デクストラ

日輪は 中天焦がし 地を穿つ
隠れる事なき 知と技術
その手に見るは 命の夢


<神話に見られるデクストラ>

 主に他の使徒の手助けとなる道具を創造し、補佐をした使徒がデクストラである。 アーとは異なり、無からではなくアーの創造した世界に、既に存在する物質から道具を創造…  この場合は発明というべきだろうか …したのだ。

 彼女の作る道具は、アーの作り上げた物に比べて壊れやすかった為、 失敗する度、壊れる度にその発明品を木っ端微塵に砕いたという。 この一説から解るように、非常に頑固者で、発明していくという事に対して、一切の妥協を許さなかった職人でもある。

 彼女は使徒クレアータの創造に携わった事でも有名である。その創造は最後の仕上げであるアーの祝福を受ける前に、 フルキフェルにより引き起こされた「大皆触」により未完のまま終わってしまうが、 それゆえ発明王ダッハを初めとする、職業としてデクストラを志す者は、「完全なクレアータ」の作成を最終目標としている者も多い。

<職業としてのデクストラ>

 エフェクトスの元力やアクシスの魔術、 オービスの秘儀魔法とはまた異なった魔法を使うものをデクストラと呼ぶ。

 俗に錬金術と呼ばれ、火を噴く魔法の杖や、からくり人形、凍える寒さを作り出す魔法の瓶を自在に操る魔法使いといった所が一般的なイメージだろう。 だが、実際には錬金術は魔法ではなく、学びさえすれば誰にでも扱える技術である。火を噴く魔法の杖などは、所詮錬金術の副産物であり、 錬金術の最終的な目標は命の創造である。

 過去に発明王ダッハが大愚エルの完成によってなしえたと言われる「完全なるクレアータ」の創造が錬金術の完成形の一つと言える。 なお、「完全なるクレアータ」を完成させたと言う話は、西方暦1060現在においてダッハただ一人である。

<逆位置>

 錬金術の完成のため、他者の命をなんとも思わなくなる。

 作り上げる発明品はその歪んだ心が表れるため、どこか血なまぐさく悲劇的、狂気的な姿をとり、 およそ常人には理解しがたい形に仕上がる。

 実験室から流れる小川は赤色に染まり、実験室からは悲鳴が絶えなく、内部には様々なサンプルが転がる。

 さぁ、安心してそこに横たわりたまえ。なに、大丈夫。痛いのは一瞬だよ。