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 2002年1月の独想録


 1月4日  どれほど世界が暗くても
 今から2500年も前に釈迦が悟りに到る智恵を説き、2000年も前にイエスが愛を説き、さまざまな聖人たちが教えを説いてきた。
 しかしどうして世界というものは、いつまでも混乱と悲惨に満ち、平和が訪れる気配さえ感じられないのだろう? なぜ人間は、自らを滅亡の危機に陥れようとしてしまうのだろう?
 奇妙なことに、この世界を混乱に陥れているのは、いわゆる「悪い人」ではない。悪徳政治家や独裁者、ヤクザや暴力団ではないのだ。そんな連中がいくらがんばって人を殺しても、たかがしれている。
 この世界を滅ぼそうとしているのは、「普通の人たち」なのだ。どの国へ行っても、そんなに悪い人はいない。どの国でも、90パーセント以上は、よい人なのだと思う。
 なのになぜ、そうした「よい人」たちの集まりである世界が、戦争を起こすのだろう? 人間は、なぜ集団になると、悪い方向に走ってしまうのだろうか?
 たとえいかなる集団の中にいても、それに影響を受けないで、真実と正義を貫く人間であり続けるためには、どうすればいいのだろう?
 たとえ、どれほど世界が暗いものになろうと、変わることのない明るさと光明を宿した人間でいるには、どうすればいいのだろう?
 世界は風にあおられると、国民のすべてはろうそくの炎のように、みんないっせいに揺らいでしまう。中には消えてしまう人もいる。そんな中で、どれほど強い風が吹こうとも、揺るぎない光を表明し続ける人は、どのくらいいるのだろう?
 そんな人が世界中にたくさんいてくれれば、何という希望であろう。
 結局、そのような人が、ひとり、またひとりと誕生することによって、世界は平和と光明を取り戻していくに違いない。
 世界の暗さを嘆くよりも、自分自身がそのような人間になろうと思う。

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