セイヨウイラクサ
| ハーブ畑に生える雌雄異株の多年草。アレ
| ルギーなど炎症を沈静し、貧血にもよい。利
| 尿、消化、収斂作用。さらに、月経を誘発し、
| 子宮の活動を刺激する。茎は衣料繊維として
| 使われる。
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| 納屋の中から鈍い擦り打ちの音が聞こえる。
| 刈り取って干してあった草の茎を木槌で叩い
| ている。ものういリズムとかすかな息づかい。
| もう何日も入ったきり出てこない。節穴から
| のぞくと、天井に黄ばんだ日が差しこんで、
| 斜めの光の中に、草の細かな刺毛が塵のよう
| にきらきら浮かんでいる。茎を叩く者の髪に
| も肩にも、刺毛は積もる。首筋に入って発疹
| を起こす。乾いた根の苦い匂い。
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| 白鳥にされた兄たちのために、娘は指を血
| だらけにして、イラクサでガウンを編んだ。
| 指は粗い繊維に擦れて腫れた。なぜ娘の兄は
| 十一人もいたのか。指を刺毛で痛めつけるた
| め、娘の月経を呼び、流産を誘発させるため。
| 納屋の中で一週間休みなく草を叩く者は、股
| から血を流している。柔らかい干し葉をひと
| つかみ挟んでいる。
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*語彙、文体の一部は、日本百科大辞典別冊原色植物図鑑から引用がある。
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