演歌イベント観戦記2003
銀座演歌コンサート・2003年3月23日
2003年3月23日、私は、「銀座で演歌・ふれあいコンサート」に行ってまいりました。
以下は、私のその時の様子の記録です。
全体印象へ 目次へ
・
よしかわちなつさん
曲目は、新曲の「蛍伝説」、新曲CWの「花銀河」、元阪神タイガース・亀山努さんとのデュエット曲「ふたりは元気」、そのCWの「船場の女」、「ムカシ」
でした。
今回の新曲「蛍伝説」は、国内の蛍学会の「イメージソング」で、現在話題に昇っている、という話がありました。曲の内容でも、竹取のかぐや姫は、「蛍」
になって、輝きながら天に昇っていく、というのがあります。この伝説は、実は1200年前から伝えられているそうです。今回の新曲は、そのような女性の心
をやさしく歌い上げた曲です。
よしかわさんは、関西出身で、関西では番組も持っているそうです。その中で歌われているのが、亀山さんとのデュエット・コミックソングの「ふたりは元気」
ですし、今回は、どちらかと言えばコミックソング系ともいえる、都はるみさんの「ムカシ」も披露されました。着物姿で、激しい振り付けも似合っていますし、
また、このようなアピールをする歌手の方も少ない、という気もします。今回は、「銀座」でのステージは初めて、ということで緊張の中にも、大いにアピール、
との意気込みが感じられました。
行頭へ
・
美桜かな子さん
曲目は、新曲の「小樽恋唄」、「かな子のソーラン」、「美空ひばりメドレー」、そして、新曲のCW「惚れてます」でした。トップのよしかわさんと同様、今回、
銀座では初出演でした。
トークコーナーでは、まず、美桜さんの芸名の由来が紹介されました。司会者が、「芸名の名づけ親」の件に触れると、会場から「美川憲一〜」との掛け声が
即座に出ました。当然、ファンの方も大勢足を運んでいますので、知っている方も当然いるのです。で、「桜」は、美桜さんの出身地「佐倉市」と、桜のように
根をしっかり張れるように、という願い、そして、その願いが「かなう」ように「かな子」ということです(実は、後述の南かなこさんの芸名の由来も、願いが
かなうように、という意味から来ています=NHK歌謡コンサートでの紹介)。
今回の新曲「小樽運河」は、スタンダードとムード歌謡が組み合わさったようなイメージで、歌詞では、小樽の名所が多く並べられている中で、好きな人を待つ
女性の心を描いた曲で、小樽の町おこしに役立てるべく頑張っているそうです。その意味で、小樽でのキャンペーンも行われるそうで、また、小樽では、お菓子
にも、「小樽恋唄」がある、とのことでした。また、CWの「惚れてます」は、千葉ローカルですが、お墓のコマーシャルソング(掘れてます?)になっている
そうです。
多くのファンがいるから、その分、ファンの目も肥えているし、視線も厳しくなっているので、「私も身を引き締めて」との心を持って、「大きすぎて目標に
もならない」と自身で言ってはいましたが、美空ひばりさんを大目標に頑張っている、と感じました。
行頭へ
・
瀬口侑希さん
曲目は、新曲「女優」、デビュー曲「ねぶた」、セカンドシングル「雪よ飾れ」、「桃色吐息」、「さよならはダンスの後で」でした。
デビュー4年で、今回5回目の出演ですので、こちらは「銀座コンサート」では常連になります。今までは、ダンディズム系の、パンツスーツ姿で歌うことが
多かったそうです。というのは、神戸出身で「タカラヅカ」にあこがれて、ともおっしゃっていました。ですが、今回は女性らしく、ピンク色のドレス姿で登場
となりました。ところが、今回(今までのスーツのイメージを一新のつもりで)、「開けてびっくり」のつもりが、すでに楽屋入りの時に見たファンも多く、本邦
初公開、とは行かなかったので、瀬口さん、新曲の歌詞中の「舞台裏は見せない」とは行かなかったようです。でも、今回の「ピンクドレス」のイメージを魅せる
べく、「クラウンの担当者には、瀬口にはドレスは着せない、とは言わせない様に」、さらに、「大きなステージでも客の入る歌手に」との大きな目標を掲げて
いらっしゃいました。
今回は、登場曲を歌った直後に、また、若いファンの方からもプレゼントがあり、今までとは少し会場も変わった、という感じを受けたところもありました。
行頭へ
・
ヤン・チェンさん
曲目は、登場時にアカペラで(前奏的に)「アメージングレース」、直後に、新曲のCW「大阪RainyBlues」、「空港」(中国語歌詞入り)、「夜桜お七」、
「チベット高原」(中国民謡)、新曲「倖せの向こう側」でした。
前回(2002年秋)も日本の童謡、歌のすばらしさを伝えたい、とのことで覚えているのですが、今回の登場時は演出効果たっぷりの、アカペラでの登場で
した。そして、前回よりも、日本に慣れてきて、ステージでの言葉も楽しめました。「おじさん、いっぱいサイン、ヤンチェン以外もありますね〜^^」という
ような内容の言葉でしたが、日本語をよく理解して、その上で舞台を楽しませるように発言する、ということは、なかなか難しいと思うので、すばらしいことだ
と思います。それも、自身もおっしゃったように、デビュー当時と比べて、お客様のために感動させることができるように、と、自身を磨いていきたいという意
気を感じました。その意味でも、新曲を「自分の歌に、表現を深めて行きたい」と述べておりました。日本の演歌は、難しいけど大好きだ、とのことで、難しい
からこそ、挑戦のしがいがある、というものだと思います。
最近は多忙で、中国への里帰りも、正月、小正月ともできず、2月にようやく機会ができた、とのことでした。歌唱の響きの絶品さに、歌の途中から客の拍手
が始まるほどで、この時間に会場に来た客にとっては、非常に良かった、と感じられた方も多かったと思います。
行頭へ
・
南かなこさん
曲目は、新曲の「居酒屋サンバ」、「お祭りマンボ」、「浪花節だよ人生は」、新曲のCW「東京樹海」でした。
今年元旦デビューの日系ブラジル3世で、NHK歌謡コンサートにもいきなり出演するなど、話題性たっぷりの新人ということもあり、問い合わせが殺到した、
と司会者から紹介がありました。デビューのきっかけが、オーディション会場で小林幸子さんと、事務所社長にスカウトされて、とのことでしたが、このような
チャンスはどこにあるか分からない、という一つの例でしょうか。最近の歌手に少ない、一見すると、日本人としか見えない外見ですが、元気、明るさ、パワー、
というブラジル人気質が売り物で、日本とブラジルの両方の国のイメージを感じさせる、最近にはないタイプの歌手だと思います。その意味でも、歌手の中にも
多彩さを感じるような時代になったという印象が強くなっています。ブラジル人の気質、というのは、今回、南さんが、「お客さんの近くで歌えるのは、緊張す
る、というより、うれしく、楽しみ」という言葉からも感じ取れました。
南さんの場合、幼少のブラジル時代から、祖母に、子守唄として日本の演歌を歌ってもらった、という経験から、その時代から、「歌、といえば演歌しか知ら
ない」ほどの演歌ファンになったということだそうです。今回の新曲は、居酒屋の古風な雰囲気を感じさせる衣装に特徴がありますが、最近、このような衣装で
登場する歌手も少なくなっただけに、逆に斬新さも感じさせますし、また、新曲の最後の部分には、作詞の木下龍太郎先生、作曲の弦哲也先生、小林幸子さんの
「サンバ、サンバ」コールもあります。ということで、会場の客にも「サンバ」コールで盛り上がらせる、ということで売り出していくのでしょう。(まだ、客
のほうも慣れていないのか、今回は少し盛り上がらなかったかもしれません)
行頭へ
・
永井みゆきさん
曲目は、新曲「大阪慕情」、「大阪すずめ」、「お別れ終列車」、「雨おんな」、「愛に恋」(新曲のCW)、「車屋さん」でした。
デビューから12年、銀座の演歌イベントの常連、ということもあり、ファンの多さ、掛け声は恒例となっています。新曲は、キャンペーンでも評判の曲で、
また、永井さん自身が、「久々に大阪の曲を歌える」ということもあり、非常に張り切っている、との話もありました。
前作の「雨おんな」で、昨年秋のこのイベントにおいては、イベント当日の中では、永井さんの出番に限って「雨が降った」そうで、「まさに、”雨おんな”
ぶりを発揮してしまった」というそうですが、今回は快晴、ということもあり、喜んでいらっしゃったのが印象的でした。
新曲については、歌詞に「三十路まぢかの」というくだりが出てくるのですが、そのような歌詞を歌えるような(それ以上を書くのは失礼でしょうか・・・?)
女性であっていきたい、という内容の言葉もありました。
行頭へ
・全体印象
今回の演歌イベントは、今までにもまして、歌手の方の出演の数が多くなりました。それも、紅白出場経験のある方から、「銀座イベント」の常連、そして、
デビューしたての新人、さらには、関西で主に活動されていた歌手の関東進出、などなど多士済々、というメンバーです。「銀座イベント」に毎年足を運ぶ常連
ファンの中でも、今回のメンバーの中では名前も知らない、という歌手も多いかもしれません。それだけに、知らない歌手の方が、これまで、どのような活動を
されてきたのか、彼女達、彼達の人生経験がいかなるものだったか、そして、今まで知らなかったようなタイプの曲を聴けるチャンスでもあると思います。ただ、
今回、少し小耳にはさんだファンの言葉で、「今日はあまり知らない歌手だから、すいているだろう」というのがありました。確かに、紅白歌合戦出場経験のある
歌手は本日はいませんでしたが、私の場合は、逆に、今まで見たことがないからこそ、興味を持って見られる、というところがあります。特に、歌手自身の持ち
歌でない歌を歌うとき、オリジナルとの違い、とかを聞き比べる、という楽しみも大いにあります。
さて、今回のファンの客層を見ると、意外に若い世代の方がいらっしゃったので、これは歓迎の傾向です。これからも、若い世代にこのようなイベントを広げ
ていかなければ、業界全体が縮小してしまう、という危機感の表れが、効果となって現れてきたのかもしれません。その意味では、今回のイベントの中で、紅白
出場経験のある大物歌手がかなり出演される、というのも、ファン層の拡大、という意味において、非常に重要なことだ、というのは感じるところです。
行頭へ
目次へ