花の一枚ごとに今日の空

古書街を朦朧と往く夏来たる

夏服の少女の声の弾みけり

夏雲の翳校庭を浸潤す

風呂敷からSuica取り出す相撲取り

薄明に遠き日傘の夢を見し

喋る子とどこまでも行く夏のバス

自転車を止めて少女の夏静か

いざ渡らん大スクランブル炎々と

駅前の少女少年皆薄着

   五月・四月・三月句帳

右のビル左のビルに風青し

人生の型ふと認む五月空

メーデーや古きノートの二進法

ランドセル三つ並びて風光る

駅員の笛一閃の青嵐

新緑や縄跳びの子のもう一度

四月明く嘘つきごっこもせぬままに

風船を折り畳むごと廃業す

サクラチレいっそ根こそぎ露わなれ

履歴書に書くこと乏し春の宵

回廊の隅温かき春茜

春の果て今日一日の失意かな

麗かに縄文の丘蔭もなし

茜射す八百屋酒屋の春荘厳

春眠やいつものごとき動物園

クレーン車微かに震う春の空

   二月句帳

真っ先に卵を割りぬ春隣

立春や卵の数のあと四個

麗日の電柱どれも傾きし

あの音は何飛行機よ春の昼

節分の夜が静かに過ぎていく

失意して湯呑の中の春の雷

春光や大河の幅にうねりつつ

動かざる河馬動かざる浅き春

ひともとの梅の辺りに神仏

調音
(チューニング)終え春潮の満つるごと

   一月句帳

北窓を開
(あ)く小寒の空青し

銀輪に陽は撥
(は)ねて跳ぶ松納め

天際に冬型の雲湧き走る

階段を少女駆け下
(お)る寒の入り

沈みたる軍艦何を寒便り

冬闇の深き都庁前に佇つ

大寒や数限りなき受験生

大寒や曇りのち雨河馬の口

合格の報風邪声で受け取りぬ

風邪癒えて気分仕上がる昼餉
(ひるげ)どき

浅漬を無造作に売る嫁姑

群れ行くもセンター試験ひとりずつ

どんど焼き小さな靴の走り出す

Top page  詩の1 詩の2 詩の3 句帳 音楽照葉樹林 アンダン亭から だじゃる丸 いいぞ、ハイドン 映画『道』のこと
リンク集 掲示板

Copyright (C) Tsuji Motoo ,All rights reserved.